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共和党と民主党と人種と性別と音楽2

少し前のブラック・ライブス・マター(Black Lives Matter)の人種差別抗議運動後、白人が主であったカントリーミュージック界は、今ではテキサスやナッシュビルに住みカントリー歌手を目指す黒人に門を開きました。今までほとんどいなかった黒人のシンガーやグループが現在急激に増えています。それは全てブラック・ライブス・マターに配慮した動きからだと思います。そのことを考えると余計に、今、カントリー界は共和党と声をあげにくい雰囲気なのではないでしょうか。

カントリーからポップスへ移行したテイラーは民主党に声をあげました。また、カントリーミュージックサウンドのアルバムをリリースしましたが、ビヨンセも民主党の応援をしています。音楽業界全体ではどちらかというと民主党支持が多いように思えます。若い女性層とその親世代で彼らのサウンドが好きな人たちは民主党を支持するでしょう。共和党員の多いカントリー界は今は声をひそめておくのが良いという判断をしてるのかもしれません。

トランプ氏は現在、テキサスやナッシュビルで活動するラッパーと手を組んでいる、、というニュースを目にしました。先ほど話をしたテキサスに移民が多く移り住んでいる話ですが、ヒスパニック、黒人系が非常に多く、ナッシュビルはアメリカで第二の音楽産業都市でもあることから、カントリーだけでなくラップやポップスのレコーディングにミュージシャンが多く集まっています。特に、ヒップホップとカントリーの融合がこの数年前から流行っていて、それはトラップと呼ばれるジャンルになっています。そのトラップが非常に若者に人気なこともあり、目をつけたトランプは彼らを味方につけようとしています。ヒスパニックが多いテキサスを押さえておこうということでしょう。ブッチャー、スヌープ、チーフキッズを始めとした黒人有権者の若い世代を取り込もうとしているようです。しかし同時に、ヒップホップではありませんが、ビヨンセは民主党を支持と、テキサスの中でも大きく揺れている状態です。

今のカントリーミュージックはBLM以降、混沌期に入っています。良くも悪くも「白人の音楽、敬虔なクリスチャン、妻は家を守り男が働く、労働者の男と酒の歌、田舎の家族愛」といったイメージが強いカントリーミュージックは、ラップの歌詞、黒人のトワングではない歌い方、ロックに近い楽器編成、信仰心を感じられない歌詞といった”今の世の中にあった”サウンドに変化し、その部分は若い世代にマッチして売れています。厳しい音楽業界の現在、その点に目を瞑って商業的に成り立たせるために受け入れていくのか、古き良き体制は薄れていくのか、共和党から民主党に移り変わるのか、政治にミュージシャンが声を上げることからそれが音楽そのものの変化につながっていく一例を見ているような気がします。

ところで、ビヨンセ、今年、カントリーサウンドのアルバムをリリースした当初はなんとかカントリーチャートに!と願っていましたが、結果的に、もともとR&Bであることから、1枚だけ違うジャンルで、、という扱いにはならずという結果になっています。そこの結論がついたからなのか、先頃、民主党の応援のために登壇しているので、さらにカントリー業界は受け入れないだろうなと思わずにいられません。

とにかく音楽を軸にアメリカの選挙戦を見ると、夏明けにテイラーの支持表明、この最後の追い込みでテキサスでのビヨンセの応援を持ってきたあたり、テキサスを崩していきたい民主党の意図が感じられ、現在、少し民主党が劣勢なだけに最後の最後までどうなるかわからない気がしてきます。

Beyoncé appears at Harris rally on reproductive rights in Houston

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石田美也:Country Music Lab
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