共和党と民主党と人種と性別と音楽1
日本の政治の戦いが終わったところで、アメリカに目を向けてみようと思います。日本という島国で人種が一つの国とは異なり、アメリカの選挙を見ると複雑で厄介なことが多くあります。その上で、アメリカの政治は音楽、、特に、カントリーミュージックは深く関係があります。
民主党ハリス氏、共和党トランプ氏の大接戦となっているところですが、日本と違ってアメリカではエンターテイメントで活躍する人たちも応援する政党について意見を述べたり、政党演説の場でコンサートをしたりします。日本にも伝わってくる話だと、テイラー・スイフトが影響力が大きすぎることを危惧してか、最初の頃は発言を控えていたのに返って逆手に取られてフェイクのAI写真を流されたりしました。テイラーは9月10日Instagramで民主党のハリス氏を支持する意思表明をしました。彼女は2020年にも民主党のバイデン候補を指示しており、若いZ世代への影響力が強い彼女の意見は追い風になっていると思われます。俳優ジョージ・クルーニーを始めとする映画界の人や、ブルース・スプリングスティーンは相変わらず民主党支持、そしてビヨンセも声を上げました。ビヨンセが民主党に声を上げることは大きな意味があります。なぜなら彼女の生まれたテキサス州は共和党支持が多い土地であり、テキサスは元々は白人の多かった土地、黒人は貧困層が多いというバックボーンのある土地です。テキサスに住む有色人種の層へのアピールはビヨンセがいることで大きな意味があります。
ここで注目したいのがトランプを支持しているのはどこか?
基本的に、南部や中西部の保守的な州では共和党が圧倒的に強い。
トランプ氏の支持者はMAGAと呼ばれる「Make America Great Again」というスローガンを掲げた白人労働者や副音派のキリスト教信徒が多い。
ブッシュ大統領を生み出したテキサス州を中心に人口がアメリカで増加している州でもある。なんでも2010年から2020年の間に約400万人増えている。人口数では全米第二位であるが、そのテキサスが現在揺れている。他州からの移住、海外からの移民、なんと、テキサスの人口の45%がヒスパニック系、白人は38%、黒人、アジアとなっているのです。
そして最初に戻るがなぜカントリーミュージックが関係するか!なのですが、テキサス州、テネシー州はカントリーミュージックのメッカであり多くの共和党支持者のミュージシャンがいるのです。有名な一人は今年亡くなったトビー・キースですがブッシュ氏の頃はこぞって共和党であることに拳を挙げてきたカントリーシンガーたちが前回のトランプ氏の大統領就任時には声をひそめ始めています。
ブッシュ大統領の時に戦争反対を唱えたチックスは、CDの不買運動をされたりカントリー界から追い出されたといった事実があるのに(私の他のnoteに記載してます)、トランプ以降のカントリー界は政治的な意見を言わなくなっているのです。そして、カントリーのレジェンドクラスのガース・ブルックスは共和党の式典を辞退したことがあり、政治的な場に出て行かないようにしているのです。
それはなぜか。
私が考えるに、一昔前の共和党の掲げていた政策から現在の政策が世の中の流れから少しずれていることが要因の一つかと思います。政策の一つに大きな注目を集めている中絶問題があります。女性にとっては大きな意味のある政策です。多くの女性はその点については民主党を支持する考えを持っているでしょう。そうなるとカントリーミュージックを支持する若い女性ファンも民主党支持が多いと推測できます。(元々カントリーを歌っていたテイラーのファンも含みます)そんな状態で、カントリーミュージック界が過去からの流れで共和党のイメージをあえて打ち出すと、女性の音楽ファンが離れてしまうという見方があるかもしれません。なぜ、女性ファンを重視するのか?実は、この数年、アメリカのカントリーラジオでは「男性シンガーの曲だけ流せ、女性シンガーは排除せよ」という話があります。女性歌手達がメディアで語っていることで公になりましたが、男性シンガーのファン、つまり女性層を増やすと業界の売り上げに貢献度が高いということから商業的に狙っていたのです。音楽業界の狙いが政治にこんな形で関わってくるとは。
2に続きます。