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グラミー賞2025 ビヨンセが切り開く
ビヨンセは自由だ。
今回はカントリーをテーマにアルバムをリリースした。そしてようやくカントリー部門で受賞した。グラミーも流石に彼女をこれ以上無視することはできず、今回のカントリー調のアルバムは人気もあったこともあり彼女の企画力を含めて総合的に賞を与えること、時代がトランプになりゴタゴタした中で、グラミーは公平ですという数%の意味も含めての賞になったのではないだろうかと少し思ってしまった。
カントリー部門で黒人女性が受賞は初めてのことらしい。遠い昔、私の父がチャーリー・プライドのバック演奏を日本で担当した時、彼は黒人で大層注目を集めていたと聞いた。カントリーを歌う黒人で有名になったのは当時、彼くらいだったらしい。アメリカでも黒人をカントリー界に入れてあげたよ、的な雰囲気に感じ取れた。(当時私は生まれてないのであくまでも聞いた話ですが)ところで、チャーリー・プライドは日本でヤマハのイベントで歌った際、日本語で「北風」を歌ったと父から聞いた。目の前で聞いてみたかったなあ。あの当時から長い事、黒人のカントリー歌手といえば、チャーリーしかいなかったのでは。
カントリーミュージックとビヨンセの関わりで、「カントリーは黒人の音楽だった」とか「カントリーは保守的だ」という言葉が多いが、確かに、ジミー・ロジャーズは白人と黒人の音楽を融合させた曲、ブルースも歌い、ハンク・ウイリアムスは黒人のギターリストに音楽を習って作曲を始めている。カントリーに使われるバンジョーも由来はアフリカから生まれたものだ。上っ面の話をすれば、じゃあカントリーは黒人の音楽じゃないのかと思われると思うが、実はカントリーミュージックが出来上がったのは、アメリカ移民(ヨーロッパ)とアフリカ移民の歌を、当時聞いた歌い手が新たに曲を作り上げたり、レコードの録音技術ができた最初に、その歌い手の曲をレコーディングし、そこから商業的に進化する過程でカントリーミュージックが確立している。なので色々な要素が加わった音楽がカントリーで、まさに、いろいろな人の祖国の歌を感じとれるものなんだと思う。(すごくざっくりした説明ですが)
話を戻すと、今回、ビヨンセはカントリーを彼女のルーツとして作成したとある。なのでカントリーでアルバムを作って認めてもらいたかったと。グラミーはそれを認めた。
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絶やさない笑顔の裏にとてつもない努力があったのだろうと、遠い日本で記事をチラッと見るだけの私でも感じるのだから、アメリカで音楽を仕事にしていた彼女はカントリー界に認めさせることはどんなに大変であったか。音楽をただやりたいだけなのに困難がなんと多いことか。しかし、グラミーのカントリー界での受賞は、CMAでの受賞とは大きく意味が違う。審査する人たちの”種類”が違うことが大きい。CMAでは多分、今でもビヨンセは賞を取ることは困難だろう。
しかし、ビヨンセは自由だ。
カントリー歌手はテイラーをはじめ、「カントリー業界」を抜け出した人たちがいる。ジャンルレスの自由を手にした人だ。そういう人たちはグラミーでも賞レース(ジャンルカテゴリー以外の)に顔を出せる可能性がある。
レイニー・ウイルソン、マレン・モリス、ケイシー、キャリー、、カントリーの中にいる彼女たちはアルバム・オブ・ザイヤーをテイラーのように受賞できる可能性はとても低いと思う。カントリーの枠では受賞できても。カントリーの中で活動する人は、どうしてもグラミーの審査の中ではカントリーの枠以上の扱いになるのは大変だと思う。でも、ビヨンセがこの数年、カントリー界に関わってくれたことで、多くの”カントリーヘイト”な音楽ファンも耳を傾けてくれていると思うし、実際、世代も広がったと思う。(もちろんその前にテイラーの功績が一番だけど)昨年はとにかくTiktokにビヨンセの歌うカントリーが溢れたし、ファッションも数年おきにカントリーが来た!という割にはパッとしなかったのが、去年はビヨンセを真似てハットを被りブーツを履く人が年代幅広く増えたと聞いている。全てはビヨンセが果敢にも数年に渡りカントリーに挑戦してくれたからという功績が大きい。
ビヨンセはカントリーで今回受賞したこともあり、次は違ったジャンルに目を向けると思う。それでいいと思う。そしてカントリーの枠はまたカントリー歌手に戻ってくるだろう。
追記)
ビヨンセとマイリー・サイラスの コラボ曲『II MOST WANTED』が 最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞しました。カントリーの父を持ち、名付け親がドリー・パートンという生まれつきカントリー業界から反発したように派手なロックやとんがった歌を歌うマイリーと、カントリーを聴き育ちカントリーを歌いたかったビヨンセがデュオというのもとても面白い。そして二人を繋ぐ音楽はドリー・パートンであることも。私もジョリーン歌ってるので聞いてね。
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