どうせ死ぬけど好きだった海
拝啓 出雲にっきさま
にっきちゃんこんにちは☕︎
文フリ終わって2週間、毎日のんびりと過ごしています。
わたしは今さら『ウォーキングデッド』にハマっていて、毎日仕事が終わってから寝るまでに2話ずつ観ることを目標にしています。そうすると、この時間までにごはんを作り、お風呂を済ませ、やらなきゃいけないことはこの時間に頑張ろう、と ウォーキングデッド見たさにすこしだけ計画的な生活ができるようになりました。(この一週間くらいだけ…!)
ドラマも面白いし、それを観たい欲ありきで整った生活も快適なので、このままドラマが一生続いてくれたらいいのに!って思っています。いまは第2シーズンの中盤くらいなので、しばらくは良い生活が続けられそうです。
さてさて 前回のにっきちゃんの交換日記は、別々の世界観を持つ名詞を組み合わせた句が秀逸でした。
自由律俳句に文字数の制限はありませんが、決して多くはない文字数の中に突拍子もない時空間移動が引き起こされるようで、たのしく想像しながら鑑賞しました。
・夕焼け鳴らしたまあるいカスタネット
カスタネットの、簡単だけど懐かしさがくすぐられる響きと、まるくて赤い夕焼けの太陽を重ね合わせているのが面白い句ですね☀︎
カスタネットは手のひらの中にあって、太陽は果てしなく大きいのに、ちょっと似ているから不思議です。あたたかみのある雰囲気も似ていると思います。
にっきちゃんが今年の4月14日の交換日記で発表していた「ぼーるぱちこん夕方の鳴き声」という句を思い出しました。前回も ぱちこん というシンプルな響きの中に町の音が詰まっていましたが、今回はまた違った色彩と音で夕暮れどきの町を表現されていて、にっきちゃんの描く夕方の厚みにとても魅了されています🌄
・入梅の足音アラベスク
ドビュッシーのアラベスクで合っているかわからないけど、あの曲が大好きです。くもり空から雨への移り変わりは、アラベスクの流れるような曲調に重なる部分があります。
雨嫌だな〜ばかり思ってしまうけれど、音楽ような自由律俳句に昇華できたら梅雨も良いものですね。文字で見ても、場面を想像しても美しい句でした。
・君に借りた本を持つ
・「終点です」私取り零した流しそうめん
・好きですと伝えるの血が
物語が始まりそうな三句!
二句目では、取り残された・置いて行かれたことを「取り零したそうめん」と表現しています。句の背景的に明るくて楽しいものではないと思うのですが、自分のことを「取り零したそうめん」と描くとなんだか急に軽やかで、だけどちゃんと寂しげ。寂しさとかわいらしさのバランスが絶妙で大好きです。そうめんというセレクトも夏らしくてとっても良いです。
三句目は、言葉じゃなくて本能的な真実が「血が」の部分に凝縮されていてドキドキしました。
正直どの句もあまりにすごくて、出雲にっきさんがこのまま遠くへ行ってしまう…!とすら感じました。今までの交換日記で一番くらい詩的で、だけど人間生活をするものとしての生々しさのカケラが垣間見えてドキッとする部分もありました。言葉とともに生きてる人じゃない作れない作品です。わたしも自由律俳句を通して、もっと自分の気持ちや生活を出していくことが課題だなと思います!
それではすずめ園の自由律俳句です🍧
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・町全部きれいになってしまった
思い入れのあるコンビニはありますか?
かつて家の最寄りのコンビニで中学生の頃友だちと通いまくっていたミニストップ。当時コラボしていたエビ中のノベルティー目当てで半年だけアルバイトをしていたサークルK。なんてことない普通のセブンイレブン。
先々週、少し久しぶりに実家に泊まったときの帰り道、近所にあるごく普通のセブンイレブンを見て、なぜだか胸がぎゅっとなった。
そのセブンイレブンは、母のパート先からは離れているし、父には別の行きつけのセブンイレブンがあるため、わたし以外の家族はあまり利用しない。わたしも高校生くらいまでは、帰り道とは違う通りにあるそのセブンイレブンはたまにしか利用しなかったが、大学生になっていろんな場所に出かけるようになってからは寄り道する機会が増えた。
実家で暮らしていた頃は、家に帰ると母が作ってくれたごはんが用意されていたからこそ、帰り道にセブンイレブンで選ぶパスタやメロンパンは、誰にも縛られない自由で喜びの多いものとして位置していた。
夜にコンビニでごはんやケーキを買って帰ると、「ごはん作ったのに!」と言われてしまうこともあったけれど、ワンコイン程度でする贅沢なプチ反抗は、実家暮らしで窮屈していた心に必要な栄養素だったのではないかと思っている。
一人暮らしを始めてからは、コンビニでごはんを買うことも少なくなった。スーパーに比べるとどれも値段が高いし、ゴミを捨てる時にはプラスチックの容器がかさばる。油のついた容器をすすぐのもめんどうだし、わたしの家の小さなゴミ箱に1週間もためておくのはちょっと邪魔だなと思ってしまう。
なにより、今は自分で食べたいごはんを決められる。誰にも「夕ごはんあるのに!」と咎められることもない。限られた中でする自由が、もはや自由ではなく普通のことになってしまった。
本当に普通のセブンイレブン。
そんなに思い入れのあるつもりはなかったのに、あのセブンイレブンで好きな食べ物を買って、うれしい気持ちで家に帰った記憶が深く刻み込まれていたことを、一人で暮らす家への帰り道に知った。
お母さんのごはんも良いけれど、今度実家に帰ったら、自分でお金が稼げるようになった子どもらしく贅沢をしよう。ボロネーゼを食べよう。金のアイスを食べよう。
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・夜景きれいなくせにつまらないビル
・つまらないビルもプリズムいま泣いてるひと
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・かろうじての名残りはイチゴスペシャル左利き
・目に映る花柄の海カーテンが透け
・(青空犬猫ワンピース)カーブミラーの画角でいたい
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・切り崩した夏を食べつつ大阪−名古屋
居眠りから目が覚めると、新幹線のななめ前の人の机になにか赤いものが乗っているのが見えました。あれは一体なんだろう。
わたしは新幹線でスイカを食べている人を初めて見ました。
それはスーパーとかに売っている一口大にカットされたものでしたが、新幹線に乗る前にわざわざカットスイカを買うなんて、よっぽど夏のなかで生きてる人なんだと思いました。
新幹線の中のスイカ、6月上旬にスイカ。景色も季節もちょっとちぐはぐでおかしかったです。
スイカなら蓬莱551やマックのように、テロにはならないだろうし、わたしもこの夏に新幹線スイカしてみようかしら。
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・えんがわのエンドロール さようならは寿司
・マスタード・ケチャップ押しつけあってできた弧です
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・どうせ死ぬけど好きだった海
わたしもみんなも絶対に死ぬのだなと思うと、じゃあ何で生きてるの、と絶望するし、反対に気持ちが楽になったりすることもある
どうせ死ぬんだけれど、かっこつけたり恥ずかしがったりしながら海の浅瀬にいて感動している
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・これっきり最後のローソンにしよう
・不意な窓とかに映る新しい靴
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・ミントのアイス吸って吐いて雪女になる
・素麺線香ゆうパックして夏
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この前の土日には福岡に行ってきました。
SAKA-SAMAが福岡でワンマンをするというのをTwitterで知り「九州にあまり行ったことないしわたしも行っちゃお〜」と思い立って遊びに行きました!マンハッタンは買い損ねたけれど、SAKA-SAMAのライブは最高だったし、ごぼ天うどんも食べられたし、ajiroという本屋さんにも行けて楽しい遠征でした。
その日、天神と博多(両方とも繁華街だけど歩くと結構離れてる)間をめちゃめちゃ歩き回り、時には走ったりもしました。おかげで、中心地の街の雰囲気はわかったのですが、博多近辺はあまりに都会すぎてわたしには物足りなかったので、今度は九州の他県や島にも行きたいなと思いました。夢が広がります ☁️
それでは 梅雨で気持ちもじめじめしてしまいますが、全部俳句にしながら乗り切りたいですね🍲
今度福岡のお土産渡すのでたのしみにしててね!
すずめ園より
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次の更新は6月22日 出雲にっきちゃんの番です🌟
『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。
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