お祭りの夜と同じ湿度の中にいる
拝啓 出雲にっきさま
にっきちゃんこんにちは!
このまえは久しぶりにひだりききクラブのお仕事や作業なしに遊びましたね ♡
最初に行った村田商會でにっきちゃんがいきなり食器買いまくっていたのがおもしろ可愛かったです。
定番のそれいゆも行きましたね🍝
にっきちゃんと行くそれいゆ、いつもすごく落ち着くから大好きです。誰と行くどの店よりもまったり、のんびり喫茶店を楽しめている気がします。この前もいろんなこといっぱいおしゃべりできて楽しかった~ まだおでかけしましょう☕︎
前回のにっきちゃんの交換日記は、トーンは静かだけれど六月らしい湿度を孕んだ美しい名句がたくさんありました。句にも登場した「ラメ入りの毒」のような、きらめきの中にあるあやしい中毒性にいつも惹かれます。
・黙ってるね「(わたしたちみたいな雨だ)」
まるで小説の世界のような情緒と、文字通りの沈黙が肌から伝わるような句。
リズムは自由律俳句だけど、表現は短歌とか
静かな中に雨の音とどこかの軒下に居る二人の光景が広がります。梅雨は明けてしまったけれど、雨の時期にしか出せないコントラストと静寂が表現されていますね。カッコの使い方も効果的で美しいです。
・麦茶と蕎麦湯の交互浴
なんて夏なの!!
ガシッと心を掴まれました。これは(自称・概念上の)夏好きとして、あまりに素晴らしくて、悔しいくらい完成されてる…!!
どの季節も蕎麦屋さんに行くけれど、ざる蕎麦を冷えたつゆにつけて、箸でかかげた時のきらめきなんて、すごく夏って感じがします。色は同じ茶色なのに温度も味も全然違うこの飲み物たち、かっと仲良しですね。麦茶と蕎麦湯があれば夏乗り切れちゃいそう。
「つまみ食いした飯の落ちる穴」空想も面白かったです。エッセイ1ブロック目の最後の「ほんと、それだけ。」の部分がなぜだか異様に好きです。ぽろっとこぼしたような素朴な口調が、少食の子っぽくて。
わたしは中高生時代、家に帰ってから夕飯までの絶妙に空いた時間にじっとしていられなくてよくつまみ食いをしていました。たぶんわたしのブラックホールにはかぼちゃの煮付けがたくさん漂っていると思います!
それではすずめ園の自由律俳句です🎐
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・お祭りの夜と同じ湿度の中にいる
・サイダー弾けてペタついた腕があるだけ
・じゃがりこ買って船で逃げたい
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・昨日と地続きの朝をにらむ
・あの頃は知らなかった歌と乗るバス
・引っ越して行かなくなった雑貨屋
・汗かいた君の背中のユーラシア
・玉川上水うつせみのカラオケボックス
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・レジ締めをする今晩はカレーにしようか
・手のひらできしむイチゴ大福のしゅわり
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・水無月塗り変わって咲く朝顔
・暑がりの犬が舌出して笑っている
あの駅の目の前にある駐輪場のフェンスのポールの部分には、「→ 朝顔」(朝顔はこちら)と示されたガムテープが貼られている。
不思議なのはそのテープが、駐輪場の利用者に向けたものではなく、ポールの裏側の、電車の車窓からでないと見られない場所に貼られているということ。
看板ほどちゃんとしたものじゃない。ただの白いガムテープにマジックで書かれた手書きの「→ 朝顔」。たぶん1年くらい前からそこに貼られて、ひと冬を超えて、また夏になった現在も貼られつづけているけれど、この朝顔を教えてくれるガムテープの存在に気づいている人はどのくらいいるんだろう。結構多いのだろうか。みんなスマホに夢中で、意外と一度も見たことがない人のほうが多かったりするかもしれない。
どっちでもいいけど、いつか「→ 朝顔」に気づいている人がいたら、「あれって、矢印通りに進んだら本当に朝顔にたどり着くんですかね?」「どうなんでしょう。冬も貼ってありましたもんね。」なんて、会話をして、不思議ですねえってちょっと世間話だけして別れたい。
いつかひとりで朝顔を見に行ってみようか。
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・がんばって飲んだホルモンつゆしらず
・帰り道に話したくて取っておいた
・知らない人のスマホに映る同じ時刻
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・遠い星にたぶんいもうとがいる
同じ親から生まれたはずだけれど、わたしと妹は真逆です。個性が真逆とかではなくて、暗く真逆になり合っている。そんな妹とは何年も会っていないし、会話だってずっと前からしていない。
気になるんじゃなくてもはや手癖みたいにネットストーキングをしてしまうことがある。もう見た目もたくさん変わったし、言葉づかいや生活も、自分の人生で交わることがなさそうな、どっか別の星で息してる人だなあと、ただただ生存だけ確認する。
わたしには遠い星で血のつながったいもうとがいる。不健康な生活を送ってるけど、まあいろいろと頑張れよなって適当な言葉を心の中だけで投げかけている。たぶん遠すぎて届いていないだろう。
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・爪切って弾けるラメの残骸
・ピーラー仕立ての深爪を愛でる
・ごちゃ混ぜの空見て眠ったよ
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前回の交換日記、にっきちゃんがサッポロビール園を「サッポロビール・その」と読んでしまうというエピソード嬉しかったです。
わたしも「園」な食べ物を見つけたので見てください〜!
棚がごちゃつきすぎてあんまり目立ってないけれど、「園」の文字が入った人形焼です。梅園というお店の商品なのですが、「これはすずめ園のお菓子!」なんて思っちゃいました。今度からおうちにお客さんが来るとき毎回振る舞おうかしら。
とくに忙しかったわけでもないのに交換日記の更新たくさん遅れてしまってすみません。
元気だし楽しいこともあったのに、どうしてかわかりませんが俳句もエッセイも全然書けなくて心がしゅんとしてしまいました…。たまには言葉とうまく仲良くなれない時もあるかもしれませんが、言葉に向き合うことはもはやわたしにとって使命かもしれないとも思います。ひだりききクラブが大切だし、ひだりききクラブは言葉のユニットだから言葉ともっとよく生きていきたい。
次回はいろいろな言葉と出会える日々であったらいいな 短冊にかこうかな🎋
それではまたね にっきちゃん!
すずめ園より
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🪷せきしろ句会出演のお知らせ🪷
せきしろさん主催の句会「せきしろ句会 vol.3」にひだりききクラブが出演いたします!
今回は歌人の木下龍也さんと初共演します。わたしは初めて買った歌集が木下さんと岡野大嗣の共著だったので、文芸の世界でお会いできて感激です…!いっぱい楽しみます!
7/10(日)まで「色」がテーマの自由律俳句も募集中です!ぜひみなさまからの投句お待ちしています☕︎
⇒https://www.sekishiro.net/contact
7/13(水) 「せきしろ句会 vol.3」
会場:ロフトプラスワン
18:30会場/19:00開演
チケット代:会場¥2000 配信¥1500
出演:せきしろ、木下龍也(歌人)、出雲にっき、すずめ園
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次は7月6日 出雲にっきちゃんの番です🎋
『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。
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