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退行催眠をやってみたら想像以上にエネルギッシュだった
先日、親友が家にやってきて
「退行睡眠ってyoutubeで検索してやってみなよ。」
と、唐突に言い出した。
親友は、占いや手相、お祓いなど、ピリチュアルな経験が豊富だ。
しかし、そういったものに関して「私は興味ないわ」と言えば「そうかいな」という感じで軽く流してくれる。
でも、退行睡眠の話は実に興味深かった。
「ベッドに寝て、youtubeで音声を聞くんだよ。白い階段をイメージして、ゆっくり降りていくの。そこに白いドアがあって、高校生、中学生、小学生、幼児期…ってステージごとにドアを開けていくの。
最後に、なんか頭の中がゔー!ってなって、きれいな芝生に立っている、白っぽい足が見えたの。」
そのときは、へぇ~!って聞いていた。
私は前世の記憶に興味がないし、例えきれいな芝生に立っている過去生の私が見えても、それが今役に立つのかなぁ…なんて思ったりしていた。
今、ヒプノセラピーという退行睡眠療法は割と知名度が高い。
私は過去のトラウマに対して強めの自覚があるけれど、何が悪かったか分かっているから、わざわざ掘り起こさなくても良いと思ったりもした。
でも、彼女のその「頭の中がゔー!ってなる」という、抽象的すぎる感想がとても気になった。純粋にどんな感覚なのか知りたくて、試してみることにした。
とりあえず、始め方は簡単だ。
ベッドに横たわって、毛布を掛けて、youtubeで退行睡眠の音声を流す。「全部で35分か、意外に長いな」なんて思いながら始まった。
しかし、懐疑的な気持ちで始めたものの、音声の指示に従って体の筋肉を緩めたり、瞑想したりするうちに、だんだんとそれっぽくなってくる。なんだか、頭の中がフワッとした感覚になり、雑念が取り去られる感じがする。
普段、横になって目をつぶっても、頭の中は常に考え事で埋め尽くされているものだが、頭が空っぽになる感じがした。
そして、徐々に悪寒がしてきた。
階段をイメージして、ゆっくりと降りていく。
音声が10から1まで、逆さにゆっくり数字を数える。
すると、内側から感情が溢れてきて、泣いてしまった。不快な感じがして、つい目を開けてしまったので、ここからは集中力が途切れてしまったようだ。
突然すぎる感情の湧き方に、驚いた。ただの興味本位で疑いの気持ちの方が大きかったのに。
そして、親友の言うその「頭の中のゔー!」を体験するときがきた。
「最近で一番楽しかった食事を思い出してイメージしてください。」
この音声で私は、その親友に会ってご飯を食べに行った場面を想像した。
最近久しぶりに他人と会って食事をした、地元の定食屋の、地味な風景だ。
それをずっとイメージしていたら、確かに頭の中がジリジリしてくる。
瞼がものすごい力で閉じようとする。目はずっと閉じたままなのに、開けようとする力と、閉じ続けようとするふたつの力が格闘する。痙攣するような感じもした。閉じている内瞼の視界が、砂嵐のように揺れた。
そして、一緒に食事をしていたのは親友だったはずなのに、砂嵐の中にチラチラと母の顔が見えた。
その他にも、母親の胎内、前世の記憶への誘導もやってみたけど、イメージとしては何も見えなかった。見えなかったけれど、終始悪寒がしており、不快だった。眉間にしわがグーっと寄っているのが度々わかり、体が鉛のように重くなった。
ちなみに、悪寒は退行睡眠をやめてから1時間ほどで治ったため、風邪症状などではない。明らかに、催眠からの反応だと思う。
人間には、視覚優位の人と、聴覚優位の人、そして体感優位の人がいる。
目で見える風景や明暗は、視覚優位。
音や人の話し声は聴覚優位。
体感優位の場合は、においや圧、温度など。
母親の胎内を振り返る場面では、何も見えないし何も聞こえないけれど、とにかく窮屈な感じがした。
身動きがとれなくて、苦しい。
母親の胎内は「暖かくて心地いい」のかと思っていたけど、とにかく八方ふさがりな感じがして苦しかった。これは体感優位の感覚であり、私は現在の日常生活でもその傾向が強いと思う。
終わってから思い返したことだが、私は割と珍しい「全足位」という種類の逆子だった。
普通、胎児はカブトムシの幼虫みたいに丸まっていて、頭を下にしている。そして旋回しながら産まれるものだが、私はお腹の中でずっと直立していた。最初から最後まで気を付けの姿勢から微動だにしなかったため、帝王切開で産まれたと聞かされたのを思い出した。
きっと、変な体勢のまま大きくなってしまったから、身動きがとれず窮屈だったのだろうか。
この後も退行睡眠をもう一度試したが、やはり悪寒と、胎内に戻ったときの強い不快感と閉塞感は、初回と同じように感じた。
感じたことは確かで、その理由は後付けなんだけど、なんだか妙に腑に落ちる。
自己催眠の初回は、階段をちゃんと降りることができなかった。
また、過去生に行く場面でも、ドアを開けてもその中に入ることができなかった。