本は旅をする。

わたしにとっての『蜜蜂と遠雷』は、夏と秋のさかい目のひだまりで、千駄ヶ谷のロンハーマンカフェのコーヒーと、坂道と、鳥にエサをやるおじいちゃんを眺めた公園だ。

「あたしは戻ってきた。帰ってきた」

そのときちょうど降り出した雨と涙のニオイと、稲妻と雷鳴の記憶だ。
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