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【グラストンベリーひとり旅⑤】陽のエナジー全開なカフェのお姉さん。
グラストンベリーに着いた初日のこと。
大きなスーツケースを引いたまま、私は軽くランチができる場所を探していた。
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ロンドンからブリストルという町で別のローカルバスに乗り換えてここまでやってきた。
それは地元民御用達のローカルバスで、「次は◯◯」のような表示が一切なく、ドライバーに「ここで降りたい」と伝えて停めてもらった。
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ロンドンからの高速バスとは違い、エアコンなどもちろんない。
ロンドンでも初雪が降った日だったので、とにかくとても寒かったのだ。
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ハイストリートの天然石ショップなどに寄りながら、宿の方向に向かった。
その中心地を過ぎるとショップなどは何もないエリアになる(宿までは徒歩で10分弱)。
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宿の目と鼻の先に、小さなミュージアムがあるのを発見した。
◉SOMERSET RURAL LIFE MUSEUM
その2階にカフェがあるとのことなので、中に入ってみることにした。
スーツケースを引いていたので、親切なスタッフがエレベーターまで案内してくれて2階で降りる。
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こじんまりとした展示の数々。
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外に出てみると、馬の大きなオブジェがあった。
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晴れていたらテラス席に座るところだが、雪がチラつく寒い日だったのでカフェの中に入る。
◉The Grain Store Cafe
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全体的に木で造られているのもあり、とてもあたたかかった。
軽食とコーヒーのメニューを見に行くと、一人のお姉さんが初っ端からテンション高く迎えてくれた。
脇にあった2種類のパイについて説明してくれたのだが、これでもか!!ってくらいに明るい。
飛び抜けて明るいがまったく異物感がなく、こんなに一瞬で好感度のメーターを振り切る人も珍しい。
私はオニオンチーズの方を選びコーヒーと一緒に注文すると、レジを打つ指の先にまでポジティブエナジー配合の血液が通っているのを感じずにはいられなかった。
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パイを注文するとサラダが添えられるそうで、このサラダがもう、、、
イギリスで食べたサラダの中で、ダントツ!!
他とは全く比べ物にならないほど、野菜の甘みが凝縮されている。
実は、私は2年間ロンドンで食べている野菜の味に全く満足できずにいた。
私は四国で生まれ育ち、野菜が最高においしい!というのに慣れている。
パートナーが生まれ育ったギリシャもギラギラの太陽を浴びた甘い野菜ばかりだ。
そんな私たちにとってロンドンの野菜、中でもきゅうりの美味しくなさには残酷さを覚えるほどだ。
まったく味がないのである。
ちょっと青臭い水をやや固めて食べているような、そんな感覚。
よって、しばらくの間きゅうりを避けて過ごしてきた。
それが、なんということだろう。
きゅうりにしっかり「甘み」があるのだ。
そして一番の特記事項は、この世で一番トマトが苦手な私が「ちょっと食べてみようかな」と、人生で初めて(いや、初回を含むと人生二度目)固形のトマトを自ら口に運んだこと!!!
私自身も説明がつかないが、本当になんとなく、抵抗なく、一口食べてみたのだ。
このトマト、そんな私ですら食べることができた。
グラストンベリーのカフェの端っこで、人知れず私の大革命、大克服の儀が行われたのだ。
そしてこのカプチーノ(食事時にミルク入りのカプチーノなんて、イタリア人が聞いたら悲鳴をあげそうだが。笑)!!!
これもまた、イギリスで飲んだカプチーノの中でダントツの1位に輝いたのだった。
皆さんご存知の通り、イギリスはコーヒーよりもティー文化。
美味しいコーヒーにありつけることはとても難しいのだ。
コーヒー派の私にとってなかなかハードだなと感じている。
たまたま何のレビューも見ずに訪れたミュージアム併設のカフェのサラダとカプチーノが、イギリスの堂々の1位に輝くというミラクル!!!
本当にありがたいことに、”旅する私”はいつもラッキーなのである。
おいしくいただいた後、この感動を伝えずに去るなどということはできず、あの超絶陽気なお姉さんの元へ向かいこれらの感激を熱く語った。
するとお姉さんもこの情熱をぶわーーーーっと受け止めてくれて、もともと笑顔が更にピカピカ、ひまわり100本くらい一斉開花したんじゃないかというほどの明るいエナジーを送り返してくれたのだった。
「この野菜は、うちの会社の畑で栽培、毎日収穫しているの!
もちろんオーガニックよ!
みんなで愛情こめて育てているからかしら?
私も大好きなの!!おいしいわよね!!」
そう言いながら、リズミカルにお姉さんがメモに何かを書き、私に渡してくれた。
「ハイストリートに、ここの本店があるわ!
そっちはランチもやっててメニューも豊富だし、野菜もふんだんに使ってるからよかったら行ってみて!」
ここはブランチで、本店があることを初めて知った。
野菜とカプチーノ、もちろんパイもボリューミーでとっても美味しかった!
すっかりこのカフェのファンになった私へ朗報だ。
ハイストリートには数件カフェがあるが、どこがおいしいなど入ってみないとわからない。
しかしここの本店なら、絶対に美味しいは保証されている。
「私、あなたのその大きなエナジー大好き!」
と伝えると、再びノッリノリのひまわりスマイルで笑顔をくれたのだった。
宿のオーナーにどこか食べに行ったか聞かれてこの話をすると、
「あそこおいしいわよね!私たちもたまに行くのよ!
たしかフードは15時までしかやってないから、早めに行くことをオススメするわ!」
と、彼女も好きなカフェだった上に営業時間まで教えてもらえた。
そしてその翌日、TOHからの帰りにここに来た。
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◉My Fine Deli
するとなんと、昨日のあのスーパーポジティブなお姉さんがいた!!
彼女は何も言ってなかったし、私はてっきり彼女はミュージアムのブランチ担当だと思っていたから、まさかの再会にまたまた感動したのだった。
「あーーー!!昨日のっっ!!!
こっちにも来てくれて嬉しいわありがとう!!」
と満開の笑顔で言ってくれて、周りのスタッフにも「昨日ミュージアムの方に来てくれた子!ここを紹介して今来てくれたのよ!」と嬉しそうに語っていた。
残念ながらランチの時間を過ぎていて、フードは昨日のパイとスイーツのみだった。
しかしTOHで素晴らしすぎる時間を過ごしたし、今日来たからあのお姉さんとも再会できたわけでそれがとっても嬉しかった。
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今日はミートパイとモカ。
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昨日のパイよりミートの方が私好みでとってもおいしかった。
モカも最高においしい(甘さがこれまた私好みすぎた)。
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この本店は店内が広々としていて、テーブルごとのスペースが大きい。
お一人様も多く、それぞれがゆったりくつろいでいるようだった。
ロンドンのカフェや飲食店は、日本の大都市と同じくスペースが狭くひっきりなしに人がやってきて、賑やかで忙しく落ち着かない。
イギリスでもここまで田舎に来ると、人ものんびりしていて歩くスピードもロンドンより遥かにゆっくりだ。
そして、物価が驚くほど安い(ロンドンが異様に高いのもあいまって)。
そして、展示してある絵画たちがとっても私の好みだった。
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私は、このゾウの絵の虜になった。
なんて素敵な色遣いだろうか。
大浄化の場所にここグラストンベリーを選んだあの時の自分自身に心から感謝しているし、本当に素敵な出会いばかりだ。
スーパーポジティブお姉さん、ラブリーな思い出を本当にありがとう♡
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