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義弟と口論 On the Street①〜「今、なんて言った?」普段キレない私がキレるとこうなる。

昨年11月末頃〜約2週間、ギリシャ人パートナーの弟(イニシャルM)がロンドンに来てうちに泊まっていた。


Mはこの日まで、地元ギリシャから海外へ一度も出たことがなかった。


陸続きでパスポートなしで行けるのに実にもったいないし(一人旅好きの完全なる主観)、ユーロピアンとしてはかなり珍しいんじゃないかと思う。


彼にとっては初めての海外へプチ冒険だったのだ。



はじめの数日間はパートナーが仕事だったので、私はMを色々と観光案内係をし、食事も作り一緒に食べ仲良く過ごしていた。


ギリシャ人にとって「家族」は何より大切な存在で距離が近い。


彼にとって私は義理の姉にあたるので、よく慕ってくれていると思う。



パートナーがバケーションに入ってからは、基本的に彼におもてなしを任せていた。


Mは基本的に一人で行動しないのだ。


これは兄弟ともにそっくりで、”一人でカフェに行ったことがない”人たちである。


一人でどこにでもふらっと出かけるのが好きな私からすると、その感覚はちょっと、いや、だいぶわからなくて地球の裏側どころか冥王星くらい遠い。



きっと一人で過ごすのは寂しかろうと、一緒に散歩に出かけたり他愛もない話をしたり、何かと気にかけた日々だった。


自分で言うのもなんだが、私は「おもてなし精神の塊」みたいな性格で、その人の居心地がいいように振る舞いたいし心地よく過ごしてもらいたい。


よって、苦ではなかった。


とはいえ、ずっといっしょにいるのは疲れてしまうので、自分の無理のない範囲でベストを尽くしたつもりだ。



ユーロピアンに限らず、海外の人は「一緒にでかけよう」と自然に大人数で行動することが多い気がする。


団体行動が苦手な私も、肩の力が入らないラフな感じなら気楽に出かけて楽しめることが多い。


でも気分によるので、気分が乗らない時は参加せずに家にいたりと上手にバランスが取れていたと思う。




ある日私が、


「昔教会だった場所を改装してできた、とっても美しくて人気のフードコートがあるのよ!私も行きたいと思っていたし綺麗な建物を見てほしいし、もし興味あればみんなで行ってみる?」


と提案し、マップも送り詳細を見せた。


彼はそれを見て「いいね!」と気に入り、3人で行くことになった。



その日はあいにくの雨で、彼が行きたいと行っていたノッティング・ヒルのマーケットに行ったあと、セントラルまでバスで移動した。


雨の渋滞で結構時間がかかってしまったが、そのフードコートに辿り着いた。





キラキラのエントランスをくぐって私は感動した。




うわぁ〜!!!


なんて美しいんだろうか!!!



歴史ある教会を改装していて、ステンドグラスと広い空間が本当に素敵!


中にレストランやバル、カフェもたくさんあって、多国籍で選び放題。



こんな素敵な空間でみんな好きなものが食べられるし、最高のチョイスだなー!来てよかったなー!!と、我ながら我が選択にとても満足していたのだった。



お昼時をだいぶ過ぎてお腹も空いたし、さー席を取りに行こう!とルンルンだったその時。




M「No(真顔)」









( ゚д゚ )???



今、なんて言った???





私「Noってどういう意味?」

M「ここで食べたくない(真顔)」









( ゚д゚ )?







私「なんで?」

M「ここはフードコートじゃなくて神聖な教会でしょ?

教会で食べるなんて嫌だ。(真顔)」






ぶっちーーーーん( ゚д゚ )





私「...あのさ?

私、事前に説明したよね?

マップも詳細も送ったよね?

教会”だった”場所で、今はフードコートに改装されたって。」




M「詳細をしっかり見てなかったし勘違いしてた、それはごめん。

教会を見てからどこかで食事をとるのかと思ってた!」



は???

何を聞いて見てたんだてめーは。




M「Natsumiと兄はここで食べなよ、俺は別のところで食べたい。」






ふはーーーん?(どういう効果音)


んなことしたくねーわ、雨の中ここまで来て!!



彼がこう言っているのには理由がある。


彼は、家族の中で一番信仰心の強いクリスチャンなのだ。


彼の中では、神聖な教会(神の前)で食事をとるなんてありえない。



もちろん、私は彼の信仰をリスペクトしている。



大事なことなのでもう一度記しておこう。



だからこそ!


私は事前に”以前は教会だった”場所がフードコートとして改装されている場所、今はもう教会ではない場所と説明した。


ご丁寧にマップも詳細リンクも送り、確認してもらって彼が「いいね!」と賛同した上で連れてきた。



しかも、ここを選ぶ前にパートナーにここはどうかなと相談したら、「いいね!Mが気に入りそうだ」と言ってくれて提案したのだ。


パートナーは私のおもてなし精神もわかってくれているのもあり「おい行くぞ」とMを席へ連れて行こうとしたのだが、あまりにも頑ななMに諦め、店を出ることになった。




この雨の中ここまでやってきて、第一声が「No」の一言だったことが心底信じられず、もはや軽蔑の気持ちがジワジワきてとても耐えられそうにない。


で?

ここからどーすんの?



私の提案を「No」と跳ね除けたにもかかわらず「何食べる?」と聞いてきて、嫌悪感が増すばかりだ。



私「私もあなたたちも希望してここに来たんだから、もちろん他の案なんてないわ。」


と突っぱねた。




二人で謎にインディアンレストランに決めたらしく、そこに行こうと歩き始めた。



何事もなかったかのように話をするM。



一歩歩みを進める度に、信じられないほど怒りのボルテージが上がっていく。




普段滅多にキレない私をキレさせたね、あんた。

悪いけど、私は何事も笑顔で穏便に済ませる大和撫子じゃねぇんだわ。


日本人女子ナメんなよ(そんなつもりは絶対ない)。




あまりに耐えられなくなった私は立ち止まり、Mを真っ直ぐ見て


私「私、今あなたに対してものすごい不快なの。わかる?」


と、静かに切り出した。

(つづく)


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