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【ブリストルひとり旅④】カボット塔のてっぺんで待っていてくれた夕日。心身の健康を保つのに大切なこと。
ハーバーの後、向かったのは「カボット塔」。
ジョン・カボットさんという人がニューファンドランド島を発見した航海400周年記念として、1897年に建設された展望台だそう。
塔の高さは32m、Brandon Hillという丘の上にそれはある。
今日は吊橋まで軽く登った気分だったが、この選択が私の身体を再びトレーニングさせようとしている。
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ハーバーからこの丘に来るまで、吊橋までの道のりとよく似たアップダウンの激しいアップの道を登ることになった。
この辺に住んでいる人は、きっとチャリより徒歩派が圧倒的に多いだろう。
電動チャリでもこの急斜面はさすがにきついと思うし、運動嫌いな私にとっては死活問題になり得るだろうと思った。
この町で過ごす1日は、私の運動不足解消に大きく貢献してくれているようだ。
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急斜面な道を登り終えたと思ったら、引き続きこの丘を登らなければカボット塔にたどり着けない。
ブリストルは、私が大好きなもの(カラフルな町)と大の苦手なもの(トレーニング)が見事に混在していて面白い。
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一面グリーンの優しさに癒やされながら、なんとか丘を登ることができた。
心の中で「おかーをこ〜え〜ゆこーうよ〜♪」と歌いながら、口笛は吹かなかった。
ダウンジャケットを着ている寒さなのに、歩きすぎて少し汗ばむ。
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遠くに夕日が。
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これがカボット塔!
遂に辿り着いた!!!
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早速登ってみることに。
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狭く急な階段がしばらく続く。
10月にスペインのサグラダ・ファミリアを訪れたのだが、あの急な階段より更に角度が急で暗く狭い。
幸い、あれほど長くはなかった。
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おおー!!!
あの大吊橋からの景色とはまた違う(もっと中心地に近い)ブリストルの景色に出会った。
眺められるスペースがそう広くないので、みんな誰かが移動するのをウロウロ待ちながら写真を撮っている。
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今登ってきた階段がここから更に上へ繋がっているようなので、せっかくなので登ってみた。
さっきより更に狭く暗いので、人とすれ違わないように目視ならぬ耳視して(人の気配がない隙を狙って)てっぺんへ向かった。
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まるで、私を待っていてくれたかのような夕日!!
ありがとう!!!
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私がてっぺんに着いてすぐに、この夕日は雲の中に隠れていった。
イギリスは本当に太陽が貴重で、こんなに連日晴れの日が続くことは珍しい。
グラストンベリーに着いた初日こそ初雪が降っていたものの、それ以降は雨も降らずお天気つづきで、毎日太陽を拝むことができた。
あのままの精神状態で彼との日々を続けていたら、こんなにクリアな心ではいられなかっただろう。
嗚呼、思い切ってひとり旅をして本当によかった、と心から思った。
このひとり旅中、みるみる内に表情が柔らかくなった自分に気付いていた。
無理して笑っているのでもなく、本当に自然に、明らかに。
穏やかな表情になった自分が嬉しい。
当たり前だが、身体と心の両方が元気でなければ健康とは言えない。
人それぞれ、「自分の健康を保つ」方法は異なる。
私にとっては、ひとり旅がその一つ。
2年半前、ひとり旅に対する価値観が真逆の彼と共に海外移住し同居するこの道を選んだ。
ワーホリに行くまでは3つの仕事を同時に掛け持ちしていたほどのハードワーカーだった私がすべての仕事を辞めて無職になった。
はじめはギリシャやイギリスという国が、私にとってはアウェイで刺激があって、旅からの延長線のように感じていたのかもしれない。
ひとり旅をしていなくても新鮮なことが多かったから、彼との価値観のズレがそれほど大きな問題とは思ってなかったように思う。
その歪みが、生活に慣れるのと比例してどんどん大きくなっていったんだな、と。
持ち家という不動産を持ちたい彼と、不動産という大きなものを持ちたくない私。
人生で2度も新築の家を持つことになった母を見て育った私は、「動かない大きな物」を持つ大変さや苦労を一番近くで見てきた。
税金や維持費などの金銭面ももちろんだが、何よりも「自分よりも大きなものを抱える重いエネルギー」を背負って生きることがどれほど大変なことかを近くで感じてきた。
この人生、私の1度きりの人生は、なるべく身軽でいた方が「私」を謳歌できるのだと思うのだ。
人はそれぞれ使命も違うしハッピーポイントも違う。
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カボット塔から暮れる夕日を眺めながら、そんなことを想っていた。
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