「カイポケ」の事業推移に改めて感動
いよいよDigital Health Meetup Vol.6が明日9月27日(火)に迫りました。キーノートを、エス・エム・エスさん(2175)にお話しいただきます。シニア×IT市場の考察~後半~は次回に譲って、予習がてら、介護事業所向け業務システム「カイポケ」のすばらしい成長を、勝手に振り返ります。
「カイポケ」は介護事業所向けの保険請求・業務管理ソフトウェアです。介護業界は2000年の介護保険スタート後に立ち上がった比較的新しい市場ですが2000年から約10年間は、オンプレミスのシステムが主流でした。そんな折、2009年にSaaSで低価格戦略をとって参入したのが「カイポケ」です。
(出所)エス・エム・エスIR資料より作成。14/3期までの拠点数は推計
なんて美しいグラフ:教科書に出てきそうなグラフで作っていて感動してしまいました。「カイポケ」は、競合の価格が、初期導入費用や保守費用で数十万円、数万円/月のところを、最低限の機能に絞り込み約3,000円/月で参入しました。6年間かけて一気に約12,500拠点数まで拡大し、市場に浸透した2015年3月期から、高付加価値リニューアルをかけ価格を一気に約10倍にし、投資回収期に入ったことを示しています。
介護事業所の利幅は低いので、価格を抑えたSaaSは受け入れられ易かったと思います。しかし、これだけのスピードで顧客開拓するには、既存の営業ネットワークを使ったのか、デジタルマーケティングをガシガシやったのか、いったいどうしてきたのか。そして、この6年間に、どれだけの経営資源とお金を投じたのでしょうか。とーっても気になります。
シェアでスピード感を見る:市場シェアは、2008年は約0%だったのが、2015年に事業所数ベースで約5.7%まで拡大したことになります(トップ2企業もシェアを伸ばしているのもすごい!)老舗でトップシェアのワイズマンやNDソフトウェアがそれぞれ20年超かけて約38,000事業所、約35,000事業所の顧客を獲得してきたことを考えても圧倒的です。
(出所)2008年:NRIパブリックマネジメントレビューJune2011、2015年:各社リリース・IR資料、厚生労働省統計より推計
市場全体のトレンド:介護システム市場全体は、横ばい圏で推移しています(データソースが異なるため正確でない可能性もありますが)。事業所は増加しているものの、SaaS型の普及によって平均単価が低下しているためです。「カイポケ」や、先日上場されたカナミックネットワーク(3939)さんなど、SaaS型ソフトウェアサービスのシェアが拡大しています。
(出所)2009年まではNRIパブリックマネジメントレビューJune2011、2012年以降は矢野経済、介護事業所数は厚生労働省統計
実はシニア×ITも、他産業も同様の展開が見込まれる?:SaaS型ソフトウェアの普及に伴って、今後は、他産業でSaaSの会計ソフトが活用されているのと同様に、保険請求や業務管理だけでなく、債権管理や物品購入、集客など、様々なサービスに連携されていくことが予想されます。今後、「カイポケ」さんはどのような事業展開をされていくのか、明日は伺いたいと思います!!