人間中心から、感性中心のデザインへ〜ポスト・Human-Centered-Designの提案〜
人間中心デザイン(Human-Centered-Design)から、
感性中心デザイン(Post-HCD)へ。
それが、これからの時代に求められていることだと感じています。
人間中心デザインとは、言葉の通り、人間を中心に捉えたものづくりで、生活をより豊かに、発展させてきました。
しかし、”人間中心”だけでは、片手落ちな気がしています。
”人間中心”とは、解釈を間違えれば、とにかく快適、とにかく便利、とにかく人にとって使いやすい、となりがちです。
例えば、真夏の暑い日。
人間中心的に考えれば、暑い外から部屋に帰った瞬間、心地よい温度にクーラーが自動で空調をコントロールして待っていてくれる。
とっても快適ですね。
しかし、一概に心地いい、とは言えないはずです。
その瞬間快適でも、なんだか環境に負荷をかけている感じがする、人工的な感じがする、居心地の悪い気がすることもあったり…。
ただ快適なだけでは、
例えば、どんな情報もすぐ手に入るネット社会。
人間中心的に考えれば、欲しい時に欲しい情報が手に入る、スピードと使いやすさが重視された設計は、非常に便利です。
しかし、偶然的な出会い、セレンディピティの機会をたくさん逃しているかもしれません。
不確実性を楽しめる感覚や、自分以外の周りと関わりあいながら生きる喜びを、私たちは知っています。
人間中心だとなんだか片手落ちな気がする…
私はここで、ここで”感性中心”と捉え直すことで、
自然との共創を思い描いたり、周りの人との繋がりをとらえ直したり、
本当の喜びってなんだろう?豊かさってなんだろう?
と、立ち止まって考えることができるのではないかと考えます。
これからも便利なものづくりは進化していくと思います。
どんどん便利になって、目まぐるしく進化していく世界に疲れることもあるかもしれません。
でもそんな時、ふと立ち止まって、こころの拠り所になるような、そんなこころ豊かなデザインをしていきたいです。
人間中心から脱却し、感性中心のモノづくりへ。
もっと、自然とのつながりとか、他の動物や周り、祖先とのつながりとか、そういう、生態系の中の人間として捉え直していきたいなと思います。
どんなものがこれから生み出せるのか、楽しみです。