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失敗から学んだ英語

 前回の記事に、「失敗した経験から学んだ英語は一生もの」と書きました。
今回は、私の実体験を書こうと思います。

 今でこそ英語教育に携わる毎日ですが、中学生の頃はまさかそんな職に就くなんて考えられないほどに英語ができない子でした。両親の影響で、海外旅行は好きだったので、かろうじて英会話は頑張れる。けれど、ペーパーテストはいつも平均点を下回る。いわゆる「できない子」でした。

 ある週末に、近所の仲良し家族のホームパーティーに参加した夜のことです。その家族は毎年、日本の大学にやってくる交換留学生を受け入れしていました。留学生のメグという女の子と、近所の日本人の子と3人で浅草の話をしていました。お互い慣れない日本語と英語で、必死になってボディランゲージを交えて会話したのを今でも覚えています。メグは和菓子や日本のお寺が大好きで、いつか一緒に行きたいね!と盛り上がっていました。

 ホームパーティが終わり、玄関先で別れの挨拶をした時に、メグはまた、浅草に絶対行こうね!と声をかけてくれました。冬休みに行こう!と話していたので、メグは確認するように、「We can go Asakusa during winter break, right?」と聞いて来ました。

 私は特に何も考えずに、「maybe.」と返してしまったのです。その瞬間、メグの顔が少しシュンとしたのを見て、あれ?と不思議に思いました。

 「そこは、probablyだね。」

 すかさずもう1人の日本人の子が助け舟を出してくれました。私は、「多分行けるよ〜。」と返すつもりで「たぶん」を表す「maybe」を使ったのですが、「たぶん」を表す単語にもいろいろ種類があるということを、その時初めて知ったのです。

 日本語での会話では、曖昧な表現で、良くも悪くも「たぶん」という言葉を使いますよね。「多分大丈夫!できると思う。」の「たぶん」と「たぶん無理かな。」というように・・・。実は英語にも「たぶん」を表す表現はいくつかあって、可能性の高さによって単語を使い分けているのです。

 この夜の経験と英語の発見は、当時中学生だった私にはとても衝撃的でした。その後も私の英語力がすぐに上がることはなく、苦労することも多くありましたが、今となってはこの夜の失敗談が宝物です。失敗したことで、気づくことができたのですから。

 大人になった今でも、教えるための教授法とともに、自分の英語力を上げる勉強をしています。難しい文法やはじめて見る単語に出会った時は、あの時の衝撃があるからどうにかなる。と心の中で呪文を唱えています。笑

 そして毎年、私はこの中学生の時の経験を赤裸々に生徒たちに伝えています。生徒は「先生にもそんな時があったんだ〜。なら頑張れるかな。」と。語学学習のハードルを少しでも下げるために。



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