映画メモ#1 「違国日記」
恥ずかしくて公開できないものもあると思うけれど、今まで書いてきた映画メモをnoteに公開するのもありかもなあと思いました。
#1(とかいいながらこれで終わる可能性もある)は6月に観た「違国日記」
原作ファンの友に読んでもらい、良い反応をもらえたので、読んでくれる方がいたらとても嬉しいです。
主演ガッキーが演じる槙生。あんなに可愛いのに、ぼさっとして、片付けが苦手で、姉のことを心の底から嫌っている。そんなキャラクター。
「分かり合えない、分かり合えなくて良い、反対されても、好きなことをやったらいい」
ときっぱり、勇ましい口調で言う。
たまに優しく「お風呂入れるね」とか「メロン食べる?」とか、親しみのある柔らかい口調にもなる。
次に何を、どんな口調で言うのかな、といつの間にか惹き込まれていた。
そんな槙生と暮らすことになる朝。
目の前で両親が事故に遭い、亡くなってしまう。中学校卒業間近に。
15年も生きてはいるけれど、感情が足りなくなってしまわないか?と心配になってしまうくらい、槙生と暮らす日々や高校生活には刺激がいっぱい。
やりたいことが見つかっていて、そのために前のめりに打ち込む同級生、同性と心を通わせている親友、槙生の友人、槙生の頼りになる存在。
そして亡くなった母。
心の中に生きていて、たびたび話しかけてくる。
時にマイナスな感情に引っ張られても、逃げない。
みずみずしさ、純粋さも持ち合わせ、槙生の友人ともすぐに打ち解けてしまう。コミュニケーションってこんなに簡単なの?と思うくらいに。
かと思えば、暗雲が立ち込めるのもあっという間。ひょんな一言、一瞬で。
「柔らかな年頃。私のちょっとした一言で人生が変わってしまう」
姉の娘である朝を引き取った当初、不安を打ち明けた槙生の一言。印象的だった。
ただでさえ、周りと比べ敏感な心を持たざるを得ない朝。
分かり合えないかもしれない、愛せないかもしれないけれど、向き合おうとしている気持ちが伝わってくる。
「柔らかい」という表現も素敵。
未来に向かって、がむしゃらで居続けられたら良いけれど、なかなかそうもいかなくて、揺れ動く心。どうしても周りの目も気になるし。
もう戻らないあの頃を切り取った映像を、スクリーンを通して観ることができて、とても良かったなと思う。という感想が自分の中から出てくるということは、まだ若さに憧れがあるということなのだろうか。
最後、いきいきとバンドのボーカルとして歌う朝の姿は、涙なしには観られなかった。
誰かの一番になることに憧れのようなものを含ませる朝の様子は、その年頃特有のものかな、と思いながらも、誰もがどこかで常々感じていることではないか。
通り越すと執着や嫉妬にも替わり得ないものに、どうしたって憧れてしまう。
人と人が一緒に生きるうえで、抗えない。
冷たすぎず、熱すぎず、それが程よい温度なのかは本人たちにしか分からないが、たまにほっこり、これだけでとても満たされたり、幸せを感じるひとときがある。そういった描写に救われる気がした。
一緒に住むことになるふたりが、槙生と朝で、よかったなと思う。