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トラブル慣れしてるフランス人|2020.07.29(wed)
帰国手続きの関係で夫と郵便局へ行った。トラブルはその帰りに起きた。
我が家はアパルトマン内に入るのに、2つのドアをそれぞれ開ける必要がある。外から中、中のポストがあるホールから階段のある住居部分。
外から中は、いつも通り鍵をセンサーに読み込ませスムーズに入れた。問題はその次。いつものように、各住居の呼び出しベルの真下にあるセンサーに鍵を当てても、ドアが開かない。1つ目のドアが空いたのだから、鍵が原因ではないだろう。
家に帰れなくなってしまった。私たちは不運にもスマホを家に置いてきてしまっていた。まあそれがあったところで、どこの誰に何語で助けを求めていいかもわからないのだけれども。
各家のベルをひたすら鳴らすも、誰も反応してくれない。フランスは現在バカンス中。先日も0階の人が引っ越しとも見紛うレベルの荷物を大量に運び出し、旅立つところを見たばかりだった。
鍵を直接ドアの鍵穴にさして開けてみても、そもそも鍵が違うらしい。壊れそうになる。
これはまずいことになった。誰かが来るのを待つしかないか…と、10分ほどとりあえずぼーっとしていると、住居者が一人やってきた。事情を説明し、彼女の鍵で開けてもらうも、やはり無理だった。
家にいるはず…という彼女の夫に電話をかけてみるが、反応がない。「もしかしたら出かけているのかも!」
彼女は笑顔で私たちにそういった。期待してしまったではないか…!
「今日みたいに暑い日はこういう不具合ってよくあるのよ」とのこと。
まるでトラブルも日常の一部のような話ぶりだ。修理を依頼するのではなく、この環境に慣れればいいという発想なのかな?!
各住居へのベルが反応しないのもやはり鍵センサーと同じく不具合らしい。
どうしたらいいものか…と思っていたら、救世主が登場した。
宅配員だ。事情が伝わると、そんなことかと驚いたそぶりもない。ドアが開かないなら宅配員が届け先の人に電話をして、玄関まできてもらおうと笑顔で提案してくれた。
やはりベルが故障していたらしく、電話をすると住人は在宅していた。すぐに降りてきてくれ、内側からドアが開いた。
一時はどうなることかと思ったが、ロビーにおいてあったオブジェの傘を壁とドアの間に置き、閉まらないようにした。そして名刺ほどの小さな紙に、「ドアが壊れています」とメモを書き、横に寝そべった傘の上にそっと置く。
このドアを今後どうしたらいいのか、どのような対応をすればいいのかという話し合いは一切せず、住人それぞれが挨拶をして各家に戻っていた。
寝そべった傘をみて、故障用に用意されていたものなのではと思った。あまりにもサイズ感がぴったりだし、そもそも植物の影にひっそりと置かれていたもので、インテリアというにはあまりにも存在感がなかったからだ。
最後の最後までトラブルが尽きないフランス生活だけれど、こんな日常もあとわずかと思うと、ちょっぴり楽しいと思える心のゆとりが生まれる。
Vive la France !!