彼女の顔をもう一度のぞきこむため、私は向上心を一時停止した。(インナーチャイルドとHSPオンラインコミュニティの話)
私の中にいる「なつちゃん」は、ひざを抱え、最初は顔すら見せてくれなかった。
3年ほど前、カウンセラーさんにお世話になっていた時、私は「インナーチャイルド」にアクセスしたことがあります。
「心の中の、小さな”なつちゃん”に会いに行きます」
そんなことを言われて、最初は半信半疑だったけれど。
カウンセラーさんの誘導でのぞいた心の中に、その子は、ちゃんと、いた。
けれど、顔が真っ黒だった。
顔の真っ黒な、小さな「私」
「インナーチャイルド」とは、訳のとおり、「内側にいる子ども」。
本当は、素直でまっすぐで愛らしい、光そのもののような存在。
だけど、幼少期にさまざまなつらい経験することで、悲しみ、傷つき不安定な状態になる。
そのことが、大人になってからネガティブな影響が出る、と考えられているそう。
自分のやりたいこと、本音を後回しにしてきた私の中は…
無機質で、真っ白な空間が広がっていて。
そのまんなかで、顔の分からない女の子が小さな体を折り、丸くなっていた。
どれだけ声をあげても、無視し続けられたから。
その声を無視したのは、大人の私。
もう、あきらめきって、したい表情すら忘れた子。
衝撃的だった。
それから、顔をあげてもらうまで、一ヶ月ほどかかった。
半年かけて、私は彼女にふんわりとしたドレスを着てもらい、天蓋付きのお姫様ベッドでゆったり過ごしてもらえるまでになった。
ふざけたり、元気に走り回ったり、みたいな感じじゃなかったけど、ときどき会いに行くと、笑顔で好きな本をもくもくと読んでいる。
淡々とど真ん中で意志の強い意見を言い、清潔なベッドでぐっすり眠っている。
そんな姿に、私はすっかり安心していたし、実際に息子を育てている経験も、「子どもと向き合う」ことを以前よりスムーズにできるようになっていた理由だと思います。
彼女の声は、無視しないように。
同じことを繰り返さないように。
気をつけていたはずなのに。
ときどき訪れる、なんとなく眠れなかった夜。
どうしてそんなことを思ったのかは分からないけど、本当になにげなく「私、自分のこと、好きなんだよな」という言葉が頭に浮かんだんです。
その時、ピクッと誰かが顔を上げる気配があって。
私は「ああ、やってしまった…」と、深いため息をつくことになります。
彼女を傷つけたのは、私の「向上心」だと思う
「自分のことが好き」
その言葉を待ちわびていたかのような反応でした。
「まだ、そう思ってくれてるの?」
間違いない、”なつちゃん”からの声。
でも、次の瞬間にはその感覚はしぼんでいって。
「そんなわけない」
「久しぶりに聞こえたけど、なんか聞き間違いだったのかも」
そんな、あきらめの気持ちが広がるのを感じました。
慌てて、彼女の顔をのぞきこんでみると。
以前と同じ、どんな黒より透明な、黒だった。
そして、すーっと「天井」が閉まり、姿が見えなくなってしまった。
こんな状態をもたらしたのは、私の「向上心」が原因だ。
仕事へのコンプレックス
会社員、パート、ママのコミュニティ運営スタッフ、個人事業主。
どの仕事も、最後はいつも自信を失い、心身ともにヘトヘトになって辞めていました。
要因はたくさんあったけれど、たぶん、私は人が好きで、いろいろなことが「仕事」と切り離せずに苦しかったんだと思う。
今は主婦をしながら、少しずつゆるゆると在宅でできる仕事を再開しました。
仕事を再開するのは、正直とても怖かった。
また同じ失敗を繰り返すんじゃないか…その恐怖がいつまでも頭から離れませんでした。
それでも私は一歩を踏み出しました。
向上心、一時停止。
一歩を踏み出す勇気を出すために、心がふんわりとするまで、一年半ほどかかった。
その間にしたことは「向上心を一時停止したこと」でした。
前回、仕事を辞めた後。
私は怒涛の勢いで、インフルエンサーをフォローし、意識の高いYouTubeやVoicyを家事をしながら聞きまくりました。
自分一人で、ひょうひょうと稼ぐ人になれば、きっと楽になる。
誰かと仕事をするから、傷つくし苦しい。
個人で稼ぐ時代だ!!
そんな思いで、コツコツと発信をする土台を作っていきました。
でも。
びっくりするくらい。
全然おもしろくなかった。すごく苦しかった。
インフルエンサーさんのことは、お一人お一人のことはとても好き。
尊敬できるし、すごいなぁと素直に思う。
だから、その人たちをフォローしたり、発信する意見や情報を聞いているのは私にとっても心地よかった。
だけど、自分の許容量をこえた発信を受け取ってしまったのがよくなかった。
「急いで!あれもできる、これもしてみて!」
ずっと追い立てられるような声が聞こえる中、どこを目指していいか全く分からなくなって。
それでも情報は、毎日、毎時間、追いかけてくる。
情報をえるのをやめてしまったら、それこそ「なんにもしない人」になってしまう。怖い!
なかば依存的になっていて、「ながら聞き」の情報収集はやめられませんでした。
そして、ある日、限界を迎えました。
「ああ、こうして自分でガシガシ稼ぐ、そのために積み上げる、みたいなやり方は私には向いていないんだ」
そう自覚しました。
すごく情けなくて、悲しかったけど。
「もうやめよう」
そう決めた時、ちょっとだけ、ホッとしたのも覚えています。
それまでTwitterなどでフォローしていたインフルエンサーさんのフォローを外し、オンラインサロンなどの加入も解除。
私のタイムラインは、ずいぶんとすっきりしたものになりました。
HSPオンラインコミュニティに参加してみた
そんな中、私が唯一「加入」したもの。
それが、HSP向けのオンライコミュニティでした。
HSPと出会ってすぐの頃。
HSPについて発信するばっしーさんを見つけました。
「へぇ…HSP向けのオンライコミュニティなんてあるんだ…」
興味が出たものの、
「うまくコミュニケーションできるのかな…」
「もう、仲良しさん同士が集まって仲良くやってるのでは?」
こんなふうに、あれこれ理由をつけて迷ってました。
そして、この数々の解約を経たのち。
本当に自分がやりたい、興味がある世界へ飛び込もう!と勇気を出して、加入。
これが、今思っても、大きなターニングポイントでした。
自己紹介に始まり、私のちょっとした気付きや、ほっこりおすすめアイテムなど…
他愛のない投稿に、色とりどりの可愛いスタンプで反応があった。
真摯で思いやりあふれるコメントをいただいた。
こんなことで悩むなんて私くらいでは?という内容も、「わかる!」「あるある」とコメントが。
そっか、自分だけじゃないんだ…!
これまでぎゅうっと握ってきた不安を、手放すことができた。
結果、みるみるうちに精神が安定していきました。
仕事を再開した今も、ドキドキソワソワするときは、「ひみつ基地」を訪れて癒やされることで回復しています。
今の「なつちゃん」の様子は
なつちゃんは、今、どうしているか。
見てみると、ほとんど姿を感じなくなりました。
正確に言うと、私自身と同化したような感覚。
自分の思いや「好き」を選べるようになった私という”船”に、ようやく信頼して乗ってくれたようです。
ときどき、苦手なことにあたると「わあーーーーん!!!!」と大泣きしていることがあるから、寄り添って、肯定して、泣きやむまで付き合ってます。
私は小さい頃、「おもちゃ買って!!」みたいなわがままを決して言わない子だったので、感情をしっかり表して泣く「なつちゃん」を見ることも、実はちょっとホッとします。
この信頼を裏切ってはいけない。
自分を大切に、って、この「ちいさなじぶん」を大切にすることなんだとしみじみ感じています。
サードプレイスで、ゆるむ、認められる。この発見は大きかった
心の中の「ちいさなじぶん」と向き合うには、エネルギーがいります。
過去のしんどい思い出とも、向き合うことになります。
だからこそ、あなただけの「サードプレイス」を見つけることは、とても大事なんだと実感しました。
サードプレイスとは、家でも会社・学校でもない「第三の場所」。
そこは、なんの肩書きもない、なんなら本名さえ伝える必要はない、「シンプルに一人の人間としての自分」でいられる場所。
例えば将棋仲間だとしたら、小学生とご老人が対等に議論をかわすことだってある。
そんな自分だけの場所を、ぜひ見つけてみてください。
自分で自分を肯定できるようになるためには、やはり「人」からの肯定は必要です。
そしてその肯定は「周囲からはすごい!と見えるのにあなたは気づいていないこと」「あなたのちょっと恥ずかしいところ」も、ごく当たり前に(当たり前すぎて反応が薄すぎることも笑)受け入れてくれるということ。
是非探してみてください。
私の話、読んでいただいてありがとうございます。
あなたにも、ちいさなじぶんと向き合うきっかけが訪れますように。