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ショパンが語る、ノクターン第20番嬰ハ短調

Note上で展開する、架空のラジオ番組《クラシック・エトセトラ》。
この番組では、毎回異なる音楽家がパーソナリティーを務め、
自身のお気に入りの曲と、その曲にまつわるエピソードを語っていきます。
今日の担当は、作曲家のフレデリック・ショパンさんです。
(お話は史実に基づき構成しています)


こんにちは、ポーランド出身でパリで暮らしています
フレデリック・ショパンです。

最晩年のショパン(1810−49)ルイ=オーギュスト・ビソン撮影


前回は、苦い恋の思い出にまつわるワルツを紹介しました。

今日は、僕の大切な姉、ルトヴィカとの思い出の曲を紹介したいと思います。
僕は4人兄弟で、姉一人と、妹が二人いるんだ。
その中でも3歳上の姉、ルトヴィカとは仲が良くてね。
大人になった今も、彼女は僕の心の拠り所のような存在なんだ。

僕に初めてピアノを教えてくれたのも、
ポーランド語の読み書きやフランス語を教えてくれたのも、
ルトヴィカなんだよ。

僕が死んだ時には、誰よりもルトヴィカに
パリからワルシャワまで僕の心臓を連れて帰って欲しいって遺言してるくらい。
大好きな姉なんだ。

ルドヴィカ・イェンドジェヴィチ(1807-1855)

ルトヴィカは、ピアノも作曲も素晴らしい腕前でね。
一緒に住んでいた頃は、当時ワルシャワでもあまり聴かないような
完璧なマズルカを作曲して、僕たちに聴かせてくれてたほどだよ。

今日みなさんに紹介する曲は、
僕がルドヴィカのために書いた嬰ハ短調のノクターン第20番です。
ある時、ルドヴィカが、
僕のピアノ協奏曲第2番を演奏したいんだけど
上手く演奏するための練習曲は何が良い?
って聞いてきたことがあってね。
それなら、協奏曲に出てくるフレーズを使って
ぴったりの練習曲を書いてあげるよって言って、
それで書いた曲なの。
特に題名は付けなかったんだけれど、
ルドヴィカは、ノクターンみたいに綺麗な曲だって凄く喜んでくれたんだ。

それでは、僕が大好きな姉ルドヴィカのために書いた曲
ノクターン第20番嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」(遺作)をお聴きください。

演奏は、ブルース・シャオユー・リウです。


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夏目ムル
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