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ロッシーニが語る、《猫の二重唱》

Note上で展開する、架空のラジオ番組《クラシック・エトセトラ》。
この番組では、毎回異なる音楽家がパーソナリティーを務め、
自身のお気に入りの曲と、その曲にまつわるエピソードを語っていきます。
今日の担当は、作曲家のジョアキーノ・ロッシーニさんです。
(お話は史実に基づき構成しています)


こんにちは、イタリアのボローニャ出身のジョアキーノ・ロッシーニです。
いつも美味しいものを食べて、愉快にオペラを作曲しているよ。

1865年のロッシーニ(1792−1868)

先日、ここでチェルニーさんが《猫のフーガ》について話していたよね。
そしたら、猫好きの人たちから、
猫の曲といえば、ロッシーニさんでしょ
ってうるさくてね。


いやいや、実は僕の曲じゃないんだけれど・・・
まあでも愉快な曲だから、今日はその曲を紹介するよ。
タイトルは《猫の二重唱》だよ。

この曲は、イギリスあたりで誰かが合成した曲らしいんだけど、
みんな僕が書いたって思ってるんだよね。
なぜか作曲者が僕の名前で出版された楽譜もあるらしいよ。
でもね、僕はオペラ作曲家でしょ。
オペラって、有名になればなるほど、みんなが旋律をコピーするからさ。
似たようなことは、たくさんあるんだよ。
できた曲は『ロッシーニ風』とか『ロッシーニアーナ』って言うんだけど。
凄い作曲家たちまで『ロッシーニ風』で曲を作っちゃうんだ。
僕は料理も好きでレシピも考案してるけど、
そちらもコピーする人が多くて、
だから料理も音楽も『ロッシーニ風』ってのが多いんだよ。
まあ、僕のセンスが抜群ってことだから、嬉しいけどね。

料理をするロッシーニをイメージ ©︎夏目ムル


ロッシーニ風《猫の二重唱》
歌詞が「Miau ミャーウ」しかなくて、とにかく秀逸だよ。
冒頭のカヴァティーナは、
デンマークの作曲家が書いた《猫のカヴァティーナ》という曲のコピーらしくて
その曲も、どうやら歌詞はMiauだけみたい笑
それで、その後に僕のオペラ《オテロ》のパロディーが続くんだよ。
オペラの方は、ドロドロの悲劇だからさ。
同じ旋律を、2匹の猫がミャーミャー言って歌っているのは、面白いよ。

猫の喧嘩を見守るロッシーニ ©︎夏目ムル


ということで、僕の作品ではないんですが、
ロッシーニ風の《猫の二重唱》、どうぞお聞きください。

演奏は、ソプラノのナタリー・デセイとメゾ・ソプラノのカリーヌ・デエです。


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夏目ムル
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