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魔女の国 第28話~37話 

魔女の国 第28話 決闘

「先を急いでいる。また今度にしてくれ。」「・・・嫌だね。」

ゼインはゼロにとって何百年続く因縁の相手。私の方をじっと見る。

「女を連れているなんて珍しい。」ゼインはこちらに近づこうとする。

「お前の相手は俺だ。」ゼロは結界から離れた場所へゼインを押し返した。

あまりの迫力に、私は見ている事しか出来ない。ゼロ、どうするの?!

魔女の国 第29話 一瞬の油断

歩きやすく開けた土地になって来たところで、「マリー、結界を作れ!」

急にゼロが私の前にマントを広げ、前を塞いだ。慌てて杖で魔法陣を書き、

私は自ら結界の中に入った。「久しぶりだなゼロ。」誰かの声がする。

「前回会ったのは100年前くらいか?」「ゼイン、まだ生きていたか。」

ゼロがマントを下げると、一人の男が立っていた。

魔女の国 第30話 マリーの覚醒

ゼロを助けたい気持ちと怒りがこみ上げる。その時何かのエネルギーが動き

出した。急いで結界を解いて外に出て、呪文を唱える。

今なら杖が、言うことを聞いてくれるはず!「ゼロ!降りてきて!」

私は杖を振ってゼロを木の上から引き寄せた。ゼインの攻撃を避けれる

ように魔法のシールドを張り、更に魔法陣の中へゼロを引き入れた。

魔女の国 第31話 回復魔法

「くそっ!生意気な娘め・・・!」ゼインの魔法もブロックできている。

「よかった!今度は私が助けるわ!」ゼロの腹には大きな穴が開いていた。

私はゼロを魔法陣の上に寝かせ、杖に祈りを込めて回復の呪文を唱えた。

数分の時間稼ぎが功を奏して、ゼロの傷が回復。「ゼロ、大丈夫!?」

ゼロは意識を取り戻す。マリーの頭をなでると立ち上がり、結界を出た。

魔女の国 第32話 決着

傷を回復して結界の外へ出たゼロは、静かに集中。ゼロの杖が光り始める。

「平和に生きて能力が落ちたんじゃないか?ゼロ。」

「・・・そうだな。争いはこれで終わりにしよう、ゼイン。」

その瞬間ゼロの杖から強い光が放出され、ゼインは動けなくなった。

ゼロがゼインに近づき手を触れると、ゼインは石像ように固まっていた。

魔女の国 第33話 戦いの後で

「これで安心だ。魔法を解かない限り、ゼインが動き出す事はない。」

「ゼロ・・・!」結界を出て駆け寄ると「助かった。」とゼロが一言。

・・・え、ゼロがお礼を言った?

「杖と仲良くなったみたいだな。」「私、レベルアップ出来たみたい!」

旅の中で、段々と2人のコンビネーションが良くなってきた気がした。

魔女の国 第34話 最北の地

いよいよ最北の地に足を踏み入れる。だけど私は、元の世界に戻る日が近づ

いているのね・・・。2人で歩きながら、そんなことを思うと少し切ない。

最後の目的地、魔法の洞窟を目指して、岩場の上がり降りを毎日繰り返す。

こういうことも慣れてきた。もうすぐ洞窟にたどり着く。

なんだか落ち着かなくて、ザワザワしてきた。

魔女の国 第35話 光の扉

いよいよ今日は満月の夜。「マリー、見ろ。あの洞窟だ。」

ゼロが指さす先に、確かに洞窟が見えた。マリーは息をのんだ。

「光の扉、あるかしら。」ランプを手に洞窟に足を踏み入れる。すると、洞

窟の奥に光が見えた。光の扉があったことに安心した。だけど、なんだか複

雑な気分。扉を目の前にして、突然ぽろっと涙が出て来た。

魔女の国 第36話 別れの葛藤

「どうしたマリー。」「戻ってしまったら、もうあなたと会えなくなる。」

涙が止まらなくなる。ゼロはやさしくマリーの手を握った。

「よく頑張った。マリーはオレの相棒だ。元の世界の家族が心配するぞ。」

確かに現実を考えると、ゼロは永遠に年を取らないけど、私は普通の人間。

一緒に生きることは無理なのかもしれない。現実の世界に戻るべきなのか。

魔女の国 第37話 旅立ちの時 完

「いつかまた会える?」光に手を近づけると、ゼロがマリーを引き留めた。

マリーはゼロの頬にキスをした。しかし二人の間には現実世界の壁がある。

「ありがとう、ゼロ。」「出会えてよかった。ありがとう、マリー。」

ゼロはやさしくハグをしてマリーに感謝を伝えると、再びマリーを光の扉に

近づけた。意を決して光の中へ。マリーは普通の人間に戻る選択をした。


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なつこ
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