遺書No.568 悪魔組曲。~食肉~
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2006.1.23
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たまにはね、
どうにも胸のすかない、
どうにもすっきりしない、
何やら暗いモヤモヤだけが胸に残るような、
そんな文字列にしてみようと思う。
これを君たちが読む頃がどんな時代になってるか知らないけれど…
こんばんわ、みーくんです。
ただのイヤガラセに感じるかも知れないけど、
どうぞごゆるりと読んで頂けたらと思う。
ネタでもジョークでもない、
全く意味もオチもないショートショート。
『悪魔組曲』シリーズ。
「食肉」
今日の朝ごはんは、
昨日の夜の残りだった。
そう、昨日食べたハンバーグ。
あれはおいしかったなあ、うん。
だってさ、∵⌘¢£産の天然人肉だよ?
自然味があってさ、
もう最高だよ、
美味しいったらありゃしない。
それに比べて、
都会の奴等の肉ときたらもう、
排気ガスやら何やらで汚くて、
食えたもんじゃないよ、全く。
で、昼ごはんは白色人種の脚の唐揚げ。
うん、これもなかなかいける。
でも黄色人種の肉には適わないね。
他はやっぱり筋肉がありすぎて美味しくない。
都会産より地方産、
黒色より白色、
て感じだね。
やっぱり都会産特有の妙な味、
そう、あのガスで汚れた人間は腐ったような味がする。
だけどその点、
§#*⁂系は自然な旨味があって美味しいね。
太陽の光と水、
血と大地の香りによるブレンドは絶妙だよ。
まあ、晩ごはんがすごかったから、よしとしようか。
ステーキだよ!
高級∮⇔‡∈∂産人肉のステーキ。
すごかったよ、あれは。
おいしい、おいしい、おいしい。
ほんと、人間にもこんなおいしいのがいたんだ!と、
思わず感心しちゃった。
それに比べて、都会の人間の味と言ったら……あ、
これはさっきも言ったっけか。
そして、今日の朝ごはんは……ああ、想像するのも、もう疲れた。
そう、僕は牛。
いつ人間に食べられるのか、
いつその為に殺されるのかも分からない、
ただの牛。
気晴らしに、
想像で僕らと人間の立場を逆転させてみたんだ。
でもやっぱり、
あんな薄汚れたやつらの肉なんて、
食べたくないな。
まあそもそも、
肉なんて食べちゃだめ!
そう言われるだろうけどね、
お母さんに。
ああ、それと今朝はね、
お母さんが連れていかれた
多分、
肉牛として売りに出されるんだろうな。
そうだ、
これから絞め殺されて、
体を切り刻まれて、
幾つものパーツに分解されて、
ただの蛋白質の集合体に成り果てて、
加工されて、
そして食べられる。
僕らは肉。
僕らは食べられる為だけに生まれてきた、
肉の塊。
肉の塊は、人間も同じなのにね。
奴等は食べる為だけに生まれてきた、
肉の塊。
お母さん、お母さん。
僕を産んでくれてありがとう。
お母さん、お母さん。
お母さんは、人間に食べさせる為に僕を産んだんじゃないんだって、
僕はちゃんとわかってるから。
お母さん、お母さん。
いってらっしゃい、さようなら。
そしていつか、僕も食べられる。
肉の塊に、食べられる。
一度でいいから、僕も食べてみたいなあ。
肉の塊を・・・。