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【悪性リンパ腫・闘病記③】なんでもメンタルのせいにするのはよくないよ。


-前回の記事はこちら-

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MRI検査とPET検査の結果、腫瘍が転移してる可能性を示唆され、さらに2つの病気を疑われた。「悪性リンパ腫」と「胚細胞腫瘍」である。悪性リンパ腫は血液中のリンパ球が癌化する病気で、胚細胞腫瘍は生殖細胞が癌化する病気。両者は全く別の病気なため、治療法が異なる。故に、実際に腫瘍を摘出して検査する必要があると言われた。

全身麻酔の手術に付随する入院に加え、いずれにしろ癌なので長期の治療が必要となる。それを長野で行うのか、地元の福岡で行うのか、判断を迫られることになった。家族と相談した結果、いついかなることが起こるかわからないので、身寄りが1人もいない長野よりも家族も実家もある福岡が良いだろうとなった。思いがけない理由で、約2年ぶりの帰省が決まった。

帰路に着く途中、これまでのことを振り返った。これまでとは、「体調が優れないと感じ始めてから今日までのこと」だ。実は一年半ごろ前から、呼吸がしづらくなったり、他人から「顔色が悪い」と言われることが増え始めていた。
特に、冬に長野に移住してからは顕著で、明らかに体力が落ちているのを実感した。少し走っただけで息が上がる、日中ずっと眠い、定期的な発熱、謎の発疹。その全てを、己のメンタルの弱さと高冷地のせいにしてやり過ごしていた。

しかし、メンタルの弱さに対しては実は異議を唱えたい。確かに気にしすぎなところはあるし、落ち込むことも多いが、他者と比較して自分が特別弱いと感じることはあまりなかった。多分、弱々しい見た目のせい?かは分からないが、自己評価の他者評価のズレを感じていた。

「言われるほどメンタル弱いかな?僕って」

持論だが、なんでもメンタルのせいにする最近の世の風潮はあまり良くないと思う。気分の落ち込みには何かしら原因があると思うし、それは個人の性格とか抽象的なものじゃなくて、実は目に見えてハッキリとしているものかもしれない。怪我をして身体が痛かったらイライラするだろうし、病気を患っていたらホルモンバランスだって崩れる…。実際、私の顔色の悪さは腫瘍が気管支を圧迫して呼吸困難に度々陥っていたことが原因だった。酸素不足だったら不安にもなりやすいよ、きっと。笑

若いと癌の進行が早いことも知った。腫瘍も生き物なので、発生源となる肉体が元気だとたくさん栄養を吸って同じく元気になっちゃうらしい。その分、身体の体力があるから薬も投与しやすいらしいけど、事態は決して楽観的に捉えてはいけない状況だった。

さて、地元の帰ってきた私は大学病院にお世話になることになった。家から車で30分、近くて助かる。転院したこともあり、最初は検査、検査、検査…。呼吸器内科、呼吸器外科、麻酔科、血液内科、泌尿器科、とにかく色んな科をタライ流しにされた。大学病院はいつも人でごった返してて、毎日の患者数が2500〜3000人。人の数だけ辛そうな表情がある。病院嫌いな私にとって、その人の多さと雰囲気、そしてスムーズに進まない検査は大いに気分を落ち込ませた。

そんな私の救いは「ご飯」だった。皆さんが持つイメージのままに、福岡はご飯がとにかく美味しい。大学で地元を離れることになり、特に社会人になってからはずっと東日本で過ごしているのだが、なんだろう根本的に味付けが違うのかとにかく福岡のご飯が美味しい。ラーメン、もつ鍋、博多うどん。他の投稿で博多飯について語ってるので是非読んでもらいたい。体重が2週間で3キロ増えた。



実家で過ごしている間、地元の友達が家を訪ねてくれたことも嬉しかった。みんな立派だった。結婚していたり、もう子供がいたり、何より真っ当に働いている。20代後半という、人生の中でもライフイベントが特に多かったり、大人としての軸が形成される年代に、私は何をやっているんだろうと悲しい気持ちになったりもしたけど、人生とは自分が持ってる経験を全てぶつけて作り上げていく物語だと勝手に信じてるので、この悔しさも糧にしたいと思う。

さて、福岡に帰省後約2週間で入院することが決まり、手術の日取りも決まった。この手術を方法を決めるときに一悶着あったのだが、それは次回に記そうと思う。

-次回へ続く-

【悪性リンパ腫・闘病記④】部分麻酔で胸を貫くか、全身麻酔で脇を貫くか。


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