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ホストはそんなに悪なのか

ここ最近ホストに関する問題が世間で取り沙汰されている。
ついには逮捕者まで出る始末で、国会でも「女性を守る法案の成立を」などという気運が高まっているが。

本当にそれが正しいのだろうか。

夜の世界に身を置いていた立場からの意見を述べてみたい。

実際に身の回りに起った出来事や経験を元に書いた私見であり、夜職の世界を代表して言っているつもりはありません。
あくまでも個人の見解です。



売り掛けシステムとは

ホストクラブには「売り掛け」というものがある。
これは客からその日の代金を請求せず後払いにしておく方法で、一般的な「ツケ」と似たものだ。

ツケと決定的に違うのが、肩代わりするのは店ではなくホスト個人という点。
売り掛けにした分はホストの給料から引かれるので、当人が客から個人的に回収することになっている。

何故こんなシステムがあるかというと、ひとつは売り上げのため
ホストは1ヶ月の売り上げによってナンバー(順位)が決まる。
上になればなる程に顔も売れて収入に直結するので、地位をキープしたり上を目指すため客に多くの金を使わせ、支払い能力が無い相手の場合は売り掛けを利用するのだ。

もうひとつの理由はハマらせるため
女性客からすれば個人的に借金をしている形なので、当然他の店には行きにくい。
固定客にしておけるのだ。
さらに返済時期を延ばしてあげたり優遇することで情が生まれたり、「この人の力になりたい」と思わせる。

元々高収入の女性が相手ならすぐに売り掛け金も回収できるが、一般職の女性が高額の借金を返せるはずもない。
そこでホストは「親切心から」高収入の仕事を紹介するのだ。



風俗産業との関係性

ホストと風俗店は繋がっており、女性を紹介することでバック(紹介料)を得られる仕組みとなっている。
ホストは売り掛けを回収でき、風俗店は人材を確保でき、女性は高収入を得られるというWin-Win-Winの関係性だ。

ホスト業界と風俗業界は長年の経験からこうした仕組みを構築しており、法に抵触しているわけでもないので謂わば「お約束」みたいなものである。

しかし時代は変わる。
近年になって「ホストに売春を強要された」と声を上げる女性も増えてきた。

もちろん売春は犯罪だし強要は罪に問われる。
が、売り掛けシステムや高収入の仕事を女性に紹介することは犯罪ではない。
ここを混同しないでほしい。

「モラルとしてどうなのか」という声もあるだろうが、そもそもホストは女性に楽しい時間を提供し、自らの技量で気持ち良く多くのお金を出させるのが仕事である。
ボランティアではないのだ。



借りたものは返すのが当たり前

ここで友人・マミの話をする。
彼女は一般企業で働くごく普通の女性だったが、ひょんなことからホストにハマって借金で首が回らなくなった。

そこで担当ホストからの紹介で風呂屋(ソープランド)で働くことになる。
マミは元々せいに大らかだったことも幸いし、割りと楽しく仕事に勤しんでいた。
とはいえ心身共にストレスがかかる大変な仕事である。

憂さ晴らしに担当ホストの元へ行き、バースデー(担当の誕生日)には500万のシャンパンタワーを入れたりしていた。
だが仕事を真面目にこなしたおかげで借金を完済し、現在は足を洗って事務職についている。

そんな彼女がよく言っていた言葉がある。
「借りたもんは何してでも返さなきゃね」
もしかしたら自虐的な意味で言ったのかもしれない。
でもそれが成人としての責任なのだ。

ホストクラブに未成年は入店できない。
初回来店時には必ず身分証明証の提示を求められる。
これは「私は成人で、この店で遊ぶことは私の意志です」という宣言にもなっているのだ。

自分で借金をしたならそれを自分で返すのは成人女性として当たり前、という視点が欠落してはいないか。



それは本当に女性を守っていますか?

2022年6月に「AV出演被害防止・救済法案」いわゆる「AV新法」が可決された。
これは意にそぐわないAVへの出演を抑制するもので、契約から1ヶ月は撮影禁止・撮影から4ヶ月は販売禁止とする法だ。

一見女性を守る良い案に思える。
が、これによって何が起きたか。
個人売春が激増したのだ。

そもそもAVに初めて出演契約しようとする女性の殆どはお金に困っている。
すぐにでも大金が必要だから契約するのだ。
ところがAV新法のせいで、すぐにはお金が手に入らない。
となると税金に持って行かれず手っ取り早く収入を得る方法として「立ちんぼ」をするのだ。

東京・新宿、大阪・ミナミなど、あらゆる繁華街で個人売春が横行している。
売春の問題点は色々あるが、一番深刻なのが性病の蔓延だ。

東京都性感染症ナビ

規制さえすれば一件落着、というのは現実を見ていない人間の考えである。



女性への冒涜にもなりかねない

今国会では「売り掛けを悪用したホストクラブを取り締まる法案」が議題に挙がっている。
議論はもちろん必要だし、レジェンドホストのローランドも「うちの店舗ではもう売り掛けをしない」と表明した。

だが、これはホストクラブだけの問題ではない。
コンセプトカフェやメンズ地下アイドルなど、若い女性をターゲットにした商売はいくらでもある。

18歳未満の、未成年を搾取する行為は許されないし取り締まるべきだ。
しかし成人が自らの意志でお金を使い、借金を背負った場合でも救済するのは本当に正しいのだろうか。

よく考えてみてほしい。
成人女性が男性の商売で借金を負うことを救済するということは、つまり「女性はいくつになっても自分で善悪も判断できない弱者だから救ってあげましょうね」ということになる

本当にそれで良いのか?
女性全体が貶められることにもなりかねないんだぞ?

個人の見解だが、ホスト遊びはあくまでも「遊び」である。
勝手にハマって借金を背負い、それで被害者づらをするなど愚の骨頂。
成人女性なら責は自ら負うべきだ。

権利を主張したいなら、まずは責任を果たさなくてはいけない。


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