俳句と表現の自由
俳句弾圧
昇降機しづかに雷の夜を昇る
西東三鬼
この句が共産主義思想を詠んだものとして、1940年に三鬼は治安維持法違反で検挙されました(関悦史、新興俳句と弾圧『新興俳句アンソロジー』)。
この間の日本に、危うさを感じ取っている人は少なくないのでは? と思います。
関悦史さんは、この三鬼の句を紹介したあとに下記のように書いています。
筆者が本稿を書き渋って遅らせている最中に「共謀罪」法が成立し、平成二九年七月一一日に施行されてしまった。法環境的には、弾圧された新興俳人たちよりも、現在のわれわれの方が危険にさらされているとすらいえるかもしれない。
(新興俳句と弾圧『新興俳句アンソロジー』)
関悦史さんには下記の句があります。
秋の草ナチス見習う国にゐて
関悦史
「九条俳句」
2018年12月、下記の句をめぐって最高裁まで争われた裁判がおわりました。
梅雨空に「九条守れ」の女性デモ
さいたま市の公民館で開かれていた句会。選ばれた句が公民館だよりに掲載されていましたが、“中立性”を、理由に公民館が掲載を拒否しました。
最高裁で、「思想の自由、表現の自由は最大限尊重されるべき」と作者が勝訴しました。
俳句を始めてから気になっていた裁判だったので報告会に足をのばしました。作者が「これで心おきなく俳句がつくれます」と語っていました。
作者や支援者の方々が時間と労力を惜しまず、表現の自由のためにご尽力いただいたことに感謝します。