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【2025年1月刊】 木耳 『トレーニング』 (「シリーズ人間」 第1号)
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①「シリーズ人間」とは
2025年1月、新シリーズ創刊🍊
基本的に商業デビューしていない様々な立場の書き手を著者に立て、エッセイや小説、詩、短歌、4コマ漫画、画集、写真集とジャンルレスな内容(基本:文+インタビュー)の文庫シリーズを目指します。これから年3冊ペースで刊行予定。
↓「創刊のことば」↓
②個人レーベル/新世界
「シリーズ人間」創刊に伴い、新レーベル「新世界」を立ち上げます。『夏葉社日記』を刊行する「秋月圓」とは別の個人レーベルとなります。
③書誌情報/『トレーニング』
発売:2025年1月末
シリーズ:シリーズ人間(第1号)
タイトル:トレーニング
著者:木耳(きくらげ)
ジャンル:私小説(短編集)
定価:本体1000円+税
A6文庫判/並製(カバーあり)/80ページ
装画・ロゴ:散歩鳥
装丁・組版:山内宏一郎(SAIWAI DESIGN)
発行所:新世界(秋月圓とは別レーベル)
④内容・目次/『トレーニング』
これまで日記も書いたことのない70歳の著者による、はじめての私小説──。これは私小説なのか、随筆なのか、はたまた回想録か。
70年の生を振り返り、いまでも自分の存在を支えてくれる大切な断片を描く。姪っ子の「ユカちゃん」、母に料理を学ぶ「ワカメスープ」、中学生が働く「パチンコ屋」、定年を迎え最後の仕事となった「清掃員のパートナー」、表題作「トレーニング」のほか、長編「南房総富浦」など全9編。
トレーニング 目次
──────────
ユカちゃん
ワカメスープ
パチンコ屋
駐車場
清掃員のパートナー
トレーニング
床屋
墓参り
南房総富浦
著者インタビュー
あとがき
──────────
⑤著者略歴/木耳(きくらげ)
──────────
木耳(きくらげ)
1954年11月生まれ、午年。高円寺庚申通り育ち。杉並第四小学校卒業。
──────────
※SNSは一切やっておりません。
⑥ロゴデザイン/Series human
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⑦書店員や読者による感想/『トレーニング』
時折時間や空間を圧縮されるように軽やかに飛び越える文体がたのしく、声の聞こえる読書でした。
読了後、これは傑作かも!? ……なんて思ったりして、木山捷平や上林暁が好きな方には気に入っていただけそう。
著者の70年分の言葉から分かるのは、人間は、パチンコ台から玉を抜き取る音、料理をする母の後ろ姿、駐車場の猫だとかそういうものでできているのだということです。初めて書く文章だからなのか、著者の文体なのか、これまでに読んだことのない独特のリズムにどんどんのめり込んでいき、最後のあのフレーズで完全にやられました。天晴です。
70歳ではじめて書いたという文章とのことでしたが、想像していたよりも若々しく、そして上品でした。それなのにこちら側はちょっと繊細な他人の人生を勝手に覗き見たような不思議な感覚。すごく身近に感じられて、そしてそれだけに自分もなにか書いたりしたくなるような、とにかく色々な意味で勇気が出ます。
台詞多く丁寧に綴られた記憶の断片。随筆なのか私小説なのかわからない面白さ。
もうちょっと読みたい……というところで次の話へ切り替わるから、70年間生きてきた著者の木耳さんの記憶を一緒にたどっているような気持ちに。
人と人との関わり合いの話、中でもご家族とのエピソードが多く、ご家族のことを大切にされていた(いる)ことが伺える。表題作の「トレーニング」の言葉の意味がわかったとき、あまりの優しさに泣きそうになってしまった。
おばあちゃん家に行く時に乗り換えで使う船橋駅。富浦駅で降りて散策した海岸、道の駅で食べたびわソフト。馴染みがあってどこか懐かしい風景を、自分の思い出と重ね合わせて読みました。
誰かの記憶を一緒に辿るように読みました。
亡くなった父を少し思い出す。
父とは、一緒に記憶を辿れなかった。
とても、シアワセな作品。読む事が出来て嬉しかった。
日記も書いたことがなかった70歳の著者だとは思えない文章。
「駐車場」「床屋」「南房総富浦」が好みですが、それぞれが短くても、感じられる時間の広がりが豊かで感動。
心地よいドライブに行ってきたような満足感。
エッセイ、私小説、回顧録? 人生の先輩の思い出が詰まっている。砂浜で見つけたメッセージボトルみたいな。
わかめスープ、ワタリさん家と海、お墓に備える煙草。何回も読み返してここ好き! をたくさん集めたい本。「トレーニング」は繰り返すもの。
これまで日記も書いたことがないという木耳(きくらげ)氏の記憶を辿る随筆というのか私小説というのか…
関西の山に囲まれた田舎で生まれ育ったのにも関わらず南房総の海に郷愁を感じました。
本としても版型に対してしっかりとした紙質でフィジカルな心地よさも。
昨日のことのように鮮やかに書かれている「パチンコ屋」と「駐車場」。
70歳で日記も書いたことがないという木耳さんの小説がほんまに良くて感想を書きたいけど上手く言葉が出てこない。
とにかく皆様ぜひ読んでみてください!
本のタイトルになった「トレーニング」読めば読むほど味が出てくる。一番長い「南房総富浦」。房総半島、いや千葉県に足を踏み入れたことがない(友達が住んでる)けど房総の海と再訪する家族の姿が見える。昔の描写も今の描写もそこにある気持ちも鮮明。自分が子供の頃香川で過ごした夏休みも蘇った。
木耳さんはこれまで日記を書いたこともなかったということですが、それが故に表現の既成概念のようなものがなく、書き慣れた人がやりがちなかっこつけた言い回しや読み手を唸らせようといった意図を感じさせず、とても自由な書き方で、だからこそ読んでいてリアルに感じました。
たとえば「雪がパラパラ降る」というけれど、ほんとうに雪が「パラパラ」降っているのかというはなしで、もしも自分のあたまに「雪がパラパラ降る」という言葉がインストールされていなかったら、それをなんと表現するのかということ。書くことははすでにある正解を見つけることではなくて(そもそもそんなものはない)自分で新しい表現を作っていくことだと思いました。
⑧【取扱店舗】 ぜひお近くの本屋さんへ!
・泊まれる本屋 まるとしかく(徳島・美馬市)
・甲羅文庫(千葉・市川市)
・瀾書店(神奈川・京急富岡)
・BOOKNERD(岩手・盛岡市)
・汽水空港(鳥取・東伯郡)
・ビーナイスの本屋さん(東京・オンライン)
・ホホホ座浄土寺店(京都・京都市左京区浄土寺)
・カクカクブックス(岐阜・各務原市)
・CORNELL BOOKS(東京・通販)
・BREWBOOKS(東京・西荻窪)
・圏外書房(神奈川・横須賀市)
・そぞろ書房(東京・高円寺)
・451ブックス(岡山・玉野市)
・ふやふや堂(群馬・桐生市)
・でこぼこ書店(埼玉・さいたま市)
・HUT BOOKSTORE(岐阜・美濃加茂市)
・本の店 & company(東京・東大前)
・1003(兵庫・神戸市)
・SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(東京・渋谷)
・alnwick books(東京・北千住)
・恵文社一乗寺店(京都・京都市左京区一乗寺)
・taramu books & cafe(福岡・大牟田市)
・Phil books(徳島・美馬市)
・アカイトコーヒー(香川・直島町)
・ON READING(愛知・名古屋市)
・twililight(東京・三軒茶屋)
・本の栞(兵庫・神戸市)
・清風堂書店(大阪・東梅田)
・本の轍-Book On The Tracks-(愛媛・松山市)
・BOOKSルーエ(東京・吉祥寺)
・awesome today(東京・青砥、亀有)
・文海 fumiumi(千葉・安房郡)
・曲線(宮城・仙台市)
・書店と喫茶 本屋イトマイ(東京・ときわ台)
・H.A.B(オンライン)
・Title(東京・荻窪)
・ときわ書房 志津ステーションビル店(千葉・佐倉市)
・SUNNY BOY BOOKS(東京・学芸大学)
・フクロコウジ 旅と本と人(群馬・吾妻郡)
・MINIU BOOKS(福岡・うきは市)
・TOUTEN BOOKSTORE(愛知・名古屋市)
・とほん(奈良・大和郡山市)
・本屋lighthouse(千葉・幕張)
・ほたる書房(京都・オンライン)
・本と喫茶 畔(静岡・周智郡)
・ひつじ堂ブックス(東京・武蔵小山)
・本屋ルヌガンガ(香川・高松市)
・Yamamoto Market(高知・黒潮町)
・星野書店(山梨・甲府市)
・ほんの入り口(奈良・奈良市)
・長谷川書店 水無瀬駅前店(大阪・三島郡)
・ペンギン文庫(山形・山形市)
・READAN DEAT(広島・広島市)
・Amleteron(東京・高円寺)
・エホンゴホン堂(長野・軽井沢町)
・toi books(大阪・本町)
・燈日草(福島・大沼郡)
・早春書店(東京・国分寺)
・古書ざわざわ/ブックマンション(東京・吉祥寺)、本を旅するBOOKSHOP TRAVELLER(下北沢)、○○書店(渋谷)、PASSAGE(神保町)
・誠光社(京都・京都市上京区)
・本屋・生活綴方(神奈川・妙蓮寺)
・シカク(大阪・大阪市此花区)
・本のすみか(大阪・大阪市住之江区)
・フラヌール書店(東京・不動前)
・YATO(東京・蔵前、両国、本所)
・BOOKSHOP TRAVELLER(東京・祖師ヶ谷大蔵)
・enden books(福岡・福津市)
・【3/1OPEN】common house(東京・給田)
❾【書店様用】 取引条件/注文方法
・直取引/買切(委託は要相談)
・掛率は「一律」
(「シリーズ人間」70% 『夏葉社日記』65%)
・5冊以上「送料無料」
(「シリーズ人間」+『夏葉社日記』OK)
※4冊以下の場合、送料300円
・月末締め、翌月末支払い(請求書は商品と同梱)
・振込手数料はご負担ください(振込先は、ゆうちょ銀行、イオン銀行)。
・クリックポストにて送付予定。
↓①(書店様用)ご注文フォーム↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSetUPrOvxhpm1SjMi5hiplmHrLMhDL8Gt2lImW77xffvIRKHw/viewform
↓②BookCellar↓
↓③メールアドレスへ直接ご連絡ください↓
shugetsuen@gmail.com (秋月圓・秋宛)
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新世界編集部からのお知らせ(2025.2.17)
「シリーズ人間」創刊の経緯
昨年の秋ころ、夏葉社の島田潤一郎さんが「気になる人にインタビューして、ZINEをつくったらいいんじゃないですか?」と声をかけてくれたことが「シリーズ人間」をつくるきっかけでした。
思えば、わたしはただ本がつくりたいのではなく、人と話がしたいだけでその結果、本が出来上がればいい、とずっと考えています。
出版社に勤めるころ、この人はおもしろいと思うたび、その人に会って話をきいてきました。夏葉社の島田さんもそのひとりです。それはわたしにとってライフワークで、本シリーズもその延長線上にあります。それを本にしてみたいと思い、このシリーズを創刊します。
これから年3冊ペースで刊行予定で、基本的に商業デビューしていない書き手に依頼する方針ですが、たまに作家さんに頼むこともあると思います。何年かかるかわかりませんが、100冊を目指すシリーズとなります。
はじめのコンセプトは「インタビュー(+文)」で、ただ自分がおもしろいと思う人に話をきく予定でした。が、ただ話をきいていても、その人独特の生き方や表現は見えてきづらいような気がしました。その人が見ている景色や、まわりの人との関わり合い、または感情の揺れ動き、そんなものをありのまま描いてもらいたい。そうすれば、なんかヘンな「文学シリーズ」みたいなものができそう、と思えてきて、どこからか「文(+インタビュー)」となっていました。
そうやってその人間(人生)の断片を拾い集めて(これを「文学」といったらよくないのかもしれませんが、あえていうなら)、「新しい文学」シリーズとして刊行したく思っております。
わたしが気になるのは、みんながどんなふうに日々を生きているか、ということで、WEB上でバズるような「衝撃的な体験」を求めている(読みたい)わけではありません。日々の生活をこなしている人たちのことが、ずっと気になっています。すべての生き物に対して、これまで生きてきたことへのリスペクトの気持ちがあります。
この人はおもしろいと思うその人独特の生き方(見え方や感じ方、経験したこと)を紹介することが、この生きづらいとされる世の中に対してオルタナティブの提案になるのではないかと思い、「シリーズ人間」を立ち上げます。
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第1号の著者・木耳氏の正体
シリーズ1冊目は重要だと思いながら、いろいろと誰にするか迷いました。第1号に木耳氏を選んだのは、わたしの人生で間違いなくいちばん影響を受け、またその人間に心底惚れていたからです。じつは木耳は実の父です。
久しぶりに会ったのは、ちょうど父が定年(70歳)を迎えるまえの2024年10月。思い立ったときには千葉の実家へアポイントを取り、その足で黄色い総武線(三鷹-千葉)に乗っていました。もちろん大タブーであることは十分に承知しているつもりです。ただ、木耳氏は親ということを抜きにして、おもしろい人物と思い、今回はプロの編集者として執筆依頼をしに行きました(作品を読んで、ご判断いただきたく思います)。
わたしが小学校に上がる前、玄関前まで配達される牛乳瓶(6本)を家の中へ運ぶのはわたしの役目でした。あるとき、不注意でその瓶をリビングで落とし、床を牛乳まみれにしたことがあります。わたしが「もうやらないようにするね」と落ち込んでいると、父は「なにを言ってるんだ。次からも頼むぞ!」と言いました。結局、父はそのことを一度も怒りませんでした。わたしはそんな父に育てられ、いまのような人間となりました。
そのような関係のなか、原稿づくりが始まり当初はむず痒くもあったのですが、少しずつ親子から著者-編集の関係になり、タメ口が敬語に、話題は映画や政治から今回の原稿や本、作家の話になり、いまでは『夏葉社日記』を取り扱ってくれる本屋さんの話にも及びます。
木耳氏がどんなふうにこの世界を見ているか、ただそれを覗いてみたかった、というのが「シリーズ人間」(創刊号)の著者を木耳氏に選んだ理由となります。
「シリーズ人間」第1号の木耳『トレーニング』はそれぞれが短い短編集となりますので、おもしろそうな話だけでも読んでいただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
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