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朝活、フッ軽の血
「趣味は何ですか?」
そう聞かれた時、最近は、
「朝活です。」
と答えるようにしている。
私が朝活をするようになったのはきっと、朝5時からのパン屋のバイトを辞めてからだ。
大学一年生の頃、いや、まだ3月だったからギリ高校生の頃から。
私は近所のスーパーの中にあるベーカリーでバイトをはじめた。
人生初のアルバイト。
朝焼く分の約20種類ほどのパンを焼いて店頭に出すのが仕事。
これだけ聞くと簡単そうに聞こえるかもしれないが、これがかなり難しい。
パンの生地をホーローというあったかい場所に入れておいて、焼くのにちょうど良い大きさになったら出して窯に入れる。
大きくしすぎたり、もしくは小さすぎても見た目が悪くなり廃棄となってしまう。
生地によって大きくなるスピードやちょうどいい大きさが異なるため、ホーローに入れる順番も頭を使う。
窯に入る分にも限りがあるため、ちょうど良く次々焼けるようにする為に効率を考えて生地を膨らませていくのだ。
今思い出すだけでも目まぐるしい。
慣れないうちは何度も生地をブヨブヨに膨らませすぎて失敗した。
窯の上で焼きそばパン用の生地を放置していたことを忘れていて、ふと思い出した時には生地がモンスターのように怖いくらいデカくなってたこともあったなぁ…。
そんなパン屋のバイトは、開店の7時に間に合わせる為、出勤は5時。
冬の朝5時なんて夜だ。
真っ暗で頭が痛くなるほど寒い。
なのに鍵を持っている店長が寝坊して来ない。
本当に今思うと狂っている。
よくやってたよ、自分。
半年ほど経ったあたりで、働くことが大好きだったクレイジーな私は、夜までフルタイムのバイトの掛け持ちを始めた。
22時まで働いて次の日の4時起きで出勤。
そんな生活が人間にできるわけもなく…。
しかしなんだかんだで1年弱その生活を続けた私の末期。
"泣きたくないのに泣きながらパンを焼く。"
さすがに体と心のSOSを感じ、朝5時パン屋のバイトを引退した。
それからというもの、朝寝ていられることに日々感謝して、日々ぐっすり寝ている。
でもたまに、早起きして活動する充実感を得る為、私は今日も朝活をする。
友達と7時頃に集合して、朝からやっているカフェに行き朝ごはんを食べるか、市内の朝市に行くか、近所の公園を走るor歩く。
私の朝活と言ったら、まぁこんなところ。
ところがどっこい、海際に1人単身赴任している父のインスタを見てびっくり。
「今日は仕事前に海の上で朝活。」
完全に負けた。
朝から仕事前の船釣りは強すぎる。
タフすぎる。
どうやらまだ父は越えられないようだ。
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