見出し画像

散文詩「公園にて」

  "われは空虚に過ぎ去ってゆく時間を愛す"

鈍色にびゐろの空をみあげて、
なほ仰け反ってみると、
公園のフェンスが視界の上部に
あらはれ出でた。
緑青がひどく錆びついて、
佇んでゐる、網目…。

なんにも縋りつくことができない
開放された灰色の
全景のなかにそれはあつた。
唯一、空に落ちてゆくわたしに
縋らせてくれる最後の砦のやうだつた。

緑青がひどく錆びついて、
佇んでゐる、網目…。

ついぞわたしはそれを掴まなかつた!


いいなと思ったら応援しよう!