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じかく

出産とは命懸け。

妊娠出産は女性の人生の中で
とてつもない大きなイベントだ。

妊娠初期にはつわり、安定期に入ってもマイナートラブルは続き、後期は大きなお腹に背骨が砕かれる様な痛みがある。

そして出産。
これはもう、一人の人間の体から一人の人間が出てくるのだから言うまでもなく大仕事。
実際に危険な状態になる人も居るし、何日も苦しむ人もいる。

さて、真面目な話はここまでで、私がいざ出産という時にあった話をする。

私は妊娠初期に重めのつわり、安定期に謎の皮膚疾患、後期には後期つわりとめちゃくちゃに苦しいマタニティライフを過ごしていた。
あと、たくあん食べて歯が砕けた。

いざ産気づいた時には「やっとか!!はよ!!」となってたくらい、ちょっと妊婦生活に嫌気がさしていた。

私の出産は破水から始まった。
真夜中に破水し、そのまま緊急入院。
分娩室へ直行となり、子宮口が開ききるまで分娩台に転がされてた。

時々助産師さんや看護師さんが見に来て
「うーん、まだだね」
「陣痛弱いね」
と言いつつ去っていく。
不思議なことに子宮口の確認した時必ずおしりに指を突っ込まれた。

なぜ?
なんでおしり?

まぁ何かあるんだろうと思い気にして無かった。

が、いざ子宮口全開!いきんで!!

って時にやっぱりおしりに指を突っ込まれる。

なんで??

いきみながら
「なんで指突っ込むんじゃ!気になるぅー!!」
と頭の中で叫んでいた。

いきむ時には声を出しちゃいけないらしく、頭の中でしか叫べなかった。


息子はスルンと生まれた。

会陰切開もせず、破水から7時間経たない位で生まれた。
看護師さんや助産師さんから「安産でしたね」や「初産なのにスピード出産!」と褒められた。

その後息子の処置と私の処置をしてもらい、出血が落ち着くまで分娩台で休むことになった。
丁度昼時になり、そのまま昼食を出してもらった。

昼食も終わり出血も問題なし、さてトイレ済ませて部屋へ移動しましょうって時に助産師さんに声を掛けられた。


「あの、なっちゃんさんって以前から痔でした?」



ん????
痔?
なぜそんなこと聞く……?

「いえ、特には……」

「あ、そうなんですね〜」

助産師さんはなら良いですと言ったけど、気になる。
なんでそんなこと聞くんだろう?

「あの、なんで……?」

「あ、いえいえ、なっちゃんさんいきんでる時に
痔核(ぢかく)がピョコっと出てきてたんですよ〜!指で押し込んだら戻ったので良いんですけどね」

だからか!
だからいきむ時に指を突っ込まれたのか!

「押したら戻るんですけど、いきむ度に出てきてたんですよね、自覚が無いなら大丈夫だと思います!」

私はまったく痔の自覚が無かった。
痛くもないし、違和感もない。
助産師さんに言われて本当に驚いた。
とりあえず痛みがなければ大丈夫とのことだった。

だけど、まぁ、凄く恥ずかしかった。


ー自覚のない痔核の話ー

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