依存と信頼〜「頼る」とは〜
こんにちは。夏秋です。
突然ですが、皆さんに質問があります。
「あなたのこと頼りにしてるよ」
このような言葉をかけられた時、皆さんはどのように感じるでしょうか。嬉しい!と感じる人もいれば、迷惑だな…と感じる人もいるでしょう。では、なぜこのような感じ方の違いが生じるのでしょうか?それは、「頼る」という言葉に2通りの解釈の仕方があるからではないでしょうか。そして、その2通りの解釈というのが、今回のテーマである「依存と信頼」です。今回は、「頼る」という言葉の「依存」という意味での解釈と「信頼」という意味での解釈を比較しながら、2つの言葉の違いについて考えてみたいと思います。
1. 依存とは
まず、前置きの言葉に対して、迷惑だな…と感じる場合、「依存」という意味で解釈をしていることが考えられます。
そもそも依存とは、アルコール依存症やスマホ依存症という言葉があるように、それなしでは生きていけない状態を示す言葉です。
人は何かに依存している時、自分を中心に考えてしまっていることが多いでしょう。自分が欲しいものを求めるばかりになっている状態が続いて、それがなくなった時に禁断症状が出てしまう。
それが依存症です。
では、「他人に依存する」とはどのような状態なのでしょうか。
たとえば、あなたの上司の方が、
「この仕事を30分で片付けておいてよ。君のことは頼りにしているからね。」
というようにあなたに声をかけたとします。この上司の方とあなたとの関係がそこまで親密でない場合、上司の方は「依存」という意味でこう発言している可能性が高いです。
上司の方の立場で考えてみると、「自分のためにこの仕事を30分で片付けてほしい」という考えから、あなたにこう発言しているのではないでしょうか。それに対してあなたの立場で考えてみると、「なんで自分がこの仕事を30分で片付けなければならないんだ」というように、不快に思ってしまうこともあるでしょう。この場合、自分にメリットがない、ギブアンドテイクの関係が成立しないから、不快に感じてしまうのではないでしょうか。
まとめると、「依存」とは、自分を中心に考えて何かを求めることであり、相手に対して何かお返しできるものがない状態を示す言葉である、というように私は考えました。
2. 信頼とは
次に、前置きの言葉に対して嬉しい!と感じる場合、「信頼」という意味で「頼る」という言葉を解釈していることになります。
ここでまず、人は何に対して信頼という感情を抱くのか、考えてみようと思います。
「依存」の対象は色々あります。というのも、
依存症になりうる対象がたくさんあるからです。
お酒、タバコ、インターネット、薬物、…。
もちろん他人も依存の対象です。
では、「信頼」の対象はどうでしょうか。実は、信頼の対象は、依存の対象よりもずっと限られています。
それは、「人もしくは人が与えるモノ」です。
「人が与えるモノ」の例として分かりやすいのは、サービスです。お店の人がお客さんに対して愛情をもって接してくれる。するとお客さんも、そのお店を好きになって、また行きたくなる。
このようにして、お客さんとお店の信頼関係は
生まれるのです。
つまり「信頼」というのは、お互いを思う気持ちが根底にあって、初めて生まれる関係性なのです。
では、「信頼」という意味で「頼る」という言葉を使うのは、どのような場合でしょうか?
ここで少し、私のことを例に挙げてみたいと思います。
私は昔から、人のことを頼ることができない人間でした。というのも、人を頼ってしまうと、その人に迷惑がかかると思っているからです。
つまり私は昔から、「頼る」という言葉を
「依存」という意味で捉えることが多い人間でした。おそらく今もそうです。
だから、悩んでいることがあっても、なかなか人に相談することができませんでした。
ところが、私は一つひとつの悩みの規模が大きいらしく、全てを一人で抱え込むのには限界があります。
そこで、思い切って人に相談してみたのです。
自分が苦しい状況に置かれていることを、ある人に打ち明けたのです。
すると、その人はこう言いました。
「話してくれて嬉しい。」
私はこの言葉に救われました。この言葉をもらったおかげで、「この人に相談してよかった」と思い、「人に頼るのは悪いことばかりではないんだ」と改めて考えることができるようになりました。
まとめると、「信頼」というのは、愛情のギブアンドテイクができるということです。たとえ自分が相手から何かを頼まれても、相手に対する愛情がそこにあれば、決して嫌だと思わずに頼まれてあげることができるのです。そして、相手が自分に頼られることを嫌だと思わないことが分かっていれば、自分も安心してその人を頼ることができるのです。
3. 「依存」と「信頼」の違い
さて、長々と「依存」と「信頼」それぞれに
ついて書いてみましたが、最後にまとめとして、「依存」と「信頼」の意味を、「頼る」という
言葉を使わずに表してみたいと思います。
まず、「依存」というのは、自分が中心にあり、自分のメリットになることを相手に「頼む」ことだと考えます。つまり、一人でも「依存」することは可能なのです。
ただし例外として、お互いがお互いに依存しあっている「共依存」という関係性があります。簡単に説明すると、AさんがBさんのお世話をし続け、BさんがAさんに甘えている、という関係性です。恋愛や家庭においては、共依存という関係が生じやすいのですが、気づかぬうちにどちらか、もしくはお互いに精神的な負荷がかかってしまっていることが多いので、危険な関係性でもあります。
それに対して、「信頼」というのは、相手を思う気持ちを大前提として、お互いを「助けあう」
ことだと考えます。つまり、「信頼」は2人以上でないと成立しないのです。
「助ける」という行動は、相手を思う気持ちがなければ起こすことはできません。「この人を助けたい」という気持ちをもって、いざとなった時にその人を助けられる存在になることができれば、いつか自分が困った時も、その人がきっと助けてくれることでしょう。そうしてその人も、「あなたを助けたい」と思ってくれたのならば、その人とあなたは固い絆で結ばれています。
ここまで相当な文字数を費やして説明したので、結びに今回のテーマの結論をひとことでまとめたいと思います。
「依存」とは「頼む」こと
「信頼」とは「助けあう」こと
これが、私の結論です。
以上、夏秋でした。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。