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ドラマ【季節のない街】名台詞集
2024年4月期 テレビ東京金曜ドラマ「季節のない街」より、心に残った台詞をまとめました。
*鑑賞時に書き起こした台詞を記録しているため、表記や文言は脚本と異なる場合があります。恐れ入りますがご了承いただけますようお願いいたします。
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●名台詞集
第2話
誰よりとか、俺の方がとか、違うでしょう
-与田タツヤ「その時まあ…上手く言えないけど、自分が何のために生きてきたのか、何のために生きていくのか、わかんなくなっちゃって。なんかこう…」
-半助(田中新助)「…絶望?」
-与田タツヤ「そう絶望。絶望絶望。あ、ごめん、あんたの方が大変だったのに絶望とか言っちゃって…」
-半助(田中新助)「いや大変なのはみんなでしょう。誰よりとか、俺の方がとか、違うでしょう。」
タツヤが半助にこれまでの自分の道のりについて語った時の会話のの中での、半助の言葉です。
みんなにそれぞれ悲しみがあって、誰かと比べて落ち込んだり安心したり、無意識にしてしまっているのかもしれないけれど、悲しみや苦しみ、痛みの大きさや深さは、比べるものではない。
同じものを、全然辛くないと笑える人がいたとしても、あなたにとってそれが苦しいのなら、それは苦しみなんだから。
あなたの苦しみと、私の苦しみ、両方あって、両方苦しい。
それでいいし、そうでしかない。
そんな台詞でした。
第3話
もともと家が無い人は住めない
「家を失くした人は住めるけど、もともと家が無い人は住めないの。」
ホームレスを見て空いているプレハブに住めばいいのにと言った半助(田中新助)に対して、タツヤが言った言葉です。
プレハブは、震災で家を失った被災者のために用意された家。
ごく当たり前のことではあるのですが、もともと家が無い人と、家を失くした人、この分け方に、考えさせられることがあるような、印象に残った台詞でした。
俺たち過去でも教訓でもないし
-半助(田中新助)「聞いてます?いやこの話すると大体"大変だったね"って言われるんで。」
-たんばさん「大変だったのはあんただけじゃないしね。"だった"って過去形じゃないしね。大変だし、今も。」
-半助(田中新助)「そうですよ。いやそうなんですよ。なんかこう型にはめようとしますよね、"あれから12年"とかさ、"過去の悲劇を教訓に"とか。いや分かるけど、そのために生きてるわけじゃないでしょ。俺たち過去でも教訓でもないし。"大変だったね"に甘んじてたらいつまでたっても大変ですよ。抜け出さないと始まらないでしょ。"大変だったね"は年々薄まってきますよそりゃ。だってみんな大変だもの。国や自治体だってホームレスの面倒なんて見てらんねえよ。」
たんばさんと将棋をしながらの会話の中での、半助の台詞です。
震災が起きて、時が経って、プレハブにやってきて。
ずっともやもやとしたまま半助の頭の中に、心の中に、募っていた感覚を、半助がやっと言葉にして叫ぶことが出来た瞬間でした。
どんなに大きな震災も、事件も、時が経つと、そして自分自身が大きく被害を受けていなければなおさら、その出来事は過去になって、どこか遠くの場所の知らない人に起きた悲しい出来事として語られていく。
忘れないことや、振り返ることや、学びに変えることは、とても大切で絶対に必要で。
だけど、どこかの誰かの物語として勝手に語ることによって、その当事者たちを、"あの時"に閉じ込めてしまっていることもあるかもしれない。
「そのために生きてるわけじゃない」。
とても考えさせられる台詞でした。
第9話
だめだよ誰も見てないとこで死ぬなんて
「だめだよ、誰も見てないとこで死ぬなんて。猫じゃないんだから。みんな思い知るべきなんだ。君みたいな立派な青年がなぜ死に至ったのか。じゃないと報われないよ。」
全てを投げ出そうとしたタツヤに、たんばさんがかけた言葉です。
誰も見ていないところで命を終えた人たちを見送ってきたからこその言葉なのかもしれません。
君が生きてる間だけお父さんも生きていられる
「それは生きていればこそだね。君の意識の中にお父さんはいるわけだから、君が生きてる間だけお父さんも生きていられるわけだ。」
震災で亡くなった父親が最近になって夢に出てくると言ったタツヤに、たんばさんがかけた言葉です。
自分が生きている限り、大切な人と共にいることが出来る。
圧倒的な喪失感を感じる一方で、とてもあたたかい温もりも感じる言葉でした。
第10話(最終話)
ほっとくって優しさなんだよ
-与田タツヤ「遅かれ早かれだって。みんな知ってて黙ってたんだから。」
-半助(田中新助)「違う。黙ってるってすっごいことだよ。ほっとくって優しさなんだよ。黙ってらんないよ。まともじゃないじゃん、六ちゃんとか熊さんとかかいわれちゃんとか。誰かに言いたくなるじゃん。」
-与田タツヤ「報告したら金もらえるしな。」
-半助(田中新助)「俺、傲慢だった。自分はまともで正しい人間なんだから、そうじゃない人間に対して何やってもいいって、心のどっかで思ってた。だから謝りたい、みんなに。」
不法滞在の外国人が連行された。
住み着いていたホームレスの住処が撤去された。
仮設住宅の街に住む人々が、次々と追い出され、いなくなっていく。
それを目の当たりにした半助の言葉です。
みんなにとっては仮じゃないもんね
「仮設って言っても、みんなにとっては仮じゃないもんね。」
仮設住宅の街から出て行きたくないと言う子どもたちに対して、半助が言った言葉です。
行くところがなくて、ここの住むしかなくて、確かにここで生きて、暮らしてきた。
一時的な措置として、期限付きの住宅として用意された仮設住宅。
でもそれは、住む人々にとっては、仮なんかではない、生活の全てだった。
考えさせられる言葉です。
以上、ドラマ「季節のない街」の名台詞集でした。