【silent】第1話 こまかすぎるあらすじ&感想
昨年2022年10月期に放送され、社会現象にもなったドラマ「silent」。
ドラマ大好きな私はもちろん当時も見ていましたし、何度も録画も見ましたし、シナリオブックも購入し、ついには円盤も購入してしまいました。
1年が経ち、Blu-rayでディレクターズカット版を観直しているのですが、本当に大好きな作品です。
あらためてまとめを書いていこうと思います。
●「silent」概要
公式サイト
放送時期、キャスト、スタッフ
【放送時期】2022年10月期 フジテレビ 木曜22時
【キャスト】青羽紬役…川口春奈さん、佐倉想役…目黒蓮さん(SnowMan)、戸川湊斗役…鈴鹿央士さん、桃野奈々役…夏帆さん、佐倉律子役…篠原涼子さん 他
【脚本】生方美久さん
【プロデュース】村瀬健さん
【演出】風間太樹さん、高野舞さん
●「silent」第1話
1-1. 雪の降る朝
はぁ。もう。オープニングのこのシーンから紬と想の二人が愛おしすぎて泣けるんですけど(涙)
このシーンはなんといっても紬のことを愛おしそうに見つめる想くんの表情が良すぎて良すぎて良すぎました。
紬の顔を見つめ過ぎて足元を見ずにスムーズに階段を下りる想くんが何気にすごいです。このシーンで私は既に想くんに、なんなら目黒くんにとっくに恋をしていたと思います。
紬も想も、お互いのことが本当に好きなんだなぁ。
初々しい若さ特有のときめきが感じられる可愛いシーンで大好きです。
ドラマのタイトルである「サイレント」を表現する時に想くんがする手話って、「雪が静か」という手話をしますよね。
物語自体や予告映像でも「雪」が印象的に使われていますが、雪が降った時の静けさ。しーんとして、音が無くて、でもどこかあたたかくて、そんなイメージが作品ともマッチしていて、とても素敵だなと思いました。
1-2. 雨の降る朝
ひとつ前のシーンの雪の静けさと、このシーンの雨のうるささ。
ひとつ前のシーンの愛に溢れた「うるさい」と、このシーンの鬱陶しそうな「うるさい」。
この対比がなんとなく不穏な気配を感じさせ、現在隣にいるのが想ではなく湊斗であることからも、何が起きたのかと視聴者がつい気になってしまうシーンでした。
1-3. 佐倉くん
ホームで届かなかった声と、高校時代、振り向いてやさしく微笑んだ想。
この作品は、回想シーンの描き方と挿入の仕方が本当に見事で、何度も泣かされました。
想の話をする紬を、微笑みながらもどこか何かが気がかりそうに聞く湊斗。
もうこの時点で湊斗がなんだか報われない予感がして、切なかったですよね。
1-4. 再会は困る
この居酒屋のシーン、いろいろな関係性が一気に分かるすごいシーンでした。
想・紬・湊斗がおそらく同じ高校出身であること、今現在も湊斗と友人たちの交流は続いているものの誰も想の近況は知らないこと、現在湊斗と紬が付き合っていることは友人達にも周知の事実であるが、過去に想と紬に何かがあった様子であること、おそらく湊斗と想がとても仲が良かったこと。
ナチュラルな友人同士の会話を通じてこれだけのことが表現された、とても印象的なシーンでした。
1-5. あの佐倉想くん
この作品の中でも、真子と紬の女同士の友情シーンが大好きです。
ここでもこの少ない会話から、どうやら紬は想と付き合っていたが想に振られたらしいことが分かります。
また、このシーン含め、現時点での紬の想に対する態度は、未練があるというよりは単純に、長い間会えなかった想を見かけてシンプルに驚いているという雰囲気でした。ここから気持ちが揺れ動いていく紬を丁寧に演じていく川口春奈さんのお芝居が、とても胸を打ちます。
1-6. 想を探して
古賀先生も大好きです。あったかい先生ですよね。
湊斗と古賀先生とは今もなお関係性が続いていて、湊斗と紬が付き合っていることを知っていることからも、親しいことが分かります。
湊斗に対しては何も語らなかった古賀先生ですが、想とのLINEのトーク画面には、「あけましておめでとう。元気か?」「はい、元気です。」など、古賀が想と最近もやりとりをしていたことが伺えました。
紬と光の仲睦まじさと、湊斗と光の距離感の近さも分かるシーンでした。
検索履歴を通して紬と湊斗それぞれの「佐倉想」に対する引っ掛かりを表現しつつ、新居の話を通して現在進行形で進んでいく紬と湊斗の二人が描かれ、対比がどこか切なさを感じさせるシーンでした。
1-7. 好きな声
想をまっすぐに見つめる紬の表情が印象的でした。
想くんを演じる目黒さん、お芝居ももちろんですが、声が良いですよね。
人を好きになる時、好きになる要素やパーツは色々と人それぞれですが、「声」が好きって、いいなぁ。
ところで、作文を取り出した缶の中には、パンダのメモ帳もしまわれていました。
パンダのメモ帳といえば、後に想との思い出のシーンで登場します。
ここにもヒントが忍ばされていたんだなぁとほっこりした気持ちになりました。
セットや小道具の中に込められたこういう仕掛けを見つけると、本当に愛おしくなります。テレビドラマを観る時の楽しみのひとつです。
1-8. 学校はすごい場所
紬は想のことが好きで、想も紬のことが好きで、お互い両想いなのに片想いで、それを知っている湊斗。
二人がうまくいくようにさりげなく協力をしながらも、寂しげな表情で教室を去る湊斗の様子が印象的でした。
イヤフォンを貸し借りしながら初々しい会話をする想と紬のシーンは、紬が想くんを好きで好きでドギマギしている様子がリアルに伝わってきて、とても可愛らしいです。
また、物語全体を通じて、"呼び方"が、その時々の登場人物同士の距離感や関係性を感じさせる要素としてうまく使われていて素敵です。
「佐倉くん」「想くん」「戸川くん」「湊斗」「青羽」「紬」。
時々によって変わる呼び方にも注目です。
確かに名前の呼び方って、付き合ったり別れたりすると意識して変わったりしますもんね。リアルな脚本です。
そして、学校という場所を、約束しなくても好きな人に会える場所、と表現するって素敵だなと思いました。
卒業してからはずっと会えていない想。約束も出来ず、ただ想を世田谷代田駅の改札で探し続ける紬。
大人になると、約束なしに会える関係ってなかなかない。
学校という空間の特殊性と懐かしさを感じました。
1-9. 好きです付き合ってください
もうこの告白シーンは告白シーン史上一番といっていいほど胸キュンしました。何度繰り返し見たことか。そして何度見返しても毎回キュンとしすぎて口角が上がりニヤつきがおさまらないシーンでした。
絶対最初の紬の告白が聞こえていたのに、紬への”好き"と、スピッツの"好き"、絶妙に掛け合わされた探り合いのようなドキドキ感、最高。
自信満々な想くん、目黒くんだから嫌味も無く許される。
イヤフォンを紬の耳につけてあげる想くん、ドキドキしながら嬉しそうな紬。なんて可愛いの。
このシーンの想くんは、しゃべり方も表情も笑い方も本当によかった。
想くんも紬のことが好きで、目の前の紬が愛おしくてたまらない感じ。それが隠し切れずに込み上げてしまっているような表情。可愛い。
個人的には想くんの「好き、付き合って」よりも、「うん。わかった。」の言い方と表情が、ドギマギする紬をやさしく穏やかにリードしていく感じ、やっと紬と付き合えたという達成感のような男の子っぽい心情が感じられてツボでした。(マニアック)
そして、佐倉想と目黒蓮に恋に落ちたことを、ここにあらためて宣言いたします。
スピッツの曲がいくつか物語でこの後も登場しますが、曲の歌詞にも意味が込められていて、いいんですよね。
佐倉くんがスピッツ好きというのも、言葉にこだわって、言葉を大切にする価値観や性格が表れていて好きです。
1-10. 壊れたイヤフォン
さっきまであんなに胸キュンなシーンだったのに!!!!!!
切なすぎる!!!!
モノローグを通じて、二人がその後別れてしまったことが明らかになりました。
あんなに電話が好きで、声が好きで、でも、LINEのメッセージひとつで別れてしまった。一方的に紬は振られ、その後今まで会うことはなかったんですね。
イヤフォンは、想の聴力に紐づけた演出ですが、壊れてしまったイヤフォンには二人の甘酸っぱい思い出がたくさん詰まっていて、それも含めた二人の時間が3年前に止まってしまったことを感じさせ、切なくなりました。
そしてイヤフォンが、高校時代はコード付きだったのに、現在はワイヤレスになっているのも、今一緒にこの時代を生きている世代感がよく出ていて共感しやすいですよね。生方さんのこういうセンスが好きです。登場人物が今この世界のどこかに生きているように感じます。
1-11. もういらない
想は紬だけでなく、湊斗に対しても一方的に関係を切ったんですね。
その時のやりとりもあり、紬は湊斗にとって想から"もらったもの"、元々は"想のもの"、なんですね。
想のこの時の「もう青羽いらない」は、耳のことがありあえて嫌われるような言い方をしたのだと推測されますが、湊斗にとってはこの時のことがずっと頭にあるのでしょう。うーん。切ない。
1-12. 想の耳
ここで初めて、想の耳が聞こえなくなったということが明かされました。
そのことがおそらくきかけで、紬とも湊斗とも関係性を断ったのだということを把握し、動揺する湊斗。
母・律子と萌の会話からも、想はかつての友人たちと関係性を断ち、孤独の中にいるのかなと想像されます。また、そんな想のことを家族も気にかけていることが分かりました。
1-13. 好きだった人
湊斗の優しい人柄が分かるシーンです。ほんとに鈴鹿くんが適役でしたよね。ここで表された湊斗の人柄が、後の物語でどんどん効いてきます。
また、紬の想への思いもよく描かれていました。
紬にとって想は、過去の人。好きだった人。今は、湊斗。それはきっと本音。
それでも、あんな終わり方をしてしまった想のことはやっぱり気になるし、今でもスピッツを聴いてしまったり、きっといつもどこかで心の中にいて、今も気になる人。
大切だった人が、事情もよく分からないままに突然疎遠になってしまって、今どこで何をしているのかも分からない。どうしているのって、ただ気になる。もう一度会いたいなって思う人。
もうこの時点で、私含め全視聴者が、「佐倉くん、どうしてるの?元気なの?」と気になって仕方ない状態ですよね。
何があったの、佐倉くん。
「元カレ」かと聞かれて、「昔付き合ってた、好きだった人」と答えた紬。
おそらく紬と想が付き合っていたのって、高3の秋とか?制服が長袖になる頃の季節からなはずなので、その後大学に進学してすぐに疎遠になったことを考えると、付き合っていた期間ってそんなに長くないと思われます。
後に分かりますが、大学進学後は遠距離恋愛だったようなので、実際に付き合っていた期間の中で、そこまで関係性を深めてはいなかったのかもしれません。
紬にとって想くんは、ずっと好きで憧れていた人で、やっと付き合ったと思ったらすぐに一方的に関係を断たれてしまって、もっと知りたかったことや、一緒にしたかったこと、行きたかったところとか、たくさんあったんだろうな。
今はもう時も流れて恋愛感情は薄れたけれど、想くんに恋していたこと自体を恋しく思うような、そんな思い出なのかな。
そんな風に感じさせる台詞でした。
1-14. 昔の友達
想が手話を使うシーンはこのシーンが初めてでした。
奈々役の夏帆さんの手話を含めてお芝居が本当に自然で驚いたシーンです。
夏帆さんが出演されていると、この作品絶対面白いだろうと期待値が高まります。
萌と光は高校3年生の時に同じクラスだったようです。特に深いつながりはなかったようですが、LINEをきっかけに再び繋がっていきます。
この物語では、連絡手段が「電話」と「LINE」で描かれますが、LINEは常に近く誰かと気軽に繋がれる一方で、文字面だけでする会話の寂しさ、時には関係性が終わってしまうことの儚さを感じさせます。
1-15. 刷り込みと偏見
この台詞を放った春尾は、どこか影があり毒もありそうな印象でした。
ここまでで、想の身に起こったことを想像する視聴者は、「かわいそう、何があったの」と想に思いを馳せているはず。そう仕向けたはず。そこでこの春尾の言葉です。
わかったような気持ちになって、感情や立場を勝手に想像することは、時に人を傷つけることにもなる。
軽く頭を殴られたような衝撃でした。
また、このシーンの湊斗は、想の事情がなんとなくわかり、でも信じられなくて葛藤する様子がよく表れています。
この作品では、"変わってしまった"想との再会から物語が動き出していきますが、その変化を簡単には受け止められない側の人間として、湊斗の思いや表情がとてもリアルで、切なくなってしまいます。
"普通に"話したい。会いたい。でも、怖い。そう思いますよね。
1-16. 話したい
湊斗の中には今、変わってしまった想に対する不安と、想と紬が再会してしまったらという不安、変わってしまった想に会ったら紬はどうなってしまうのかという不安。たくさんの不安が渦巻いていて、整理しきれていない、葛藤と混乱の中にある状態です。
湊斗を演じる鈴鹿くんのお芝居がとても切ないシーンでした。
紬にとって、想は過去の人。今は湊斗が好き。
でも、紬もきっとそんな想の存在を湊斗がどこかで気にしていることもわかっていて、どことなく気まずい雰囲気も感じられました。
1-17. うるさい。お前、うるさいんだよ。
はぁ…。何度目かっていうくらい見たシーンなのに切なすぎる。
もう二度と会わないと覚悟を決めて、耳のことは伝えないと決めて、紬と別れた想。再会してしまい、長年ひとりで抱えていた想いを手話で紬にぶつける想の姿が切なくて苦しくて。
そう、伝えるというよりも言葉や想いをぶつけるような切迫した感じがあって、このシーンの目黒くんの全身全霊のお芝居がすごかったです。
どうせ伝わらない(手話が理解されない)という苛立ちや、今さら再会したってもうどうにもならないという虚しさ、本当は嫌いになって別れたわけではなかった悔しさ、いろいろな感情が溢れ出して手に取るように伝わってくるような、すごいお芝居でした。
また、それを受ける紬を演じる川口春奈ちゃんのお芝居も、目の前で手話らしきものを使って何かを話している想への戸惑い、目の前で感情を露わにして涙を流しながら何かを訴える想を見た驚き、変わってしまった"何か"を理解した悲しみ、言葉にならないほどのいろいろな感情がとてもリアルに伝わってきて、胸を打たれました。
とてもドラマチックな演出のシーンではありましたが、目の前で大人にあんな風に泣かれたら、そりゃびっくりして言葉も失って戸惑うよねっていう、リアルさもあって。それは川口さんのお芝居のリアルさが成立させたものだと思います。
回想シーンの使い方も見事。
"名前を呼びたくなる背中"の佐倉くんの背中に向かって、思いっきり「佐倉くん!」と無邪気に呼べた高校時代の紬。イヤフォンをしていても紬の声は聞こえて笑顔で振り向いた想。
今現在は、変わらない佐倉くんの背中がどんどん遠ざかっていくのに、名前を呼ぶことが出来ない紬。振り返らず去っていく想。
変わってしまったものの大きさを印象づける演出でした。
そして流れる主題歌。タイミング完璧。
「うるさい」も、たった4文字なのに、冒頭はあんなに愛おしい「うるさい」だったのに…そんな風に泣きながら言わせるなんて…この対比よ…
もうsilentチーム天才ばっかりなんですけど…
なんて贅沢な作品なんだ…と改めて噛みしめます。
放送をリアルタイムで見た時は、このラストシーンにはなんとも圧倒されました。
気付いたら自分も涙を流しながら見ていて、想くんに何があったのか知りたくて、もう紬の気持ちになっていました。
今現在(2023年10月)放送されている「いちばんすきな花」もそうですが、登場人物の誰かに気付いたら感情移入してしまうような脚本ですよね。
そして、川口春奈さんの紬と、目黒蓮さんの想を、もっとずっと見ていたいと思いました。
そしてそして、もう想くんにはとっくに恋に落ちていたし、目黒蓮さんのことを見つけてしまった衝撃で呆然でした。(笑)
高校時代の想くんのシーンを見ていると、「あぁ、昔この人のこと好きだったな」って、あるはずもない恋の記憶が蘇ってくるような、そんな感覚になるんですよね。きっとsilentファンの全視聴者そうじゃないですか?
あの声が好きだったし、あの背中が好きだった。大好きだなったなぁ。
なぜかそんな感覚にさせてしまう目黒くんの存在感、居姿が、本当に素敵で。
当て書きとはいえ、こんなにも目黒蓮という素材を生かし切った脚本・演出と、生かされて演じきった目黒さんに感服です本当に。
これだけ印象的に終わった第1話でしたが、第2話以降も失速しなかったのがすごい。本当に、今も心に残っているし、何度でも見たくなるドラマです。