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【春になったら】第5話:細かすぎるあらすじ&感想
春になったら
第5話 2024/2/12(月) 22:00~
今期のドラマの中で今のところ1番泣いているドラマ、「春になったら」。
第5話のレポートです。
瞳ちゃん…。
※ネタバレがありますので気になる方はご注意ください。
目次
●「春になったら」第5話
5-1. 自分の葬式
1年2か月前の回想。
「一馬さん」と瞳が駆けてくる。水族館に行く約束をしていた瞳と一馬だが、一馬が自分に子どもがいることを打ち明ける。
謝り、「僕なんかとは付き合わないほうがいい」と、そのまま別れようとする一馬。一方瞳は驚きながらも微笑み、「行きましょう」と一馬を水族館へ連れて行く。
水族館で何事もなかったかのようにデートを楽しむ瞳。
少しして、切り出す。
-瞳「会わせてください。龍之介くんに会わせて。会いたい、私。」
現在。自宅に圭吾を呼んだ雅彦。
「岸くんに僕のお葬式を仕切っていただきたい」と頼む。
突然のことで驚き唖然とする圭吾と瞳。
雅彦は構わず、悲しいお葬式にしたくないと自分の希望を話し続ける。
圭吾が帰った後、2人で話す瞳と雅彦。
「死んじゃうんならさ、自分の葬式のこと考えるの当然だよ。」とあっけらかんとしている雅彦に対して、「お父さんのお葬式とか想像したくないの私は」と瞳。
現実から目をそらしちゃだめだと笑い、イヤフォンをして英語の勉強を始めてしまう雅彦。
少しずつ描かれる出会った頃の一馬と瞳。
瞳にとって一馬がとても大好きで大切な存在であることがわかります。
葬式の件、やはり岸くんに雅彦は自分の式を頼みたいと伝えましたね。
残された時間を上手に生きた後、最後に迎える自分のエンディングについて、自分で準備しておきたいというのは、自分らしく最後を終えたいという思いと、娘や周りに負担をかけたくないという思いがあるのだろうと思います。
しかし、なかなか受け入れられない瞳。
一人部屋でぼんやり様子の瞳など、ここ最近、父の余命のことを知ってからの約1か月、ドタバタと過ぎてしまった時間の中で呆然としているような、少し疲れてきているような瞳の様子が気になります。
ところで雅彦が死ぬまでにやりたいことリストに書いていた英語の勉強。
少しずつ始めているようですね。
なんで死ぬ直前に英語?と瞳も疑問に抱いていましたが、カウントダウンが始まっているからこそ、新しい何かを始めることで、せめてそれに取り組んでいる間は病気のことや現実のことを忘れられるという雅彦の想いがあるのかもしれませんね。
イヤフォンをして、シャットダウンをして、勉強に向き合う。
その時間だけは、何も考えなくて済むから。
この「英語の勉強」は、そんな表現なのかもしれません。
5-2. 結婚式
塾にて正社員になれることが決まった一馬。
ある電話を受けた後、「今日会えない?」と瞳に連絡を入れる。
一方、瞳はいつも通り助産院で働く。産後1か月の女性が、毎日子供の写真をInstagramにアップしていると話す。微笑ましく聞いている瞳だが、院長の節子は少し気がかりな様子で遠くからそれを見つめる。
喫茶店で待ち合わせた瞳と一馬。「クビになっちゃった」と一馬。
芸人として所属していた事務所をクビになってしまった。
「カズくん、本当に辞めちゃうの?」と瞳。
-一馬「…でも大丈夫。塾の正社員になったんだ、僕。」
-瞳「正社員…」
-一馬「これできっとお父さん許してくれるよね。だから進めて行こう?結婚式の準備。」
-瞳「いや、進めて行こうって…」
一馬が一人で式場と打ち合わせをしたことを聞き驚き戸惑う瞳。
-瞳「でもほら…私、結婚は待ってほしいって言ったよね?」
-一馬「でもそれは…やっぱり…本当だった?」
-瞳「それは…」
-一馬「瞳ちゃんはお父さんのことで頭がいっぱいなんだよね。それはよくわかってる。僕もすごく心配だし。でもね、お父さんに瞳ちゃんのウエディングドレス姿を見せてあげる親孝行もあると思う。だからむしろ僕は、結婚式を早めることも全然いいと思ってる。大丈夫。僕はちゃんとした経済力があればお父さんはきっと許してくれると思う。」
一馬の話を聞きながら、泣き出してしまう瞳。
「ごめんね…。ちょっと…気持ちの整理が追い付いてないだけ。」
そういう瞳を見つめる一馬。
事務所をクビになり、塾の正社員になり、新しいステップへと歩みを進める一馬。
一馬にもお笑いの夢に対する未練がないわけではないと思います。
それでも、瞳との結婚を雅彦に許してもらうため、雅彦に瞳の晴れ姿を見せるため、そして、雅彦がいなくなった後も瞳に苦労をかけず幸せに暮らすために、一馬は踏み出していく。
瞳は、一馬にお笑いを辞めてほしくない。
でも、その決断が自分や雅彦のためであることが痛いほどわかるから。
そして、そんな簡単な決断ではなかったことがわかるから、何も言えない。
お互い本音を分かり合いながらも、ちゃんと話し合えなくて。
歩みを止めずに進んでいく強さと優しさを見せる一馬に対して、現実に心が追い付いていない様子の瞳です。
一馬役、本当に難しいですよね。
濱田岳さんだからこそすっと受け入れられる。
少し見せ方が違えば、瞳の気持ちを無視してぐいぐい進めていってしまう男にも見える。
一馬自身、もう引き返せないという焦りもあるのかもしれないけれど、一番に瞳のことを真剣に考えているというのが伝わる。
それは、濱田さんが醸し出す空気感と、今まで描かれてきた一馬、少しぽわんとしていて、穏やかで、のんびりしていて、どこかのらりくらりとしているような感じがあったからこそ、男として決断して進んでいく姿に誠意と覚悟と優しさを感じることが出来るのだと思います。
瞳ちゃん、なんだかもう気付いたら涙が出てきてしまう感じで、本当にいろいろと追いついていないのかも。
誰にも相談できないですもんね。
今までだったら、そんな相談を出来たのも一馬だったのだろうけど、今は一馬に対しても気を遣ってしまう部分があるから。
苦しいね。瞳ちゃん。
5-3. エゴ
阿波野から「人生ノート」を渡された雅彦。
自分の好きな物や、人生の振り返り、エンディングプランを記入していくノート。「エンディング」の文字を見て、少し寂しそうに笑う雅彦。
瞳。式場の黒沢から電話を受ける。式に向けた確認事項を次々と話していく黒沢に対して、言葉に詰まってしまう瞳。「もしかしたら式は…すみません。やらないかもしれません。」と頭を下げる。
居酒屋にて、一馬と瞳の挙式にまたキャンセルの可能性が出て来たことを不安視して愚痴る森野と黒沢。
偶然近くの席では圭吾と美奈子が二人で飲んでいる。
葬儀を頼まれたと話す圭吾。どんな顔をしていいかわからなかったと嘆く。
-美奈子「結婚式どうすんだろ?」
-圭吾「あー、出来ないだろ。瞳もそう言ってた。もう結婚辞めちゃえばいいのに。めっちゃ悩んでるよ瞳。全部一人で抱え込んでるみたいな顔してさ。何やってんだよカズマルは。」
-美奈子「岸君も相当こじらせてるよね。ね、相手に好きな人がいるのを分かってて自分の気持ちを伝えるのってエゴだと思う?僕は君が好きですって。私はあなたが好きですって。」
-圭吾「なんだよ急に。」
-美奈子「エゴだと思う?」
-圭吾「あぁ、それはエゴじゃないよ。自分の気持ちを伝えるだけだろ?それだったらいいじゃん。」
-美奈子「だよねえ。でもそれがなかなか出来ない。」
人生ノートに記入し、自分のエンディングについても考えていく雅彦。
雅彦も雅彦で、すべてに納得して受け入れているわけではないけれど、それでも目の前には差し迫る現実があるから、淡々と、努めて淡々と、いつもの調子で、いつも通りに過ごそうとしている。
ノリさんのお芝居がそんなお父さんをよく表していて、私は好きです。
圭吾と美奈子。相変わらずの2人。
圭吾は瞳や雅彦のこと、周りのことは敏感に感じ取れるのに、美奈子の気持ちだけは気付けないんだよなぁ。
瞳のことが心配だけど、何もしてあげられない、カズマルがすべきなのにあいつは何をしてるんだ。そう話す圭吾。
だからといって、ぐいっと強引に奪ってやろうとも、腹をくくって自分は引くと決めることも出来ない優柔不断な圭吾。優しいんだけど、こじらせですね(笑)
そもそも圭吾は学生時代からずっと瞳を好きだったわけで、一度も告白もしていないのは、友人関係が崩れることが怖いから、というだけでなく、瞳は自分に対してそういう想いは抱いていないということがわかっているからですよね。
だから今も結局、一馬が現れてずっと自分の目の前にいた瞳を奪われてしまいそうだから色々と愚痴るけれど、じゃあ自分が付き合いたいとか、付き合えるとか、そういう風には思っていないんじゃないかな。
だったらグチグチ言うなよ!なわけなんですけど(笑)
それでもいいやつなんだよな~っていう、この岸君の役、本当に深澤さん、適役ですよね。(良い意味で)
そんな様子を見ながら、少しふっかけてみる美奈子。
「それはエゴじゃないんじゃない?」と本当に他人事のようにあっけなく話す圭吾。罪ですよね~(笑)
これで圭吾が美奈子の想いにも気づいていて、答える気がないから瞳の話をしている、とかだったら、鳥肌。ありえるかも?
ここで話したエゴの話が、美奈子の勇気に変わるだけでなく、もしかしたら圭吾の背中を押してしまう展開になるかもしれませんね。
5-4. わかんなくなっちゃった
家で人生ノートを記入している雅彦。
「まあ俺の人生こう見てみるとさ、そこそこ幸せだったよ。そういうのが分かる。だけど佳乃が死んじゃった時はちょっと辛かったけどね。」と笑う雅彦。
「忘れられない思い出」のページに何を書いているのか気になった瞳だが、いいよと言ってそのページは見せようとしない雅彦。
エンディングのページで、希望の葬儀について記入していく雅彦と、うんざりした様子の瞳。
瞳の様子を見て、辛気臭いのが嫌だから葬儀でカズマルにお笑いをやってもらうかと言う雅彦。無反応の瞳。「難しいか…」と雅彦。
-雅彦「…何?どうした?」
-瞳「カズくんは、芸人辞めたの。学習塾の講師になった。」
-雅彦「え…なんで?」
-瞳「なんでって…お父さんが言ったんでしょ。私と結婚したいんだったらしっかりした経済力持てって。」
-雅彦「おい…いや、俺のせい?ねえ、俺が言ったから?なんだよあいつ、その程度の覚悟だったの?人から言われてさ、辞めちゃうとかそんなのありえないだろ。」
-瞳「カズくんは真剣に考えて…」
-雅彦「じゃあ瞳はどうすんのよ?いいの?」
-瞳「私だって思ったよ、なんで簡単に辞めちゃうの?って。だって私が好きだったカズくんは…。いや、とにかく、カズくんはお父さんに認めてもらいたくて芸人を辞めたの。だからお父さんも、お父さんもカズくんと真剣に向き合ってあげてよ。」
-雅彦「いきなり8歳の子持ちになんだぞ?」
-瞳「いやだから全然それは問題じゃないんだってば。」
-雅彦「じゃ何?問題。」
-瞳「いやだから…。よくわかんない。わかんなくなっちゃった。ちょっとこの話やめよう。ごめんごめん。」
席を立つ瞳。その姿を見つめる雅彦。
お父さんも勝手だし、カズくんはどんどん決めて進んでいくし、私は色々受け入れられないけど色々理解も出来るし、でもどうしたらいいのか。
そんな風に気持ちがぐっちゃぐっちゃになっている瞳ちゃん。
もう溢れ出してしまいそうですね。苦しいね。
雅彦は、結局のところ瞳が好きな人と好きなように幸せになればいいだけで。
でも親だから、瞳を幸せに送り出すときっと佳乃とも約束しているから、言いたいことは言うし、心配なことは伝える。
お父さんの立場も分かります。
そこでいつもみたいに瞳が歯向かってきて、口論になって、そんな日常も、雅彦にとっては愛おしい日常だったはず。
それが、ここ最近の瞳の様子は変わってしまって。
自分の言う通り、一馬も芸人を辞めてしまって。
瞳は全然幸せそうじゃなくて。
「カズくんは芸人を辞めない!私はそれでもいい!結婚する」
威勢よくそういう瞳の姿がなくなってしまい、雅彦も戸惑っている様子です。
「わかんなくなっちゃった」
やっぱり瞳が本心をぽろっと零せるのは、一馬とも少し距離が出来てしまった今、お父さんだけなんだろうな。
でもそんなお父さんには、自分の体の事を一番に考えてほしいし。
苦しそうな瞳ちゃんが心配です。
5-5. 一人で抱えこまなくていい
帰宅した一馬。一人で食事を済ませ風呂も沸かしたしっかりしている龍之介に、申し訳なさそうにしながらもお礼を言う。
別日、助産院にて、産後1ヶ月の女性が、「この子とどう接したらいいかわからない」と泣き出す。泣きながら不安を打ち明ける姿に驚く瞳。
-節子「ね。1ヶ月間、よく頑張りましたね。赤ちゃんのために一生懸命頑張ったんですよね。でもお母さんだからって全部完璧には出来ないし、やろうと思わなくていいんですよ。お母さんだって誰かを頼っていいの。私たちの事頼っていいんですから。自分がダメだなんて思わないで。辛いって思ったらいつでもここに来て。何日か泊まってもいいですよ。」
女性の様子に全然気付かなかったことを節子に詫びる瞳。
「だから私たちの継続的な関わりが大事なの。関心を向けて見守ってあげること。心を寄せてあげることが私たちの仕事ですよ。」と節子。
少し後、「どうしたの?」と瞳に話しかける節子。
-節子「何かあったの?瞳先生。」
-瞳「いや…すみません…先生達に言っていなかったことが。父が…癌なんです。もうステージ4で。お医者さんからは、桜が一緒に見られたらいいですねって言われてます。でも父は、告知された時から治療は一切受けないって。残された人生を好きなように生きたいって。だから全然辛そうじゃないんです。今までと何も変わらないんです。」
-節子「そう…。」
-瞳「でも、私の方が受け入れられなくて。…もうどしたらいいのか。自分のこともよくわかんなくなっちゃって。」
-節子「だから最近元気なかったのね。」
-瞳「すみません。」
-節子「謝ることない。自分一人で抱え込まなくていいのよ。誰かに自分の気持ちを打ち明けて話を聞いてもらうことも大事なんだから。」
瞳を抱きしめる節子。「節子先生…すみません…」と、涙が止まらなくなってしまう瞳。
龍之介くん。しっかりしているけれど、お父さんが芸人を辞めてからどこか元気のなさそうな寂しそうな様子が気になりますね。
助産院でのシーン。
産後ブルーになって苦しみを打ち明ける女性の言葉は、今の瞳にも当てはまるようで。
瞳はきっと、いつもの瞳ならこうした変化や本音も察して気付いてあげることが出来る人なのだと思います。
今回はそれが出来なかった。
自分のことや父親のことで頭がいっぱいになっていて、助産師として疎かになってしまっている自分を、仕事に誇りをもっているからこそ、責めている様子でした。
節子先生は、最近の瞳の様子にも気付いてくれていて、ついに声をかけてくれました。
ここで節子先生役が小林聡美さんであることに大大大拍手です!!
どっしり構えていて、あたたかくて、優しくて、強くて。
瞳ちゃんが弱音を吐けたこと、よかったです。
節子先生ありがとう。
瞳ちゃんにはお母さんがいないから。
そして今は、お父さんにも一馬にも本音や弱音を吐きづらくなってしまっているから。
そんなときに、節子先生がそばにいてくれてよかった。
「一人で抱え込まなくていい」
病を抱える患者も、その家族も、心がひとりぼっちになってしまう前に、こうやって吐き出せる場所、ただ話を聞いてくれる人がそばにいるって、本当に大切なことですね。
5-6. あなたはふさわしくない
コンビニで偶然一馬を見つめた圭吾。
「カズマルくんさん」と呼び、言いたいことがあると話しかける。
-圭吾「本当に瞳を幸せにする気ありますか?瞳は今悩んでます。めちゃめちゃ悩んでます。あなたとお父さんの事で板挟みみたいになってるんですよあいつは。」
-一馬「知ってます。」
-圭吾「知ってる?」
-一馬「ええ。もちろんわかってます。」
-圭吾「わかってるならもう少し考えてやってください。結婚は延期するとかいっそのこと辞めるとか。それでもやろうって言うなら、僕はあなたの良識を疑います。」
-一馬「え…?」
-圭吾「やっぱり…お笑い芸人やってる人は普通じゃない。そんな人と結婚したって瞳は幸せになんかなれない。」
-一馬「あの、どうしてあなたにそこまで言われなきゃいけないんですか。」
-圭吾「僕は普通だからです。良識も常識もあるし瞳の悩む気持ちもわかる。そもそも瞳と僕は大学の時からの知り合いなんです。同じ写真部で今でも一緒にもんじゃを食べに行く仲です。」
-一馬「もんじゃ…」
-圭吾「瞳にあなたはふさわしくない。失礼します。」
岸くん!!!!!!!!あかん!!!!!!!
瞳が悩んでるのにお前は何をやってるんだ。お前がしっかりしろ。
瞳を思うがゆえの圭吾のその気持ちはわかりますが、自分の感情が先行してしまいましたね。
自分は普通だ、自分には良識がある、自分には常識がある。
そんな風に思ってしまうことこそエゴで、それをぶつける相手を一馬にしてしまった圭吾。
写真部ともんじゃで瞳マウントをとろうとする岸くんが岸くんぽくて少し笑いましたが(笑)
いつか、瞳と一馬が本当に結婚することになった時に、その頃には心から一番の祝福を送る人が圭吾でありますように。
私には見える。二人の結婚式で泣きながら「おめでとう」と言う圭吾と、それを少し呆れた表情で見て隣で笑う美奈子が(笑)
5-7. 本当に死んじゃうの?
実演販売の仕事中、腹痛に苦しむ雅彦。その様子を心配そうに見る中井。
自宅にやってきたマキ。雅彦と2人。雅彦の体調の悪化を気にかける。
職場にもそろそろ打ち明けなければならないが気を遣われたくないと話す雅彦に、「だって病人なんだから仕方ないじゃない」と諭すマキ。
瞳の結婚のことはどうなったのかと話すマキ。
-マキ「もうあんたの言う事聞いたんだからさ。結婚認めてあげなきゃ。」
-雅彦「いやいや。だってさ8歳の子供いるんだよ?そんな親に瞳なれるわけないじゃん。」
-マキ「どうしたって気に入らないってわけだ。身体もしんどいんだからさ、もう自分の事だけ心配してればいいじゃない。瞳達のことは好きにさせてあげてさ。」
-雅彦「いやいや。俺は言いたい事言わしてもらうよ。だってさ俺は瞳の親なんだから。俺死んじゃったらさ、何も言えないじゃん。」
-マキ「…本当に死んじゃうの?雅彦。怖くないの?あんたがいなくなっちゃうなんて考えられない。」
珍しく泣き出すマキと、慌てる雅彦。
少しずつ確実に体調が悪化している雅彦。
ずっと着丈に振舞っていたマキの感情がふと緩む様子、とてもリアルでした。
みんな一生懸命「いつも通り」を頑張って、でもやっぱり心はいつも通りでなんていられなくて。
雅彦だってそう。でも、現実からは逃れられなくて。苦しいですね。
5-8. 忘れられない思い出
誰もいない家に帰宅した龍之介。
夕飯に関する一馬からの書き置きを見つめる。
帰宅した瞳。雅彦はお風呂に入っている。
テーブルに置いてあった雅彦の人生ノートをこっそり開く瞳。
「忘れられない思い出」欄に、「瞳が産まれたとき」と書いてあり、思わず笑い、涙が溢れる。
ふと佳乃の遺影に目を向ける瞳。「お母さん…」と泣きながら呟く。
お風呂から上がって来た雅彦に、慌ててノートを閉じ席を立つ瞳。
泣いていることを気付かれないように雅彦の話を聞く瞳。
新人が仕事を出来るようになったら仕事を引退すると話す雅彦。
夜、部屋でなかなか寝付けない様子の瞳。
雅彦はダイニングデーブルで人生ノートの続きを書いている。
瞳へのメッセージを書こうとしながら、佳乃と3人の思い出が頭に浮かぶ。
そこに襲ってくる腹痛。洗面台に吐血し、顔をしかめ苦しそうな雅彦。
忘れられない思い出。人生で一番の出来事が、瞳が産まれたこと。
お父さんは、やっぱりお父さんで。涙が溢れました。
瞳の家には、ダイニングテーブルからちょうど目線の高さで見えるところに佳乃の仏壇と写真があるんですよね。
きっと雅彦も瞳も、何かに悩んだ時とか、嬉しいことがあった時、佳乃の方を見て、佳乃に相談したり、報告したり、してきたんだろうな。
佳乃はいないけれど、ずっと3人家族で。
でもきっと雅彦も瞳も、今ほど、「佳乃がいてくれたら」「お母さんがいてくれたら」と思うことはなかったかもしれません。
娘を残していかなければならない雅彦。
佳乃がいてくれたら、瞳も少しは楽だったのに。甘えられたのに。
雅彦がいなくなったら一人になってしまう瞳。
お母さんがいてくれたら、どうしてた?何をしてあげられた?
佳乃に語りかけながら生きている2人です。
大切な人がいなくなる悲しみも、残される悲しみも、知っている2人です。
吐血シーン。
全体的に少しセピアがかったような色調の映像の中で、差し色が映える物語ですが、血の赤色がとても鮮やかで、際立っていました。
お正月の真っ赤な瞳の着物、とても華やかで素敵でした。
今、この真っ赤な血は、どこか恐ろしくて。
色彩表現が見事で、とても美しい作品です。
5-9. 家出
塾で仕事を終えた一馬を、出入り口前で待っていた瞳。
「あぁ。カズくんといるとほっとする。」と笑う瞳。
久しぶりにのんびり2人で歩きながら、一緒に食べる夕飯の話をする。
一馬の家に2人で帰宅するが、龍之介の姿が無い。
テーブルには、「さがさないでください」と書き置きが。
慌てて龍之介を探す2人。
雅彦、帰り道に偶然、一人で歩いている龍之介を見つける。
瞳に電話をかけ「龍之介がうちにいるんだけど」と伝える雅彦。
慌てて瞳の実家にやってきた瞳と一馬。龍之介はゲームをしている。
-一馬「どうして家出なんかしたの?」
-龍之介「僕がいないほうがいいんだよ。パパは忙しいじゃん。仕事と瞳ちゃんのことで。僕はパパの足枷になりたくないわけ。」
-雅彦「おいよくそんな言葉知ってんなあ。そりゃそうだよな。パパにほったらかしにされたらさ、そうなっちゃうよな。」
「悪いのはどっちなんだよもう。カズマルと瞳だろ?子供の気持ちなんにもわかってないじゃない。」と雅彦。謝る瞳。
-龍之介「…それにさ。パパはつまんなくなった。お笑い芸人、辞めてほしくなかったよ、僕は。」
-一馬「それはね…」
-瞳「カズくんはね、色々考えて…」
-雅彦「知ってるよ。瞳ちゃんと結婚するためでしょ?でも僕はお笑い芸人辞めてほしくなかった。」
-雅彦「そうだよな。ずっと応援してきたんだもんな。残念だよな。」
-瞳「お父さんが辞めろって言ったんでしょ。」
-雅彦「人に言われて簡単に辞めるなんてさ、君の覚悟はその程度だったのかよ。」
予選のネタは悪くなかった、俺が言っただけで諦めたのか、芸人として成功するように頑張ればよかったじゃないか、残念だと言う雅彦。
「瞳もそう思ってんだろ?」と問いかける雅彦。
核心を突かれて何も言えない瞳。瞳を見て、はっとする一馬。
久しぶりに他愛のない話をして歩く一馬と瞳。
ほんわかしていて、あったかくて。
こんな二人の「いつも」の日常が、何の心配もなく続いたら。
そう思った矢先に龍之介くんの家出でした。
龍之介くんも、色々わかっていて、色々我慢していたんだよね。
瞳も一馬も、この状況で仕方がないとは言え、自分たちのことばかりを考えてしまって。
少し前の産後ブルーの女性の件もそうですが、人ってやっぱり自分のことでいっぱいいっぱいになると、周りのことが見えなくなってしまう。
それは当然で。自覚するたびに自分を責めて。でも生きていくしかなくて。
そんな龍之介が、本当のひとりぼっちになる前に、雅彦が見つけてくれてよかったです。
龍之介の味方になってくれたり、あえて龍之介の前で一馬と瞳を叱ったり、瞳が遠慮して言えない本音を、あえて言ってやったり。
雅彦のこの、お父さんらしさ。
やっぱり一人で子育てをしてきただけの経験値と説得力と人間力があるお父さんらしさには、いつも泣けるし、はっとさせられます。
ノリさんの、こう、なんて言うんでしょうか。
台詞があぶなっかしいかのようなナチュラルさ、自然さが、本当にリアルで、大事な台詞を言うときも、思わず笑ってしまうようなお芝居も、すっと胸に入ってきます。
あえていつも通り振舞おうとするお父さん、が感じられるお芝居で、好きです。
5-10. 俺のことはいいから
一馬が龍之介を連れて帰った後、雅彦と話す瞳。
-瞳「お父さん。無責任だよ。カズくんは悩んで悩んで芸人辞めたの。なのに今になってあんなこと。」
-雅彦「そうだよ、無責任だよ。勝手な事言うよ。親だから。」
-瞳「親だったら、娘の気持ちも考えてよ。毎日毎日お父さんの心配して、もうカズくんのことだってどうしたらいいかわかんなくなってるの。」
-雅彦「お前のことはわかってるよ。あいつが決めたことさ、納得いかないんだろ?それを言えなくてさ、遠慮してんだろ?」
-瞳「遠慮してるわけじゃない。」
-雅彦「遠慮してるよ。瞳はカズマルに芸人辞めてほしくないんだ。塾の講師になったってさ、全然嬉しくないんだろ。」
-瞳「勝手な事言わないでよ。カズくんはお父さんに認めてもらいたくて。その気持ちが分かるから私は。だから…。そうだよ。私はカズくんに芸人辞めてほしくなかった。夢を諦めてほしくなかった。でも今はそれどころじゃないの。わかってるでしょ?お父さんのせいだよ。」
涙をこらえる雅彦。はっとして、違う…と言うが涙が止まらない瞳。
-雅彦「瞳…。瞳。もう俺のことはいいから。俺のこと心配しなくていいから。」
-瞳「そんなこと出来ない。」
-雅彦「いや、今まで通りでいいよ。今まで通りでさ、瞳はさ、カズマルと結婚したい、俺はそれを認めない、もうそれでいいじゃん。喧嘩したってそれでいいじゃない。いいよ。今まで通りで。」
-瞳「出来ないよ。出来るわけないじゃん。今まで通りなんて。…私結婚しない。お父さんがこんな時に結婚なんて無理だから。私は、カズくんと結婚しない。」
泣きました。苦しい。
お父さんの前で本音を話せた瞳ちゃん。
わけわかんなくて、どうしたらいいかわかんなくて、思わず言ってしまった「お父さんのせい」。
違う、それは本音じゃない。雅彦だってわかってる。
でも、いざその言葉を受け止めてしまうと、泣きそうになってしまう雅彦。
「今まで通り」が、みんなよかった。
出来るなら、そうしていたかった。
でも、もう無理で。出来なくて。
誰のせいでもないから、誰も悪くないから、だからこそ苦しくて。
今回は苦しい終わり方でしたね。
前回、神くんと「元通り」になれたから。
その対比もあり、今回の「今まで通り」が、重く響きました。
次回予告、瞳ちゃんが心労でしょうか、倒れてしまったり。
圭吾が動き出すのか?だったり。
次回も相変わらず泣けそうです。
もう6話だなんて…本当にあっという間ですね。
春がくる。春になったら。春になるまで。
引き続き静かに見守りましょう。