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ドラマ【滅相も無い】名台詞集

2024年4月期 TBS火曜ドラマ「滅相も無い」より、心に残った台詞をまとめました。

*鑑賞時に書き起こした台詞を記録しているため、表記や文言は脚本と異なる場合があります。恐れ入りますがご了承いただけますようお願いいたします。


●作品情報

公式サイト


●名台詞集

第1話

なんで信用する側の負担ばっかり大きいわけ?

「信用の話じゃないじゃんこれ。お互い信用しててもお互いのことを考えた"付き合う"って関係にしたいって。だから信用とかの話じゃないからこれ。なんで信用する側の負担ばっかり大きいわけ?俺だけじゃない?しんどいの。おかしくない?信用ってそういう都合で使う言葉じゃないから。そもそも付き合うっていうことを二人でやってんだから、全部が全部自由なわけないじゃん。人間二人以上集まるって、考えること一人の時よりあるんじゃないのって思うんだけど。」

「滅相も無い」第1話 - 川端

幼い頃から""怒る"ということが分からない川端が、怒る練習を経て、何時間も遅刻をしたり、別の男と旅行に行ったり、そんな彼女に対して怒りを初めてぶつけた時の台詞です。
想いを伝えたところで話し合いにもならないような女を前に、川端が初めてぶつけた怒りの感情と言葉は、結局届かなかったと思われます。
それはまるで、相手のいないところに蹴ってしまったサッカーボールのように。
方向を誤って投げてしまった、誰も拾ってくれないキャッチボールのように。

第2話

誰でも死ぬんだって当たり前のことを罰以外で受け止めたくない

「でも天罰っていうか、なんなんですかね、子どもが出来たんですけど我々。でもその子が長く生きられないって医者から言われてて。まあ天罰っていう言い方も嫌ですね。なんかでもそう思うことで、自分をそう罰してる方が楽っていうか。どんな小さい人間でももう死ぬことが決まってて、しかも自分より早く。で、俺たちはそれを待つことしか出来なくて。誰でも死ぬんだって当たり前のことを、罰以外で受け止めたくないんですよね。」

「滅相も無い」第2話 - 菅谷

婚約者がいながら別の女性に想いを寄せた過去を語り、その罰として子供のことを受け止めていると話した菅谷の言葉です。
人の死は、罰でも、忌まわしいものでもない。
でもそう解釈しなければどうにも受け止められない。
さらっとした口調で語った菅谷から、どこか自分事として現実のものとして受け止めきれていない様子も伝わるシーンでした。

第3話

誰のために何やってるんだろう

「誰のために何やってるんだろうって思って。もう何も頑張れないし、静かなところに行きたいなって。」

「滅相も無い」第3話 - 松岡

図書館勤めから一転してCM制作会社のアシスタントになった松岡が、多忙すぎるスケジュールや業務内容、スタッフの言い争う様子を見るなどする現状から、転職を決意した時の言葉です。
環境は違えど、働いている中では、こんな風に思うことってありますよね。

第4話

どういう風に生まれたいか決めれるんだったら

「どういう風に生まれたいか決めれるんだったら、私は私を選んでいたかどうかはわかりません。」

「滅相も無い」第4話 - 青山

イギリスで生まれ日本語を話せない状態で日本に帰国し小学校に入った青山。
言葉が喋れず、友達も出来ず、母親の言いなりでバレエを習い進学もしてきた。
これまでの過去を語った後、穴に入る直前に、青山が言い残した言葉です。


第5話

面白そうな嘘の方が広まっていく

「あとから分かる本当の事より、面白そうな嘘の方が広まっていくんです。本当のことをきっちり広めていただきたい。」

「滅相も無い」第5話 - 小澤

穴のせいでぜんそくが広まったと噂され穴が批判されたものの、穴との関連性はなかったことが後にわかったという件について、小澤が言った言葉です。
SNSや世の中で広まるさまざまな憶測が、まさにそれです。
騒ぐだけ騒いで、本当のことには目が向けられない。
さりげなく冒頭に登場した台詞ですが、印象に残りました。

やり直しがきかないって、人生そうなってんだったら

「やり直しはきかないのよ。やり直しがきかないって、人生そうなってんだったら最初から試験なんか受けたりしなかったよ俺は。」

「滅相も無い」第5話 - 渡邊

司法試験に落ち続けて54歳になった渡邊が、自身の人生を振り返り吐いた本音です。
家族に無心しながら自由気ままにやっているように見えて、進めば進むほど、戻れないという事実に直面し、どうにも取り返しがつなかくなっていく。
込み上げる虚しさが感じられる台詞でした。

第6話

死んだら何も言えないくらい偉くなんのって話

「え、死んで何?俺がされたことはゼロになんないでしょ?別に今でも全然悪口言えるけど俺。え、何?小さいっていうのは何?俺が?いやいやだから、死んだから何なのって話。死んだら何も言えないくらい偉くなんのって話じゃない。」

「滅相も無い」第6話 - 真吾

仕事で不当な扱いをされた取引先の相手が亡くなり、葬儀に出席しないかと聞かれた際の、真吾の言葉です。
いなくなったから、許す。いなくなったら、終わり。
そこに感じる虚しさと理不尽さをたたきつけられる台詞でした。

第9話(最終話)

人は虚構しか共有出来ない

「まず理解しなければいけないのは、人は虚構しか共有出来ないということなんだね。つまり、赤色だと思ってるものでも同じ赤色と感じているかどうかは証明出来ないでしょ。例えばほら、これ見て。これ、青色だよね?でもどれくらいの青色か、全く同じ青色だと思えてるかってわかんないでしょ。言葉の記号でしか共有出来ない。穴も、そういうことだと思っていい。」

「滅相も無い」第9話(最終話) - 小澤

8人が語った人生を書き記し終えたノートを岡本から受け取った小澤の言葉です。
この物語で描かれてきた穴の捉え方にも通じる部分があるように思います。
すべては人の主観で解釈され、語られる。
その積み重ねが、人生であり、人であり、世の中であり、歴史である。
そこに主観しかないということは、とりこぼされた何かがあるはずで、だとしたら、事実や現実ですら、虚構に過ぎないのかもしれない。
考えさせられる余韻を含んだ終わり方でした。

自分が記録した人生の一部が自分の人生として語られるべきか

「岡本は思考した。長く生きることは果たして幸せなのか、自分に問いかけていたのである。と同時に岡本は、歳をとっていくことについても考えた。そして、自分が記録した人生の一部が、自分の人生として語られるべきかと考えた。次第に雪が降り始めたが、岡本は動かなかった。岡本は、雪すら気にならない研ぎ澄まされ方だったからである。しかし、岡本が次に思いついたことといえば、近くに気に入っているカフェがあったことだった。ホットコーヒーが頭に過って数秒後、岡本は、雪に降られていることに気が付いた。」

「滅相も無い」第9話(最終話) - 津田健次郎(ナレーション)

最後、穴の前にで立ち止まっていた岡本に対するナレーションです。
夢か現実かすらも曖昧な岡本の人生。
それが記されたノート。
ノートに記された8人の人生。
すべて、誰かの主観で語られたもの。
研ぎ澄まされ、朦朧とし、現実のような、夢のような。
そもそもこの物語すらも岡本の夢なのかもしれないとすらも思わされました。

***

全9話、視聴しました。

タイトルにもある「滅相もない」の意味は、「とんでもない」や「程度がはなはだしい」の意味。
相手に対して謙遜や強い否定を伝えたい時、例えば相手が言ったことに対して「そんなことはありません」「私はまだまだです」と伝えたい時に使われます。

語源としては、「滅相」は元々は仏教用語のひとつで、物事や生物の移り変わる姿を表した「四相」という考えの、生まれる「生」、存在する「住」、変化する「異」、(命が)なくなる「滅」、この4段階の最終段階が「滅相」だそうです。
「滅相」つまり「死」は、「あってはならないこと」「思いもよらないこと」。
そこから転じて、「思いがけない」「とんでもない」という意味になったそうです。

あってはならないとされるものと、穴。
静かに何かを問いかけられ考えさせるような、どこか岡本のように夢うつつな、そんな物語でした。




以上、ドラマ「滅相も無い」の名台詞集でした。

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