ドラマ【滅相も無い】名台詞集
2024年4月期 TBS火曜ドラマ「滅相も無い」より、心に残った台詞をまとめました。
*鑑賞時に書き起こした台詞を記録しているため、表記や文言は脚本と異なる場合があります。恐れ入りますがご了承いただけますようお願いいたします。
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●名台詞集
第1話
なんで信用する側の負担ばっかり大きいわけ?
幼い頃から""怒る"ということが分からない川端が、怒る練習を経て、何時間も遅刻をしたり、別の男と旅行に行ったり、そんな彼女に対して怒りを初めてぶつけた時の台詞です。
想いを伝えたところで話し合いにもならないような女を前に、川端が初めてぶつけた怒りの感情と言葉は、結局届かなかったと思われます。
それはまるで、相手のいないところに蹴ってしまったサッカーボールのように。
方向を誤って投げてしまった、誰も拾ってくれないキャッチボールのように。
第2話
誰でも死ぬんだって当たり前のことを罰以外で受け止めたくない
婚約者がいながら別の女性に想いを寄せた過去を語り、その罰として子供のことを受け止めていると話した菅谷の言葉です。
人の死は、罰でも、忌まわしいものでもない。
でもそう解釈しなければどうにも受け止められない。
さらっとした口調で語った菅谷から、どこか自分事として現実のものとして受け止めきれていない様子も伝わるシーンでした。
第3話
誰のために何やってるんだろう
図書館勤めから一転してCM制作会社のアシスタントになった松岡が、多忙すぎるスケジュールや業務内容、スタッフの言い争う様子を見るなどする現状から、転職を決意した時の言葉です。
環境は違えど、働いている中では、こんな風に思うことってありますよね。
第4話
どういう風に生まれたいか決めれるんだったら
イギリスで生まれ日本語を話せない状態で日本に帰国し小学校に入った青山。
言葉が喋れず、友達も出来ず、母親の言いなりでバレエを習い進学もしてきた。
これまでの過去を語った後、穴に入る直前に、青山が言い残した言葉です。
第5話
面白そうな嘘の方が広まっていく
穴のせいでぜんそくが広まったと噂され穴が批判されたものの、穴との関連性はなかったことが後にわかったという件について、小澤が言った言葉です。
SNSや世の中で広まるさまざまな憶測が、まさにそれです。
騒ぐだけ騒いで、本当のことには目が向けられない。
さりげなく冒頭に登場した台詞ですが、印象に残りました。
やり直しがきかないって、人生そうなってんだったら
司法試験に落ち続けて54歳になった渡邊が、自身の人生を振り返り吐いた本音です。
家族に無心しながら自由気ままにやっているように見えて、進めば進むほど、戻れないという事実に直面し、どうにも取り返しがつなかくなっていく。
込み上げる虚しさが感じられる台詞でした。
第6話
死んだら何も言えないくらい偉くなんのって話
仕事で不当な扱いをされた取引先の相手が亡くなり、葬儀に出席しないかと聞かれた際の、真吾の言葉です。
いなくなったから、許す。いなくなったら、終わり。
そこに感じる虚しさと理不尽さをたたきつけられる台詞でした。
第9話(最終話)
人は虚構しか共有出来ない
8人が語った人生を書き記し終えたノートを岡本から受け取った小澤の言葉です。
この物語で描かれてきた穴の捉え方にも通じる部分があるように思います。
すべては人の主観で解釈され、語られる。
その積み重ねが、人生であり、人であり、世の中であり、歴史である。
そこに主観しかないということは、とりこぼされた何かがあるはずで、だとしたら、事実や現実ですら、虚構に過ぎないのかもしれない。
考えさせられる余韻を含んだ終わり方でした。
自分が記録した人生の一部が自分の人生として語られるべきか
最後、穴の前にで立ち止まっていた岡本に対するナレーションです。
夢か現実かすらも曖昧な岡本の人生。
それが記されたノート。
ノートに記された8人の人生。
すべて、誰かの主観で語られたもの。
研ぎ澄まされ、朦朧とし、現実のような、夢のような。
そもそもこの物語すらも岡本の夢なのかもしれないとすらも思わされました。
***
全9話、視聴しました。
タイトルにもある「滅相もない」の意味は、「とんでもない」や「程度がはなはだしい」の意味。
相手に対して謙遜や強い否定を伝えたい時、例えば相手が言ったことに対して「そんなことはありません」「私はまだまだです」と伝えたい時に使われます。
語源としては、「滅相」は元々は仏教用語のひとつで、物事や生物の移り変わる姿を表した「四相」という考えの、生まれる「生」、存在する「住」、変化する「異」、(命が)なくなる「滅」、この4段階の最終段階が「滅相」だそうです。
「滅相」つまり「死」は、「あってはならないこと」「思いもよらないこと」。
そこから転じて、「思いがけない」「とんでもない」という意味になったそうです。
あってはならないとされるものと、穴。
静かに何かを問いかけられ考えさせるような、どこか岡本のように夢うつつな、そんな物語でした。
以上、ドラマ「滅相も無い」の名台詞集でした。