ドラマ【アンメット】が最高すぎて語りたい
今期30本以上視聴する中で、イチオシなのが「アンメット-ある脳外科医の日記-」。
第6話まで視聴してきましたが、第1話から面白い。ずっと面白い。
そして、まったく期待を裏切ることなくまたしても神回だった第6話。
ストーリーが良いのはもちろん、なんといってもキャストの皆さんのお芝居合戦がとても贅沢で、毎週1時間の放送が贅沢な映画を観ているかのような視聴感。
このドラマ、大好きだ!!と叫びたくなったので、想いをしたためる記事です。
公式サイトとキーヴィジュアル
作品の公式サイトはこちら。
トップのヴィジュアルと、添えられているサブタイトルがとても好きです。
「何も変わらない。今の君も、昔の君も。」という言葉と、穏やかでナチュラルなミヤビ先生の笑顔、片側が歪んでいくような記憶の崩れを暗示させる絵。
この作品の伝えたいことが詰まっているようなヴィジュアルで、とても印象的です。
▼公式サイト
あくまでも「ある脳外科医の日記」というスタイル
医療もので、記憶障害があって、その影にはなにやら陰謀がありそうで…。
といった要素はありつつも、あくまでもミヤビを中心に、ひとりの人間の毎日の日々を淡々と追いかけていくような構成のドラマ。
朝起きて、夜に眠る。
その1日の中で、ひとりの人間が向き合う"今日"を中心に、記憶障害というフックで過去を掘り起こしていく。
一歩進んでは、また忘れて、でも心に残っていて、また一歩進んで、立ち止まって。
一発大逆転!万事解決!大どんでん返し!みたいなことはまったく起こらない、そんな構成が、医者や障害者という特殊性を抱えながらも、"普通に"働いて、"普通に"暮らして、"普通に"迷って、そんな風に生きているあるひとりの人間の日々という親近感を抱かせる、とても見やすく共感のしやすい作品だと思います。
朝目覚めたら少し不安で、夜に家に帰宅したらちょっとほっとする。
まあまあいろいろあるけれど、今日もなんとか過ごせた。
そんな"普通の"毎日を覗いているような気持ちで、たくさん心が揺さぶられるのに、どこか安心するような、そんな作品で、とても魅力的です。
実力派俳優たちのお芝居合戦
杉咲花さんを中心に、"この人が出てたら間違いないで賞ランキング"(自分調べ)上位に並ぶ、そうそうたるメンバーの実力派キャスト陣。
このキャスティングで実現してくださった制作陣には大拍手ですよね。
原作の良さと、ドラマ化の難しさ、こだわり抜きたい想いと、つくりあげたい作品。
それらすべてをクリアして連続ドラマとして最高のかたちで見せてくれるための、神がかった最強布陣と思えてなりません。
登場人物たちの、声のボリュームの小ささ。照明が明るすぎない感じ。会話の内容や言葉の普通さ、最低限にとどめた説明台詞。
声も、音も、表情も、言葉も、演出も、大げさで過剰な要素がないのに、しっかりと各人物のキャラクターや感情、信念が伝わってくる。
こういうドラマって、ありそうでないし、本当に丁寧につくっていかなければ、そしてすべてのクリエイティブの力が伴わなければ、一歩間違えば退屈に映ってしまうかもしれません。
でも、伝えたいこととそれを伝える方法が、キャスト含めた制作陣の中で一貫して共有されていて、それをそれぞれの役割の方が任務を果たして傑作をつくりあげているような。
そんな職人技というか、静かなるメラメラと燃える情熱のようなものが、画面からヒシヒシと伝わってくる感じがして、とても見ごたえがあります。
声のボリュームがリアル
登場人物たちの声のボリューム感がとってもリアルで、それがこの作品の世界観を成立させているように思います。
ミヤビも、三瓶先生も、大迫教授も、綾野先生も、津幡師長も、ボソボソっとあまり過剰な抑揚もなく喋るイメージ。
一般的なテレビドラマだと、もっと声を張ったり緩急をつけたり、表情も豊かになりますが、本当の日常の中でだと、人って意外と声は張らないし、表情筋もそんなに動かないものですよね。
ましてや、職場で仕事をしている時なんて、表情筋も声量も必要最低限になるのがリアルな人間なのではないでしょうか。
だからこそ、非現実的な世界になりすぎないリアルさや生っぽさがあって、ちょっとした表情や声色から心を汲み取ろうとする余白が視聴者側にも生まれて、ほんの一瞬の笑顔や優しさにほっと心が温まる。
そんな風に見せてくれるためには、過剰な要素を削ぎ落した洗練されたお芝居を通して感情を表現するスキルが必要になりますが、そこに一切の違和感を感じさせない、あまりにもナチュラルなお芝居をされる実力派俳優さんたちが固めて、粛々と展開していく。
本当に見ごたえがあって、毎週贅沢な時間を過ごさせてもらっています。
直近第6話で爆発した若葉竜也×岡山天音タッグ
直近で今週放送された第6話。最高でしたよね。
何が最高かって、すべてなんですけど、中でも個人的には三瓶先生と綾野先生がミヤビを通じてタッグを組んだところが最高でした。
大好きなんです、若葉竜也さんも岡山天音さんも。
さきほど書いた、声のボリュームを押さえたお芝居の中でもビッシビッシに伝わってくるお芝居をする人ランキング(自分調べ)があったらまたしても上位なこのお二人。
大迫教授が隠していたミヤビの動画を二人で観た時のあのシーン。
過剰な言葉を交わすわけでもなく、頷き合うわけでもなく、それでも、ひとりの医者とひとりの医者が、医者であるという信念のもとに同じ想いを抱いた様子がちゃんと伝わってきて、しびれました。
これまでは、ミヤビちゃんを通じて少しコミカルなバチバチ合戦があった二人でしたが、恋だの愛だの立場だのを超えて、医者としての本質の部分でしっかりと手を組んだような。あのシーンは痺れました。
大迫教授が現れた時に、綾野先生もひるんだり言い訳をすることなく、しっかりと立ち上がったのが素敵でした。
この二人に限らず、出てくる人物、みんなちゃんと「医者」なんですよね。
不器用なところがあったり、立場なりのしたたかさや魂胆があったりもするけれど、圧倒的良い人も、圧倒的悪い人もいなくて、みんな医者。
会長とかはちょっとわかりませんが、大迫教授もきっといろいろあるけれど、現場で働く人たちはみんなちゃんと医者。
仲良くするとか気が合うとかそんなレベルではなくて、医者同士として、一緒に働いて、仕事をちゃんとしていく人たちという感じが、とても好きです。
役者さんのお芝居を観たいから、毎週ドラマを観たくなる。
本当に皆さん素晴らしくて、毎回「くーっ」と痺れる場面があって、大好きな作品です。
光と影を描く人間ドラマ
タイトルでもある「アンメット」。
"満たされない"という意味で、過去に三瓶が光と影の話をミヤビにするシーンが第6話にありましたが、まさにこの光と影が大切なテーマの一つであるように思います。
例えば記憶や過去は、光にも影にもなる。
記憶や過去を失うことや、今が大きく変わってしまうことは、自分が自分でなくなるようで、真っ暗闇に放り出されるようで怖い。
思い出せない記憶や過去は、得体が知れなくて、取り戻すのさえ怖い。
いざ掴めたら、あたたかい光が差すこともあれば、絶望に変わることもある。
例えば一人の人間にも、光と影のように、いろんな側面がある。
冷たいようで優しくて、笑っているようで怒っていて、医者だけど一人の人間で、強いようで弱かったり、弱いようで強かったり。
まったく影のない人間なんていなくて、影があることは悪いことでもなくて。
全部背負って生きていくということは、ひとりで生きていくということではなくて。
ミヤビを中心とした日々の表現で、そんなことを、伝えてくれる作品のように思います。
だから、なんだか観ていると、心がきゅっと掴まれながらも、ほっとしたり、安心する穏やかさなあたたかさがあるんですよね。
私は原作は拝見していないのですが、ストーリーも見事。
まずはドラマで、最後まで見届けたいと思います。