【silent】第6話 こまかすぎるあらすじ&感想
昨年2022年10月期に放送され、社会現象にもなったドラマ「silent」。
ドラマ大好きな私はもちろん当時も見ていましたし、何度も録画も見ましたし、シナリオブックも購入し、ついには円盤も購入してしまいました。
1年が経ち、Blu-rayでディレクターズカット版を観直しているのですが、本当に大好きな作品です。
当記事では「silent」第6話のあらすじ&感想を好きなだけ語っています(笑)
●「silent」概要
公式サイト
放送時期、キャスト、スタッフ
【放送時期】2022年10月期 フジテレビ 木曜22時
【キャスト】青羽紬役…川口春奈さん、佐倉想役…目黒蓮さん(SnowMan)、戸川湊斗役…鈴鹿央士さん、桃野奈々役…夏帆さん、佐倉律子役…篠原涼子さん 他
【脚本】生方美久さん
【プロデュース】村瀬健さん
【演出】風間太樹さん、高野舞さん
●「silent」第6話
6-1. 想の孤独
大学に進学した想。難聴が進行し、どんどん孤独になっていく想が淡々と描かれました。
周りの人間には、悪意はなくて。むしろ、聴者からしたら、耳が聞こえないくい想への配慮だった言葉や行動が、少しずつ少しずつ、想を傷つけ、殻に閉じ込めていく。
ひとつひとつ、変わっていく自分を思い知り、暗闇の中に包まれていくような想の表情がとても切ないシーンでした。
高校時代の想と比べると、話し方も抑揚がなく、表情も暗く、聞こえなくなっていく想の変化が見てとれます。
もともと高校時代も、「言葉」というタイトルで自身の考えを深く述べた作文を書いたり、一人で音楽を聴いていたり、想くんは、サッカー部で学校中のモテ男的なキラキラした側面もありつつ、少しクールで、影というか、一人の世界観を感じるような部分もありました。
耳が聞こえにくくなって以降は、影の印象です。その対比が物語にも緩急をつけますが、丁寧で繊細なお芝居で現在の想を演じている目黒くん、あらためて作品を見返すと、視線や手の動きなど、お芝居の細かさに気付かされ、感心しました。
そんなところに現れた奈々。真っ暗闇で孤立化しようとしていた想に、やわらかいひだまりのような光を差してくれた存在でした。
ぽつりぽつりと話し始める想が、少しずつ解放されて、"同じ"という言葉に安心する様子。難聴と診断されてから、こんな気持ちになれたのはきっと初めてだったのでしょう。話せる相手、話を聞いてくれる人がいることの安心感を強く感じるシーンでした。
筆談で紡がれる言葉は、伝えたいことがシンプルに大切に記されるようで、声での会話よりも、ぐっと心に沁みるものがあります。
奈々との出会いをきっかけに、手話を覚える気にもなったであろう想。
初めて想に光が差した、美しくあたたかいシーンでした。
6-2. 音声通話
これまでの奈々のシーンで、奈々の表情から、奈々が想のことを好きだという気持ちが伺えました。奈々は、最近想が再会した紬の存在が気になっている様子です。
一方想は、奈々に対しては恋愛感情はなさそうです。紬と再会し、前回第5話の最後のカフェで会うシーンの後、何度か二人で食事をするようになったのでしょうか。楽しそうにお好み焼きを食べる様子がほほえましかったです。
紬は、奈々の存在が気になる様子。
これまでは、紬・想・湊斗の三角関係が描かれていましたが、これから紬・想・奈々の関係が描かれていきます。
6-3. ありがとね湊斗くん
紬と別れた後も、湊斗と光は二人で会えるくらい仲がよくて微笑ましいです。兄弟みたいですね。
姉ちゃんとの3年間にあらためて感謝を伝える光。
3年前、紬が働きながらボロボロになり、湊斗とファミレスで会話をした頃ですね。光が上京してきたタイミングでもあり、家族のために紬は必死に働いていたんですね。
そんな紬のひだまりになった湊斗。ただいてくれただけで救いだったということを、この3年間は想がいない間の繋ぎなんかではなく、幸せじゃなかった時間なんかでもなく、紬にとって必要で大切な時間だったこと。光くんがちゃんと言葉にして湊斗に伝えたこのシーンもとても好きなシーンでした。
このシーンに限らずですが、1対1の関係に対して、第三者からの言葉がかけられることで、救われたり、気付いたりすることってありますよね。
この作品は、登場人物はすごく限られてていて、家族・友人・恋人くらいしか出てきませんが、人に日常って結構そんなもの。そういう身近な存在の人たちと会話を重ねて関係を築いていくことで、救われたり、気付かされることがある。その愛おしさが感じられます。
6-4. 好きな人
奈々の切なさが際立っていきますね…。
今まではきっと想にとっての友達は自分一人だったし、想が自ら交友関係を広げていこうとしていなかったから、想と奈々は二人の世界にいる感じだったんだろうな。
想が奈々のことを恋愛感情で好きと思っていないことを、奈々は気付いていたけれど、二人でいられたから、それでよかったのだと思います。
そこで、最近想の交友関係がまた広がっていき、奈々が知らない聞こえる世界での人間関係が再構築されていく。奈々が知らない思い出のある人たちと想の世界。奈々にとっては、また想と自分の間に線が引かれていくような思いですよね。奈々…。
奈々はいつも想の前だと明るくて朗らかですが、聴者と一緒に働きながら、ろう者として気を遣ったり気まずくなる思いも日常的にやっぱりしているんだなということも、ちょっとしたシーンから描かれました。
湊斗と想の焼肉のシーン。こうやって気まずくならないように一緒にごはんを食べたり関係を続けていく湊斗、どこまでも主成分優しさかよ(涙)
好きな人のことだと好きなところを言うって、良いですね。
しかも紬の好きなところ、「まっすぐ」。高校の時から今も変わらないね。
6-5. 好きな言葉をくれる人
来ました、また第三者の言葉。
「たとえ別れてもそれまでに楽しいことがたくさんあればいい」と言った湊斗のこ台詞が回収されました。
二人で電話したり、光がフォローしたりして、湊斗も今は、この3年紬がちゃんと自分を好きでいてくれたこと、幸せだったということを、心から受け入れることが出来たのかなと思います。
でも別れを選んだ二人。今はお互い納得して消化しようとしているようですが、なんかこういう風に、どちらかが悪いわけでも嫌いになったわけでも傷つけ合ったわけでもないのに、別れしか選べない二人って切ないですね。
そして紬。想との関係性でなく、想の好きなところを自然に答えましたね。
紬は前は想の声が好きと言っていました。声が聞こえなくなった今、「好きな言葉をくれる」という表現に変わった。声が聞こえない少しの寂しさと、変わらず好きな言葉をくれる存在であることの尊さを感じます。
6-6. CD
お父さん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(号泣)
律子は、想に対してはあまり口うるさくは言えないけれど、いつも想のことを心配していて、想が傷つかないようにと心配ばかりして、それを一緒に暮らす夫や萌はずっと見てきた。
律子の心配は過剰なようにも映りますが、息子を思う母親としては当然とも思えます。
想がどんな思いであんなに好きだったCDや音楽を遠ざけたか。どんな思い出サッカーを辞め友人と縁を切り、どんな思いで一人でいるか。
遠ざけたものは想を傷つけるものであり、同時に律子も傷つくものだから、目に入らないようにしたかった気持ちもわかります。
一度遠ざけた湊斗や紬との繋がりが再会した今も、また想が傷つくんじゃないかと、律子は心配なんですよね。
萌は、聞こえなくなった想を受け止めているけど、やっぱり聞こえていた頃のお兄ちゃんは忘れられなくて。なによりも、耳が聞こえなくなったことで、前のような明るさやキラキラした感じがなくなり、ふさぎ込むように変わってしまったお兄ちゃんの事が心配なんでしょう。だから萌は、また湊斗たちと再会して、笑うようになったお兄ちゃん、楽しそうになったお兄ちゃんを見て、嬉しかった。それがお兄ちゃんにとって良いことなら嬉しい。それなのに、お母さんはまた遠ざけようとする。
CDだって、お兄ちゃんがどんな思いで段ボールにしまいこんだのか。そして、どんな思いで捨てられずにいるのか。お母さんだってそのことはわかっているはずなのに、捨ててしまおうとする。咄嗟に守ってあげた萌ちゃんですが、その涙に、母に対する思いと兄に対する思い、悔しさや切なさや、いろんな思いが感じられました。
お父さんはあまり登場しないし口数も多くないけれど、静かに萌ちゃんの味方をしてくれてかっこよかったです。
お父さんのこういうところ、想くんも似てるんだろうな。
6-7. 大事な人
奈々の事、前回は友達と言っていた想が、「大事な人」と言いました。
ちゃんと向き合おうと思っているという想の言葉からは、奈々からの好意は断り紬と向き合おうとする意思が感じられます。
紬は、奈々の存在がやっぱりずっと気になっている。想が奈々の事を好きなのでは、という思いよりも、奈々といた方が幸せなのでは、という思いが紬にはあるような気がします。
湊斗と別れて、想と向き合うようになった紬ですが、自分から好きとも付き合いたいとも言っていない、まだ言うつもりもないんじゃないかな。
やはり空いてしまった期間は長くて、その間に起きた想の大きな変化を、自分はすべてわかっているわけではない。その間、ずっと想の隣にいたであろう、想の唯一の友達の奈々。想にとって奈々が大切な存在であることがわかるから、複雑な気持ちになっているのではないかなと思います。
しかしここのシーン、あんなイケメンな想くんをまっすぐ見つめる紬ちゃんすごい。笑
そしてまっすぐ見つめる紬ちゃんがエグいほど可愛い。
それをじっと見つめる想くんもエグいほど綺麗。
あらためて顔面偏差値が高すぎる二人。うっとりしました。
ありがとうございました。(何が)
6-8. 分かり合えない
好意に気付いて一緒にいた想くん、罪な男だよまったく…(ため息)
出会った時は、ろう者と聴者の間に線を引こうとしていたのは想でしたが、今は逆。想も、少し前だったらこんなこと言わないでしょう。紬と再会して、紬と向き合うことを決めた想は、一度自分で紬に対して引いた線を消そうという覚悟をした。紬と出会って一歩踏み出そうとしているのですね。
奈々は、想の気持ちが自分に向いていないことなんてわかっていた。だけどいざそれを言葉で告げられそうになって、思わず少し強い言葉を使って色々とぶつけてしまいましたが、自分の気持ちの焦りだけでなく、自分の過去の経験からも、想がきっと傷ついてしまう、きっと紬とはうまくいかないと思っているからこその言葉だったようにも思います。
文字に起こすととてもキツいいじわるな言い方をしているように感じてしまう奈々ですが、夏帆さんの表情やお芝居が素晴らしくて、奈々がただいじわるなだけじゃないことが画面からはビシビシと伝わってきます。
奈々が嫌われ役にならないのは、夏帆さんのお芝居の賜物ですよね。
奈々の想像のシーンの中の、想と奈々の二人、切ないなぁ。
奈々がいつもリュックなのは、手話をするため。生まれつき耳が聞こえない奈々だけれど、人間関係でも、仕事でも、恋愛でも、いろいろな経験や思いを重ねてきたであろう奈々。やはり、もし自分が聴者だったらという思いはいつもどこかにあって。想と二人、聴者だったら、同じ世界で幸せになれるのに、という願いが想像になったこのシーン。いつもは持てないハンドバッグを片手に、声で電話をして、信号が変わったらわき目もふらず会いたい人のもとへ駆けていく。二人同じ方向を向いて手を繋いで声で話しながら歩く。可愛くて苦しくてとても切なかった。はぁ。奈々ちゃん。
6-9. その夢は叶わない
奈々ちゃん…想の思いが自分には向いていないとわかっている奈々なので、紬をけん制しにいくというよりは、紬がどんな人なのか単純に知りたかっただけなような気がします。
一生懸命つたない手話で言葉を紡ぐ紬を見て、気持ちが溢れてきちゃったのでしょうか。
自分が夢に見る想の声を、紬は知ってる。紬はハンドバッグを持てて、手を繋いで歩ける。自分とは違う。今まで想と二人だった世界が崩れてしまい、想は自分とは違う世界に行ってしまう。想と自分は分かり合えない。どこまで行っても平行線な二人。それを噛みしめてしまったように見えました。そして次のシーンですよ…(涙)
何も言えない紬。そりゃ言えないですよねこんな場面で。
奈々の言葉からは、私たち聴者にとっての当たり前の日常が、もしかしたら誰かにとっては叶わない夢であり、夢にまで見る憧れなのかもしれないということに気付かされます。
紬も、自分が普通にしているだけで、自分の存在が誰かを傷つけてしまうのかもしれないと感じたのかもしれません。
人の気持ちをまっすぐに見つめる紬だから、奈々の言葉も、表情も、思いも、まっすぐに受け止めてしまって、言葉が出ない紬でした。
6-10. 奈々だけに伝わればいい
奈々ぁぁぁぁぁぁあぁ(号泣)
ていうか想!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
図書館での会話、もうそれは告白なんだよ想くん?????????
このシーンを見た時、「奈々にだけ伝わればいい」と言い放った想を見て「それは想くんが良くないわぁぁぁぁぁ」と泣きながら絶叫しました(笑)
想くんにとっては、奈々と出会って、耳が聞こえなくなってから少しずつ自分が変われて、まず手話を覚えるにあたり、唯一出来た友達の奈々と手話だけで会話出来るようになるということを目標にしたのでしょう。
シンプルな、なんの邪な気持ちもない気持ち。
手話で他に喋りたい相手もいないし、なんの気もない「奈々にだけ伝わればいい」でしたよね。
いやだから想くんそれはもう告白なんだ!!!!!!!!!!!!(笑)
オシャレすぎる告白!!!
そりゃもう「うん私だけと喋ろうね!!!!!!!!」てなりますわ。
嬉しそうに恥ずかしそうにする奈々ちゃんめちゃめちゃ可愛かったです。
そんなん好きになるよね。(真顔)
それなのに奈々の想いになんとなく気付きながらハッキリさせず一緒にいた想くん、ずるいぜ…
もし紬と再会しなかったら、奈々から告白したら付き合ってたのかなぁ(妄想)
もう、高校時代も自分のモテ具合に気付かなかった佐倉くんがここでも出ちゃってますよ。本当にもう。ほんと佐倉くんのそういうとこだよ(何)
奈々が想にプレゼントした手話。"同じ"から始まって、二人だけの静かな世界で、一緒に紡いできて、関係性も築いてきて、二人で通じ合って会話が出来るようになった。
なのに、自分が教えた手話を、今は紬が一生懸命覚えようとしている。ただでさえ、自分が知らない憧れた世界にいた想と紬の二人が、今度は言葉でもまた通じ合おうとしている。
今まで、想が紬や湊斗と再会した頃は、声での会話が出来ないことや手話が、想が別の世界を生きているという"違い"を表現するツールでしたが、今回は、奈々と想が"同じ"であることを表現する手話と、"違う"ことを表現するのがスマホや声。
対比のされ方が見事で、苦しすぎました。
こういうただ切ないシーンで終わるsilent、やばいですよね。
Blue-ray買ってよかったです。すぐ7話観よう(笑)