【silent】第4話 こまかすぎるあらすじ&感想
昨年2022年10月期に放送され、社会現象にもなったドラマ「silent」。
ドラマ大好きな私はもちろん当時も見ていましたし、何度も録画も見ましたし、シナリオブックも購入し、ついには円盤も購入してしまいました。
1年が経ち、Blu-rayでディレクターズカット版を観直しているのですが、本当に大好きな作品です。
当記事では「silent」第4話のあらすじ&感想を好きなだけ語っています(笑)
●「silent」概要
公式サイト
放送時期、キャスト、スタッフ
【放送時期】2022年10月期 フジテレビ 木曜22時
【キャスト】青羽紬役…川口春奈さん、佐倉想役…目黒蓮さん(SnowMan)、戸川湊斗役…鈴鹿央士さん、桃野奈々役…夏帆さん、佐倉律子役…篠原涼子さん 他
【脚本】生方美久さん
【プロデュース】村瀬健さん
【演出】風間太樹さん、高野舞さん
●「silent」第4話
4-1. 湊斗くんがよかった
前半の想と紬のシーン。
放課後に二人でこうしてよく会ってデートしていたんでしょうね。
早く帰ろうと促されて嫌がる紬が、佐倉くんともっと一緒にいたいという感情に溢れていて、とても可愛らしかったです。
それを可愛いなぁと思いながらもクールに帰ろうと促す想がイケメン彼氏でした。
母子家庭で、母親が遅くまで働いている環境だった紬の家。
小6とはいえまだまだ子どもな光を、紬は時に母親代わりのように面倒を見ていたのだと思います。
湊斗はご近所さんということもあり、紬とも仲が良いですし、"姉ちゃんの友達"として、光もよく湊斗に懐いていたのでしょう。
想と付き合うようになって、紬が想と放課後デートすることが増えたのかな。
お姉ちゃんの帰りが遅くて、連絡しても繋がらなくて、車に轢かれそうになって怖い思いもした。
そんな光くんにとって想は、"大好きなお姉ちゃんをとられた"という感情を抱く対象になったのだと思います。
お姉ちゃんに対してそんな思いを抱き、拗ねた様子の光を見て、想は咄嗟に、自分がお姉ちゃんを引き止めたと嘘をつきました。
想くんが、こんな風に周りの気持ちを汲み取ることが出来て、人のためであれば嘘もつく性格、そして、いろいろ吞み込んで"俺がかぶればいい"と黙って行動する性格であることの描写ですね。
湊斗は、そんな想の表情を見て、それが嘘だとすぐ気付きました。
紬は、申し訳なさそうにしながらも黙ってしまう。光には申し訳ないことをしたと思っているし、湊斗と想に対しても申し訳なさしかない。一方で、紬だってお姉ちゃんとはいえまだ高3で、やっと大好きな佐倉くんと付き合えた頃。なんで自分ばかり我慢しなければいけないのかという感情もあったと思います。
そこで優しくフォローにまわる湊斗。「姉ちゃんの彼氏は湊斗が良かった」なんて無邪気に言われても、寂しそうに笑って優しく光に接する湊斗でした。切ない。
光にとって想は、大人になったこの時点でも、"なんかちょっと嫌な人"という感じがしますよね。
きっと、光にとって想は、姉ちゃんと付き合い始めた頃に姉ちゃんを自分から奪った人。そして、その後一方的に姉ちゃんを振って傷つけた人。そして、今は姉ちゃんと湊斗の仲をかき回すかもしれない存在。
一方、光にとって湊斗は、いつも優しかったお兄ちゃんで、紬が想に振られて傷ついた時も、仕事でボロボロだった時も、姉ちゃんを支えてくれた人。
光にとって一番は、姉ちゃんが幸せであることですが、想に対する印象がどうしても今の時点ではこうだから、紬と再会して突然毎日の中に入ってきた想に対して、不安を抱いているのだということが分かります。
冒頭の何気ない回想シーンですが、とても重要なシーンでした。
4-2. 自分でちゃんと伝えた方がいい
光は、外に出た想が紬と湊斗と遭遇してしまうことを避けようとして引き止めたのでしょう。心の中には少し、紬と湊斗の関係が想のせいでこじれていってしまうことを危惧しているようにも感じられました。
湊斗と紬のシーン。「私が話したんじゃ意味ない。伝わんない。」の台詞は結構心に残りました。
想が難聴だから、手話が必要だから、ということではなく、相手が誰であろうと、本当に大切なことは自分の言葉で伝えなければ相手に届かない。
心を通じ合わせるためには、言葉や手段ではなく、心で向き合うことが必要だから。
今は、想と湊斗は、話すべきとき。
純粋に、親友だった佐倉くんと戸川くんに、またもとに戻ってほしいと願っていた紬からの、大切なメッセージでした。
4-3. ちゃんと話せば大丈夫
紬がお腹が減っていると機嫌が悪くなること、なんか食べるってことは元気だってこと、想も湊斗もわかっていて笑い合うところが、微笑ましいけれどちょっと切ないですね。紬の事、二人ともよく見て、よく知ってる。
紬は、想と湊斗に対して、あの二人なら大丈夫と信頼している。
自分は二人にとって確かに"今カノ"であり"元カノ"ですが、あの二人なら、それは別として、二人の友情はちゃんと話せば再構築できると確信しているのでしょう。
ただ、二人が友人として元の関係に戻れば戻るほど、紬は自分の立場のことも考えてしまうようになりますよね。今後の展開に注目です。
光くんは光くんで、小6の時以来、佐倉くんに対してやや否定的な雰囲気を出してしまっていることを少し悪く思っているのでしょう。
でも、光が湊斗派だといつも言いきってくれることってこの物語の中ではちょっとした救いですよね。
紬と想のラブストーリーが主軸になる中で、湊斗は三角関係の悲しみを全背負いする役回りだけれど、湊斗を応援した視聴者は多いはず。
はぁ。展開を知りながら見ても、やっぱり切ない。
4-4. "湊斗"
想が初めて声を出した相手が、紬ではなく湊斗だったのが、本当に素敵でした(号泣)
すきな人、大切な人の名前を呼ぶって、こんなにも愛おしいことなんだね。
声を出すのをずっと躊躇っていた想。「湊斗」と呼びかける前も、かなり迷って勇気を出そうとしていましたが、そうやってでも呼びたかったほど、湊斗はやっぱり想にとっては大切な友達で、自分をさらけだせる数少ない友人だったのでしょう。
なぜ耳の事を自分にすら話してくれなかったのかとか、一方的に振って紬のことを傷つけて、とか、いろいろな感情が想に対してあったけれど、すべてここで浄化されたような表情の湊斗。
"ただ名前を呼んでほしかっただけ"だった湊斗。過去がどうとかじゃなくて、今、こうやって再会出来た想と、ただ前みたいに話したかっただけだったんだよね。それが、声でも、手話でも、LINEでも、なんでもいい。手段なんてなんでもよかった。ただ話したかっただけだった。よかった。話せて。号泣。
湊斗が紬のことを想に話したのは、想が一方的に紬を傷つけて姿を消したことに対して抱いている後悔を、"紬は大丈夫だよ"とそばで紬を見てきた身として伝えてあげたかったんだろうな。
そこにプラスして、今は俺がいるってことを伝えたかったようにも思うけど、それはなんだかどこか自分自身に言い聞かせているような気もする。
このシーンでは単純に、紬は大丈夫だし、みんな、紬も俺もみんな、前と変わっていないからねということを想に伝えたかったのだろうと解釈しておきます。
最後の想くんの表情は複雑でしたね。"青羽のこと紬って呼ぶんだなぁ"って思っただろうし、"自分の知らない3年間があるんだなぁ" "紬はもう湊斗の物なんだよなぁ" いろんなことを思っていそうで切ない表情でした。
紬を振って消えたのは自分なんですけどね。(小声)
再会しないつもりだったから、再会してしまって、想も自分の中で封印していた気持ちが膨らみだしていることに気付き始めたんだろうな。
4-5. 変わってなくてよかった
紬と湊斗の間で少しぎこちなかった空気感が、ここでほどけた感じでほっこりするシーンでした。
冒頭の、東京湾に埋めたと言った湊斗にフリーズする紬と光が可愛かったです(笑)
湊斗はここで1回、想と再会して話せたことで、自分の中にあった"想と紬"の二人に対するモヤっとした思いが払しょくされたのでしょうか。
想とは友達としてまた元通りに。そして紬とは恋人としていつも通りに。
そうやって過ごしていけそうだと、心から思ったのかなと思います。
そんな湊斗を見て、紬もほっとした様子でよかったです。
光くんも、思ったよりこじれず、みんなそれぞれモヤっとしていたものを解消できた様子の3人を見て、嬉しかったんだと思います。
大切な姉ちゃんと、大好きな湊斗くんと、その二人の大切な人の佐倉くん。
この3人がまた仲良くなって姉ちゃんが笑ってる。嬉しかったね。
佐倉くんにビール1缶を渡す光くんの、ちょっと素直になれない感じが可愛くて。
想くんは、光が小6の時の出来事以降、自分はあまり光くんに好かれていないと思っていたから、ビールを1缶渡してくれた光くんを見送る目が、とても嬉しそうで優しくて、ほっとした気持ちが伝わってきました。
4-6. 始めちゃうと終わっちゃう
もう想くん完全に紬好きじゃんか。苦しそう。
はぁ…。想くんか湊斗かなんて、私、選べないよ…(お前じゃない)
"始めちゃうと終わっちゃう"の会話中、湊斗は何か思っているような、特に思っていないような、なんとも言えない穏やかな表情で淡々と話していました。
紬は、一瞬何かを感じ取った様子を見せつつも、別れないのが一番いいねと話して、二人は手を繋いで歩いていきました。
湊斗は、想と再会出来て、自分と紬との関係がこのまま続いていけると自信をもったのは事実だと思います。
でも、想と会ったり、こうして何かきっかけがある度に、少し揺らいでしまうところもあるんだろうな。
そんな簡単に人の気持ちって変われないし決まらない。そのリアルさが感じられます。
そもそも、付き合い始めたら別れる前提っていうのも、自己肯定感の低い湊斗すぎて…。
4-7. 友達
もう想くん完全に紬好きじゃんか。苦しそう。(また言う)
光は、湊斗の自己肯定感の低さもわかっていますから、想との仲がまた深まるほど、湊斗が自分から去ってしまうのではという予感が既にしているのかもしれないですね。
奈々と想の関係も、これからどう変化していくか注目です。
4-8. もとに戻れる
少し気恥ずかしさはまだあるものの、少しずつ以前のように想と笑い合えるようになってきた湊斗。
何も変わらない想の様子を知り、自分自身安心した湊斗は、素直な気持ちでまた他の友人達とも再会して想が仲良くできると確信しているのでしょう。
一方で想は、自分から関係を一方的に断ったこともあり、なかなか気まずい。
湊斗は、自分の事を「何も変わらない」と言ってくれるけれど、それは嬉しいけれど、やっぱり想にとっては、聴力を失ったという自分のこの確かな変化はあまりにも大きい出来事で。
変わってしまった自分で、何も変わらないみんなの前に再び現れること。
相手に気を遣わせるという心配ももちろんですが、その自分の変化の大きさを実感してしまうような気もして、怖さもあるのだと思います。
変わったことと、変わらないこと。その描かれ方も注目です。
4-9. 分かり合えない
春尾の考えも、同僚の方の言っていることも、わかりますね。
同じ言葉を話せる=相手を理解できるではない。
それが手話でも、日本語でも、英語でも、言葉はあくまでもコミュニケーションのツールであって、本質ではない。
ろう者と聴者を描くことで伝えたいテーマに紐づくシーンでした。
「silent」円盤を購入したので、想が高校時代に読み上げた「言葉」というタイトルの作文全文も私は読んだのですが、そこに書かれた内容にも繋がっていく大切なテーマだと思います。
4-10. お人好し
拓実の反応や言葉って、いつもとてもリアルですよね。
全然嫌なやつとかではなくて、想のことも湊斗のこともわかってるし想ってる。だからこそのリアルな反応が、物語に現実味を帯びさせるスパイスのようにいつもなっていますよね。
そして私が大好きな真子ちゃん。みんな湊斗のことよくわかってる。
佐倉くんと一緒にいすぎて自信ないのかなっていう言葉もリアル。
そりゃあんな完璧ボーイ佐倉くんと高校時代ずっと一緒にいましたからね。
人って自分が持っているものより、持っていないものの方がわかるから。
自己肯定感の低さゆえの優しさが魅力のひとつの湊斗だけど、もっと自信もってちゃんと紬のこと捕まえておいてほしいなぁ。湊斗頑張れ!!
あぁでも。頑張らなきゃいけない恋愛は、苦しいよねぇ…。
4-11. なんでそんなこと言うの?
み!な!と!!!!!!!
光くんってほんとに敏感ですよね。もう全部察してる。
そして拓実いいやつ。こういうとこ好き。(知り合いか)
今まで恋人の紬と出かける時に「借りる」なんて言わなかったであろう湊斗。紬が自分以外の誰かの物のような言い方に、ザワっとする光。
「光も手話覚えれば」の言葉に、確信する光。
光がこれから想と話すようになるだろうから、という湊斗の思いですよね。
え、湊斗くん…?
想と再会した後の湊斗は、1回ちゃんと、自分はこのまま紬と今まで通り付き合っていける、いこうと思ったはず。
でも、自分と紬が二人でいる様子を見つめる想の表情とか、いろんなことをきっかけに、その気持ちが揺らいだりしていたのはわかる。
この光と電話する時点では、もう別れようって決めていたのか…?
私は、まだ確信には至っていないけど迷っている状態かなと解釈しておきます。
迷っているけど、ほぼ決まりつつある。だから言葉の端々や表情の端々に、それが顔を出してしまうのかな。
はぁ…湊斗よ……。
紬の同窓会の話を、何とも言えない表情で聞いていた湊斗。
やっぱり、私たち、いやすみません、間違えました、紬や湊斗の青春には、佐倉くんがいて。佐倉くんっていう絶対的なピースが、8年の間失われていて、完成しないパズルみたいに、いつもずっとそれが欠けていた。
当たり前のように欠けているから、慣れたつもりになっていたけど、どうしたってそのパズルは完成しないままで。
そのピースが、やっとはまろうとしているっていう感覚かな。
湊斗も、そのピースをずっと待ってた。完成は、嬉しいこと。懐かしくて、嬉しくて、だけど、切ない。だって、完成する時、紬の横には想がいるべきだと、思ってしまうから。
はぁ…湊斗よ……。
4-12. 言葉っていらないもんなんだね
この想のみんなとの再会シーン、大好きです。涙涙涙。よかったねぇ。
男の子同士の部活感ならではというか。お互いちょっと気まずくて緊張していたけど、会えば一瞬で笑顔になれて、うぇーい!ってみんな受け入れ合えること。いいなぁ。
友人達だって、8年前に想に一方的に関係を断たれて、なんだアイツって傷ついたはず。想だって、傷つけたことがずっと苦しかったはず。
その時間や気持ちは、決してなかったことにはならないけど、それでも、それだけが関係性のすべてではないから。
高校時代なんてたった3年間だったけれど、その時間の中で築いた大切な関係や思い出がたくさんあるもんね。
一緒にいた時間のそういう思い出は、未来の自分たちを支えるものにもなる。素敵な関係性だな。
そしてこの再会を目撃した私たちの気持ちを、真子ちゃんが代弁してくれた気がして、とても好きなシーンでした。
想と再会して教師らしい顔を見せる古賀先生も、賑やかなみんなの様子を見て号泣する古賀先生も好き。
元担任教師として大きな気がかりだったであろう想が、元気そうにまた友人たちと関係を作れそうなこと、心から嬉しかっただろうな。
ただここで、想と紬を見つめる湊斗の表情が切なくて苦しかったですね。
もうここで、湊斗の気持ちは決まったのかなぁ。
なんだろう、ここで話している想と紬って、圧倒的お似合いカップル!って感じがすごくて。
誰が見てもお似合いな二人。そんな二人ってきっと、湊斗が高校時代にずっと見ていた二人の姿ですよね。
あぁ、やっぱりなんも変わんないな。想も紬も、変わらない。この二人は、やっぱり、二人でいるのが似合うな。
そんな風に実感してしまったのかな。湊斗よ……。
私には第3話の湊斗のモノローグ「すごく仲の良い友達と、すごく好きな人だったから、嬉しかった。すごく切なくて、ちょっとだけ嬉しかった。」が、聞こえてきてしまったよ…。湊斗よ……。
4-13. 別れてほしい
みーーーなーーーーーとーーーーーーーーーーーーーーーー(涙)
やっぱそうですね。ずっと揺れつつ固まりつつあった気持ちが、想と紬の2ショットを目の当たりにてもうほぼ固まり、想のことを語る紬の話を聞いて、決定的になり、迷いがなくなり、ここで伝えたんですね(涙)
紬が想を見ながら、淡々と語る姿。
紬は、湊斗よりは少し多く想と会っているから直接色々と話も聞いたのだと思います。
前と全然変わらない佐倉くん。でも、確かに大きな物を失って、大きく変わった佐倉くん。その変化を一人きりで受け入れて今に至っている彼が、今までどんな想いで過ごしてきたのか。それは、どんなに想像しても、自分には100%分からないし、分かったような気になってはいけない。
その変化をさらに思い知って傷つくかもしれなかったこのフットサルに、勇気を出してやってきた佐倉くん。友人と笑い合い、昔のように変わらないプレーをする佐倉くん。よかった。でも、聞こえていない佐倉くん。
紬は想が失ったもの、変わったところの大きさもちゃんと見つめていて、思いを馳せて寄り添おうとしていた。
それはきっと、佐倉くんのためにとか、だから私が何をしてあげるとかではなくて、今一緒にいる佐倉くんのことを、まっすぐに見つめていた紬だからこそ。
その話を聞く湊斗の表情には、紬が想のことを思うことに対する嫉妬心なんて1ミリもないような表情で。
湊斗は、想と再会してから、想の変わらないところを見つけて安心して、変わったところなんて耳が聞こえなくなっただけだからって、"あの頃と変わらない想"と、前みたいにこれからも仲良くしていけると心から嬉しくて安心した。そう思った湊斗は、どこも間違ってなんかない。
けれど、紬はそれだけじゃなくて、"あの頃の佐倉くん"ではなくて、"今の佐倉くん"をちゃんと見ている。
紬自身は、この時点では湊斗と別れる気なんてないし、好きなのは、湊斗。
でも、想のことを一番よく見てよくわかろうとしているのは、紬。
湊斗にとって、自分のすごく仲の良い友達のことを、一番わかっているのは、思っているのは、自分のすごく好きな人である、紬。
そして自分が好きな紬は、やっぱり、想の隣にいる紬。
二人は、やっぱり、前みたいに、一緒にいるのがいい。
二人が、前みたいに一緒にいてくれたら、嬉しい。
湊斗のそんな思いが、ここで固まったんだろうな。
別れるのは、「好きな人がいるから」。
湊斗は、紬が好きだから。
想の隣にいる、紬が好きだから。
湊斗…………………。
4-14. 呼んであげて、紬って。
湊斗は、先に想とこの会話をした後で、ひとつ前のベンチのシーンで紬に別れを伝えたんですね。
最初の何気ない笑いあっている自販機のシーンですが、コンポタって、いつもこうやって想がふざけて後ろからボタンを押して買ってたんだね。
そうやってひとつ余ったコンポタを湊斗がいつも紬にあげてたのか、同じようなことを想と紬が付き合っていた時に二人でやって笑い合っていたのか、わかんないけど、紬が好きな"コンポタ"には、想も関わっていたんですね。どんな思いでいつも紬にコンポタ渡してたのよ湊斗…(涙)
想に何も言わせず、一方的に紬を託した湊斗。
「紬と別れる」とは言葉に出せなかった湊斗ですが、ここで話した言葉が、湊斗の本音の全部なんだろうな。
紬はきっと湊斗が思う以上にちゃんと湊斗のことを好き。
だけど湊斗は、いつも自分に自信が無かった。高校の時も、紬と付き合い出してからも。
想と自分を比べたこともあったでしょうし、想は関係なく、紬に自分は釣り合わないと思ったこともあったでしょう。
だって湊斗が好きだった紬は、想のことを好きな紬だったんだよね。
想の隣にいる紬は、いつも楽しそうで、可愛かった。
自分と一緒にいる紬は、何かどこか違うように、どうしても思ってしまう。
自分が、どうしても、いつもどこかでそんな風に思ってしまって、苦しい。
湊斗は、自分を犠牲にして二人の幸せを優先するというような自己犠牲の意識すらもはやなかったんじゃないかな。
湊斗にとっては圧倒的に、どうしてもやっぱり、"俺じゃない"感がずっとあったんだよね。もうこれ以上紬の隣にいる自分が苦しかったんじゃないかな。湊斗のとても苦しくて切ない本音ですね。
たらればなんて言っても仕方ないけど、想と再会しなかったらどうだったのか。
紬とうまく長く付き合って、例えば結婚したりしても、湊斗はきっと、想の隣にいる紬の姿をいつもどこか頭の片隅において、想と再会しないか、自分はふさわしくないんじゃないかって、きっとずっと思ったんじゃないかな。
3年間、紬と一緒にいた時間は楽しかったけど、湊斗にとっては苦しみでもあったんだね。
紬のことは好きだけど、紬のそばにいる自分の事は、好きになれなかった。
そんな自分の隣にいる紬よりも、やっぱり想の隣にいる紬が、しっくりくる。その方が、自分は、苦しくない。
思い知っちゃったんだろうね。
わかるよ、わかるけど…苦しすぎる……………
湊斗……君の幸せはどこにあるの………
私が湊斗を幸せにしてあげ隊……。
第5話に続きます…。