春になったら
第10話 2024/3/18(月) 22:00~
今期のドラマの中で今のところ1番泣いているドラマ、「春になったら」。
第10話のレポートです。
※ネタバレがありますので気になる方はご注意ください。
目次
●「春になったら」第10話
10-1. 3ヶ月
1月1日、瞳が結婚を雅彦に報告し、雅彦が病気を瞳に報告した日。
あの日から、3ヶ月。このたった3ヶ月の間に、本当に色々ありました。
3ヶ月間の放送期間に合わせた時の経過を描いている物語なので、視聴者も一緒に瞳や雅彦の日常を見守ってきた感覚。
冒頭のシーン、「あの日からもう3ヶ月か」と、本当に一緒に生きてきたような感覚になりました。
最期が迫る雅彦に対して、矢萩夫妻の出産と新しい家族の始まり。
生と死、始まりと終わりが対比される描き方で今回も始まりました。
「この瞬間は今しかない」と伝えた瞳。
もともと助産師として命に携わっていた瞳ですが、雅彦とのこの3ヶ月を生きた瞳は、あらためて、日常のかけがえのなさや、後悔しないように生きることの尊さ、大切な人にちゃんと言葉で伝え、会える時に会っておくことの大切さを嚙みしめたのではないでしょうか。
妊婦やその家族にかける言葉の重みが、3ヶ月前とは異なっているように感じます。
この3ヶ月、助産師としての瞳も、大きな病院での挫折の経験から杉村助産院で再生し、自信と誇りを取り戻した大切な期間でしたね。
生きるって、働くことでもあり。
職種は違えど、誇りを持って働き抜いた雅彦と、覚悟新たに再スタートを切った瞳です。
帰宅後、いつもだったら今日のお産について、雅彦に報告し、雅彦がきっと「おつかれさま」と言ってくれたはず。
雅彦のいない静かな家に一人で帰宅した瞳。
"いつもの日常"の中に、お父さんだけがいない。
頭ではわかっていても、近づく足音に胸が張り裂けそうになる。
瞳の表情がとても切なく苦しそうでした。
10-2. 帰ろう
場所は病室でしたが、いつものように、「お疲れ様」と雅彦に言ってもらえた瞳。
嬉しそうで、安心したようで、娘の顔になっていましたね。
家に帰ろうと言った雅彦。
もう、終わりはすぐそこまで近づいているからこそ、最期を家で迎えたいという雅彦の想いを受け止めた瞳。
阿波野に退院を許可された時の瞳は、残り僅かな時間を父とあの家で過ごすことに、覚悟と喜びを抱いているような表情でした。
10-3. 葬式に呼ぶ人リスト
雅彦のようにリストを残してもらえると、残された側は連絡もとりやすくて助かりますよね。
親の交友関係や、親がどんな人生を歩んできたのかって、子どもはなかなかそのすべてを知らないものです。
何年も一緒にいたのに、やっぱり親子とはいえ、別々の人間で。
だからこそ、会話をしたり、お互いが生きているうちに言葉を交わして、その人をちゃんと知るということは、とても大切で。
雅彦の余命が僅かとなってから、一緒に過ごす時間の中で、瞳は今まで知らなかった雅彦の人生を少しずつ知っていきましたよね。
家族でも、知らないことってたくさんある。
時間は有限だから、いつまでも、永遠に、一緒にいられるわけではない。
だからこそ、話そう。
一緒に過ごす時間を、ちゃんと一緒に生きよう。
そんなこともひとつのテーマとして語りかけてくれる作品です。
10-4. 片想い
岸くんへの想いを断ち切ろうと踏み出していた美奈子ですが、色々な人と会ううちに、改めて岸くんの存在を実感してしまった様子。
美奈子の岸くんへの片想いは、再び自覚されました。
一方、岸くんは、くすぶらせていた瞳への想いにすっきりと整理をつけた様子。
一馬は、岸くんの瞳への想いはどこかでわかっていた様子ですが、まっすぐと伝えてくる岸くんの言葉をしっかりと聞いたところに、優しい一馬らしさが感じられました。
岸くんは、やっぱりいい子ですよね。
黙ったまま呑み込むことも出来た想いを、一馬に感情をぶつけたことを謝るために、ちゃんと話しました。
その表情はどこか清々しくて、もう完全に整理がついた様子。
片想いを再び自覚した美奈子と、終わらせた圭吾。
この2人のこれからも気になるところです。
10-5. 結婚式前日
いよいよ結婚式前日。
雅彦に内緒で何やら準備が進められている様子です。
油断していたら悲しみに染まってしまいそうな状況で、こんな風にハッピーな出来事が控えており、それに向けて夢中で準備が出来ること、そして一緒に協力してくれる大切な人たちがいること、そのかけがえのなさをあらためて感じますね。
二転三転四転五転…と何度も何度もプランを変更し、開催すら危ぶまれた結婚式も、ついに明日。
散々周りを振り回してきてしまった瞳ですが、結果こうして周りからのサポートを得られたのは、瞳の人柄と、真剣さ、必死さ、何よりお父さんへの想いの強さが、周りの心を打ったからですね。
それにしても龍之介、ナイスでしたね!
前回、何やらスマホをいじってニヤニヤしていた様子が気になっていましたが、さすが龍ちゃんです。
不器用な一馬と、気持ちだけは熱い瞳に、意外とクレバーで策士な龍之介。
このバズりをきっかけに、一馬のお笑い芸人としての勢いもますますついていきそうです。
なんやかんやカズマルを応援して心配していた雅彦も、このバズりが本当に嬉しそうで、目が潤んでいました。
自分が生きているうちに、カズマルが軌道に乗っていきそうな気配を少しでも感じられたことは、雅彦にとっても本当に嬉しかったはずです。
やっぱり人は、覚悟を決めると、強いのかもしれませんね。
強い気持ちが、チャンスを引き寄せるのかもしれません。
あと少し。明日まで、どうか雅彦の体調も、雅彦とみんなの想いの強さで、少しでも良い状態で明日を迎えられますように。
10-6. 瞳
「瞳」という名前に込めた願い。
第1話は、佳乃が瞳を出産した時の映像から始まりました。
あの日から、雅彦と佳乃と瞳の家族の物語は始まって、ぱっと目を開けた瞳に願いを込めて名前を送って、それからずっと、瞳はこの家で、雅彦に育てられてきました。
雅彦はずっと、佳乃がいなくなってからはきっと特に、どうか瞳があの日願いを込めたように育つように、そして、幸せに羽ばたく日がくるようにと、父親として願いながら瞳を見守ってきたのでしょう。
瞳はずっと、めいっぱい愛されて、育ってきたんですね。
結婚式の前日に、こんな風に親子二人で語り合って、泣き合って、笑い合える時間がもてて、雅彦がこの家に戻り、こんな夜を過ごせて本当によかったです。
「いつか話そう」と思いながらもちゃんとまっすぐには話せていなかった名前の由来。
きっと雅彦の中で、病気になってから、自分が自分の言葉で話せるうちに瞳に伝えたいことをいくつも準備して伝えてきたはずで、この名前の由来についても、ちゃんと言葉で瞳に伝えたかったのでしょう。
自分がいなくなって、佳乃もいなくて、親として娘に伝えたいことを、ちゃんと言葉で伝えたい。
それがこの時間に叶って、よかったです。
「明日読み上げよう」と思いながら何枚もの便箋にしたためた父への感謝。
涙で読みきれなかった瞳ですが、どんな言葉よりも、ちゃんと向かい合って雅彦と交わした少ない言葉で、その想いは伝わったはずです。
ちゃんと伝えるということ。
今回はその尊さが特に強く描かれました。
明日はいよいよ結婚式。
そして、次回はいよいよ最終回。
ただ幸せな旅立ちの日になりますようにと願うのみです。