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ドラマ【虎に翼】名台詞集 (14週~)

2024年NHK朝ドラ「虎に翼」より、心に残った台詞をまとめました。

*鑑賞時に書き起こした台詞を記録しているため、表記や文言は脚本と異なる場合があります。恐れ入りますがご了承いただけますようお願いいたします。


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▼第1週~第13週はこちら

第14週

理想は掲げ続けなきゃただのゴミくず

「現実って何ですか?理想は掲げ続けなきゃただのゴミくずですよ。」

虎に翼 第14週(67) - 佐田寅子

現実を見ろ、綺麗事だと、掲げる理想に対して散々の言われようだった状況で、寅子が怒りながら言った言葉です。


うまくいかなくて腹が立っても意味はあります

-佐田寅子「民法だけじゃない。新しくて理想的なことを行うためには、相当の工夫や努力と日時を要するもの。学生時代から心底わかっているはずなのに、うまくいかないと腹が立つ。ごめんなさい、愚痴です。忘れて。」
-星航一「悩む意味あります?言ってたでしょう、その時の自分にしか出来ない役目があるかもしれないって。だから、うまくいかなくて腹が立っても、意味はあります。必ず。」

虎に翼 第14週(68) - 星航一

本の改稿作業を終えた寅子と星の会話です。
この星の一言が、寅子をもう一度立ち上がらせました。


おかしいと声をあげた人の声は決して消えない

-猪爪直治「二人なんて、それっぽちじゃなんも変わらないよ。」
-佐田寅子「ううん。そうとは限らない。判例は残る。たとえ二人でも、判決が覆らなくても、おかしいと声をあげた人の声は決して消えない。その声が、いつか誰かの力になる日がきっとくる。私の声だって、みんなの声だって、決して消えることはないわ。何度落ち込んで腹が立ったって、私も声をあげる役目を果たし続けなきゃね。」

虎に翼 第14週(68) - 佐田寅子

とある事件の判決を巡り家族で話し合っていた際の寅子の言葉です。
寅子も、何年も声を上げ続け、くいしばってきました。
この話をした後、寅子は娘・優未の寝顔を見つめます。
もしも今、自分が報われなかったとしても、あげ続ける声はきっと、未来のためになる。
そう信じ直して、もう一度立ち上がります。


心から誇りに思う。それを伝えたかった。

「すまなかったね佐田くん。私は古い人間だ。理想を口にしながら、現実では既存の考えから抜け出すことが出来なかった。だが君は違う。君は既存の考えから飛び出して、人々を救うことが出来る人間だ。心から誇りに思う。それを伝えたかった。」

虎に翼 第14週(70) - 穂高重親

寅子と悔いを残したまま別れそうになった時、穂高が自ら寅子の元へやってきて、寅子に言った言葉です。
寅子を叱るとか、許すとか、そういった話ではなく、ただ君のことを誇りに思っているということを伝えたかった。
人として、とても素敵だと思いました。
これを受け、寅子も、穂高の教え子であることを誇りに思っていると伝えます。

君もいつかは古くなる

「よかった。最後に笑ってすっきりした顔でお別れ出来そうで。佐田くん。気を抜くな。君もいつかは古くなる。常に自分を疑い続け、時代の先を歩み、立派なでがらしになってくれたまえ。」

虎に翼 第14週(70) - 穂高重親

寅子たち次世代にバトンを託す穂高が、寅子にかけた言葉です。
時代は変わり、自分も老いる。
その中で、常に未来を見据えて、未来のための仕事をする。
穂高の言う通り、自分自身を疑い向き合い続けなければ、成し遂げられることではありませんね。

頼る大人は親である必要はない

「栄二くんが頼る大人は、親である必要はないの。」

虎に翼 第14週(70) - 佐田寅子

両親が互いに親権を押し付け合う中で、優しくしてくれた大人は浮かぶかと寅子に聞かれた栄二は、父親の姉の名をあげました。
その後、栄二は父親の姉のもとで暮らすことが出来るようになりました。
本当は、親に頼ることが出来るのが一番よい。
でもそれが叶わなかった時、親子だからとそばにいなければならない苦しみを、子どもだけが背負う必要はない。
最後、栄二が家裁を去る時に初めて見せた笑顔に、ほっとするシーンでした。

道徳は道徳、法は法である

「この度の判決は、道徳の名のもとに、国民が皆平等であることを否定していると言わざるを得ない。法で道徳を規定するなど許せば、憲法14条は壊れてしまう。道徳は道徳、法は法である。」

虎に翼 第14週(70) - 穂高重親

尊属殺に対する穂高の意見です。
道徳は道徳、法は法。
結局この時には穂高の意とは異なる判決になりましたが、穂高があげた声は、寅子たちには確かに聞こえ、響いている。
そして、その先の未来に繋がります。


第15週

適正は個々の特性で決められるべきで男女は関係ない

「はて。家庭裁判所の裁判官の適正は、個々の特性で決められるべきで、男女は関係ないのではないでしょうか。長官の発言は、今家裁で頑張って働く男性裁判官への配慮にも欠けますし、家裁は女の場所といった思考は、いずれ必ず間違った偏見を生みます。私は、真の女性の社会進出とは、女性用の特別枠があてがわれることではなく、男女平等に同じ機会を与えられることだと思います。」

虎に翼 第15週(72) - 佐田寅子

ラジオに出演をした際、「家裁は女性が輝ける場所」「家裁は女性裁判官にふさわしい」と長官に言われた寅子の言葉です。

職員一人の異動で痛手を負うような組織形態

「お言葉ですが、問題は職員一人の異動で痛手を負うような組織形態かと。」

虎に翼 第15週(72) - 桂場等一郎

寅子の新潟への異動が決まり、困ると騒ぐ多岐川に対して、桂場が言った言葉です。
今の世の組織形態にも、当てはまる部分がありますね。

家族に目を向けられないくらいまで頑張ってくれなんて私頼んでない

-佐田寅子「何を怒ってるの?言いたいことがあるなら言ってよ。」
-猪爪花江「言ったって仕方がないでしょう。そう思わせてきたのは寅ちゃんよ。この家の主は寅ちゃんなんだから。」
-佐田寅子「何?その言い方。」
-猪爪直明「ちょっと二人とも、落ち着こう、子どもたちも起きちゃうし。」
-佐田寅子「だってひどいじゃない。こっちは家族のために毎日必死に休まず働いてるのに。」
-猪爪花江「そういう態度よ。そんな風に家族に目を向けられないくらいまで頑張ってくれなんて、私頼んでない。優未はあなたに甘えたくても、必死に我慢していい子を頑張ってる。あなたに喜んでもらおうといい子なふりをしてる。わかる?寅ちゃんが見てるのはね、本当の優未じゃないの。」

虎に翼 第15週(72) - 佐田寅子

新潟へ優未を連れて行くと言った寅子に、花江が感情的になりながらぶつけた言葉です。
今の状況で、寅子が働きながら優未と二人きりで暮らすのは、不可能に近い。
現実に気付かぬまま進んで行こうとした寅子に、ずっとこらえていた花江が、優未のために感情を溢れさせた瞬間でした。


些細な「ん?」みたいなズレは受け流さなきゃって

-佐田寅子「私の何がダメだったのかしら。」
-猪爪直明「ダメではなかったけど、本当に些細な「ん?」みたいなズレは結構あったかな。でもお姉ちゃんいつも頑張ってるから、応援したいし支えたい。だから、些細な「ん?」みたいなズレは受け流さなきゃって、僕もみんなも思っちゃって。それで気付いた時にはもうとんでもない、おかしなことになってた。」

虎に翼 第15週(73) - 猪爪直明

優未のことで花江と寅子がぶつかった後、寅子のもとへやってきた直明の言葉です。
家族だからこそ、寅子のことを知っているからこそ、みんな言えなかった。
この直明の台詞にあるようなことって、結構日常生活の中にありますよね。
円滑に過ごすために、飲み込んでしまうこと。
それが結果的に、溝を深めて、取返しのつかないことになってしまう時がある。
その前に、繋ぎ直せますように。

手のかからないおりこうさんを求めてなかった?

-猪爪直明「1年前くらいかな。優未が算数で31点を取ってきたことがあって。でも実は31点を84点に偽装してお姉ちゃんに見せた。でもお姉ちゃんは優未に、間違えた部分を復習して次は100点だって言ったんだ。ちょっと解答用紙を見れば偽装だってすぐわかることなのに。あ、もちろん、テストの点数をごまかすのは悪い。でも優未は、お姉ちゃんの顔色を窺って、ズルしてでもいい子のふりをしてる。それをお姉ちゃんも求めて来た。」
-佐田寅子「私、そんなつもりはまったく…」
-猪爪直明「本当に心からそう言える?手のかからないおりこうさんを求めてなかった?僕はいつも仕事で理想に燃えるお姉ちゃんが好きだよ。でも、いやだからこそ、やっぱり新潟にはお姉ちゃん一人で行くべきだ。」

虎に翼 第15週(73) - 猪爪直明

優未のことを寅子に伝えた直明。
今事実を伝えなければ、寅子と優未がダメになる。
そう思っての優しさとしての直明の言葉が、寅子を刺したシーンでした。


君はもう昔の弱い者じゃない

-桂場等一郎「腹立たしいが君は有能だ。そして俺たちに好かれてしまっている。それが問題なんだ。キャリアを重ね、俺たちという後ろ盾がある君は、もう昔の弱い者じゃない。もう君の「はて?」は、非常に重い。周りを動かす力がある。」
-佐田寅子「それは、悪いことでしょうか。」
-桂場等一郎「悪くはない。だが今のままでは、君の土台はいずれ崩れる。君は裁判官として正しく成長する道筋を飛び越え、一躍時の人となってしまった。それに甘んじている君に、家裁は、いやどんな役職も任せられん。だから地盤をつくるんだ。」

虎に翼 第15週(74) - 桂場等一郎

新潟への異動は天狗になっていた自分の鼻をへし折るために考えてくれたことだろうと言った寅子に対して、違うと言った桂場の台詞です。
こんな風に人の成長を見守り、考えてくれる人がそばにいること、恵まれていることだと思います。
そしてそういう人との出会いを引き寄せたのは、寅子自身。
寅子が苦労して、這いつくばりながらも、懸命に歩んできたからこそ、こんな風に寅子のキャリアを一緒に考え機会を与えてくれる人や職場に巡り合えたのでしょう。

それはお前、とびきりの愛じゃないか

「おい。桂場。それはお前、とびきりの愛じゃないか。ああ。どうすりゃいいんだ。家裁の問題は山積みだ。俺の理想には佐田くんが不可欠だ。そういうことだ。快く旅立ちを見送るしかないじゃないか。」

虎に翼 第15週(74) - 多岐川幸四郎

桂場の話を聞いていた多岐川の台詞です。
もう本当に、とびきりの愛でしかない。
寅子は本当に苦労してきたけれど、必死に歩みを進めてきた一歩一歩を、女だからとこ男だからとかそういうフィルターを外して、シンプルに認めてくれる人たちがいる。
仕事も家庭も、打ちひしがれてしまった寅子ですが、こうした愛をしっかりと受け止めて、新潟へと向かいます。

俺は君が去るのが寂しい

「寂しいぞ。頭じゃわかっているが、俺は君が去るのが寂しい。寂しくて寂しくて仕方ないんだ。」

虎に翼 第15週(75) - 多岐川幸四郎

寅子の異動にあたり壮行会をした時、庭で水をかぶりながら、多岐川が泣きながら寅子に言った言葉です。
本当に、愛に溢れた人です。


第16週

知るのと受け入れるのは違う

-星航一「思い出に出来るほど、お兄さんの死を受け入れられていなかったんでしょうね。」
-杉田次郎「もう何年も前に戦死の知らせは届いてるわけですから。」
-星航一「知るのと受け入れるのは違う。事実に蓋をしなければ生きていけない人もいます。」
-佐田寅子「だから、語りたくないし、語られたくない。」
-杉田次郎「うん、わからなくはないが、皆戦争で誰かしら大事な人を亡くしてるわけですからね。いい大人ですし、そこは乗り越えていかないと。」
-星航一「なるほど。そう言われるとわかっているから、彼が乗り越えたフリをするしかなかったんでしょうね。」

虎に翼 第16週(79) - 星航一

戦争で家族を亡くした高瀬雄三郎について、星が言った言葉です。
娘の優未に亡くなった優三の話を未だに出来ずにいる寅子は、星の言葉が自分自身に重なりました。

意思で物事を受け流すのと、受け流さざるを得ないのは違う

「この仕事をしている以上、どんなにひどいことを言われても手を出してはだめ。ひどい相手と同じ次元に落ちて仕返しをしてはだめ。だから、然るべき処分を受けるべきだと思った。穏便に済ませたりして、ああいう人たちに借りなんてつくってほしくないから。あなたを確実に傷つけて、心に出来たかさぶたをことあるごとに悪気なく剥がしていくような人たちに。彼らにずっとへえこらしてほしくない。自分の意思で物事を受け流すのと、受け流さざるを得ないのは違うから。私がいなくなった後も、この件にあなたが縛られないように。したいように出来るように。怒りたい時に怒ることが出来るように。そう思って処分しました。」

虎に翼 第16週(80) - 佐田寅子

トラブルを起こした高瀬について、処分なしで穏便に済ませようとする周囲の声を押し切って、高瀬のために、処分をすることを決めた寅子。
考えを言葉にしてほしいと高瀬に言われた寅子が言った言葉です。
高瀬にも、そして視聴者にも、響いた言葉でした。

第18週

煙を上げたのは誰なのかを見極める

「差別が生まれる理由は様々です。火の無いところに煙は立たずで終わらせるのか、それとも、その煙を上げたのは誰なのかを見極めるのか。」

虎に翼 第18週(87) - 星航一

朝鮮人が容疑者として逮捕された放火事件の裁判を担当した今週、差別について、航一が言った言葉です。

責任が微塵もないなんて、自分は従ったまでなんて、どうしても僕は言えない

「もちろん、僕一人で何が出来たかなんてたかが知れてる。でも、佐田さんや杉田弁護士のように、大事な人を失った人間が大勢いる。妻も、照子も、満足な治療を受けられず死んでいった。その責任が微塵もないなんて、自分は従ったまでなんて、どうしても僕は言えない。その罪を、僕は誰からも裁かれることなく生きている。僕はそんな自分という人間を何も信じていない。そんな人間が何かを変えられるとも思わない。だから謝るしか出来ないんです。」

虎に翼 第18週(90) - 星航一

かつて総力戦研究所にいた星は、机上シミュレーションで敗戦の結果が出ながらも戦争が続行され、シミュレーション通りに敗戦したことについて、その罪悪感を一人きりで抱えていました。
そんな星が、寅子たちの前で初めてそのことを打ち明けた時の台詞です。
星のせいではない。彼だけが背負うべき罪悪感ではない。
そんなことは本人も頭ではわかっていても、自分は無関係だなんて割り切れない。
抱えていたあまりに大きすぎるものが、ただただ苦しく響くシーンでした。

僕自身は信じられなくても法律は信じられるから

「子どもを育てきるために裁判官の務めを果たします。僕自身は信じられなくても、法律は信じられるから。」

虎に翼 第18週(90) - 星航一

自分は信じられなくても、法律は信じられる。
星がどんな思いで裁判官として生きているのか、背負うものの重さが感じられる台詞です。


第19週

その人を前にして胸が高鳴って仕方ないのなら

「トラちゃん。もしトラちゃんの元に帰ることが出来なかったら、そう思ってこの手紙をしたためています。僕の望みは前に話したけれど、もう一つだけ望みを増やしてもいいですか。弱音を吐くことが出来る人、正しくないトラちゃんも好きでいてくれる人を見つけてください。出来れば心から恋して、愛する人を見つけてください。でも、見た目とか甘い言葉を囁く相手に騙されちゃいけない。トラちゃんと優未をスンとさせる相手はだめ。トラちゃんと優未を縛る相手はダメ。トラちゃんと優未の笑顔を奪う相手はだめ。トラちゃんを心底愛せない相手はダメだ。でも、その人を前にして胸が高鳴って仕方ないのなら、その人が好きなら、今書いたことも、僕も、全て忘れて、その人の元に飛んでいってほしい。トラちゃん、自分を信じて。そんなトラちゃんを僕は信じる。優未もお母さんを信じて。優未のことをずっと見守っているよ。二人のことを、誰よりも何よりも、一番愛しています。」

虎に翼 第19週(94) - 佐田優三

戦死して寅子の元へ帰ることが叶わなかった優三が、寅子に向けて残していた手紙です。
航一の存在が気になりながらも様々な思いから気付かぬふりをしていた寅子。
自分に素直に自由でいてほしいと願った優未が寅子に伝えたこの手紙が、寅子の背中を押しました。

二人の人生の責任はとれません

「何を言っても二人の人生の責任はとれません。何を言っても無責任になるわ。だから、好きにしなさい。私は二人が選んだ決断を応援します。」

虎に翼 第19週(94) - 佐田寅子

友情結婚というかたちで籍だけを入れようとした職場の後輩に対して寅子がかけた言葉です。
自分たちでよく考えて、自分たちで決断をしなさい。
その決断を、肯定して応援する。
自分自身の優三との結婚の経緯も踏まえた寅子が、考えた末に二人に送ったエールです。

不真面目でだらしがない愛

-星航一「僕は優三さんの代わりになるつもりはありません。あなたを照子の代わりにもしない。お互いに、ずっと彼らを愛し続けていい。数か月後、来年はわからないけれど、今どきどきする気持ちを大事にしたってバチは当たらないんじゃないですか?永遠の愛を誓う必要なんてないんですから。なりたい自分とかけ離れた、不真面目でだらしがない愛だとしても、僕は、佐田さんと線からはみ出で、蓋を外して、溝を埋めたい。」
-佐田寅子「永遠を誓わない、だらしがない愛。なるほど。私たちが欲する最適なものかと。」

虎に翼 第19週(95) - 星航一

航一と寅子がお互いへの想いに素直になった時の会話です。
こんな愛のかたち、こんな愛の告白があるのかと、印象的でした。
永遠を誓わない、だらしがない愛。
不誠実ということではない、心のままの愛。
航一と寅子らしい、二人のかたちです。


第20週

自分を曲げず、何も変えず、よねさんのままで

「よねさん、おめでとう。とうとうなったのね、弁護士に。自分を曲げず、何も変えず、よねさんのままで。すごいわ。」

虎に翼 第20週(97) - 佐田寅子

司法試験に合格し、とうとう弁護士になったよね。
時間はかかったけれど、よねはよねのままで、自分のままで、夢を叶えました。
それがなにより嬉しい寅子でした。

明らかな国際法違反だ

「原爆投下は、通常の戦争行為を逸脱し無差別に民間人を犠牲にした行為で、明らかな国際法違反だ。それゆえに、アメリカは被爆者の方々に対して損害を賠償する責任があるということを訴えたい。」

虎に翼 第20週(98) - 岩居

広島と長崎に落とされた原子爆弾の被害者が日本政府に賠償を求める裁判で、原告代理人を務める雲野。
轟とよねに協力を依頼した際に、岩居と4人で話をした際の言葉です。


戦勝国であるが故に問いただすことが出来ない

「多くの民間人が犠牲となった国際法違反といえる行為の責任を、戦勝国であるが故に問いただすことが出来ないというのは、あまりにも不公平だろう。」

虎に翼 第20週(98) - 雲野六郎

日本はアメリカと締結した平和条約により、アメリカに賠償を求める権利を放棄している。
そのため原爆を投下したアメリカに対して訴訟は起こせないけれど、その権利を放棄した日本国に対して、声をあげる。
雲野の、そして被爆者の、民間人の、強い意思による訴訟が動き出します。


戦勝国であるが故に問いただすことが出来ない

「忘れ去られることがないように、同じ過ちを繰り返さぬように、誰かが声を上げねばならん。」

虎に翼 第20週(98) - 雲野六郎

日本国を相手とする訴訟を起こす雲野の覚悟です。


お母さんの当然の権利だよ

-猪爪花江「そうなのよね。結局私は誰かに世話をしてもらうしかないのよね。当然のように直人と直治に老後の世話をあてにするみたいなのは、なんだか良くない気がして。」
-猪爪直人「何言ってんだよ。言ってたろ、お母さんの一番の幸せは、ほっと一息ついたときに楽しそうなみんなを眺めることだって。あてとかじゃない。これまでたくさん世話してきてくれたお母さんの当然の権利だよ。俺ら、お母さんに幸せでいてほしいだけだよ。」

虎に翼 第20週(99) - 猪爪直人

猪爪家の家族会議での会話です。
親代わりの花江に親孝行をしていきたいと話す直明に対して、直人と直治は、出征前に父親に言われたことを守り、お母さんを支えるのは自分たちだと言いました。
世話になることすら躊躇う花江に対して、直人が言った言葉です。
世話になるんじゃない。あてとかじゃない。母さんの当然の権利だし、母さんに幸せでいてほしいから支えるだけだ。
まっすぐな思いが、花江に届きます。


第21週

今振り返ってみれば

「人間なんてそんなもんだ。「今振り返ってみれば」の連続。過ぎてからわかることばかりだ。」

虎に翼 第21週(102) - 轟太一

自分の過去の至らなさを反省する寅子に、轟がかけた言葉です。
轟も、「今振り返ってみれば」の連続でした。
自分のことも、花岡のことも。
そして轟は、いつか人生を振り返った時に、心から幸せだったと言いたいと、そう言いました。

要望は認められんが今のは君の言う通りだ

-桂場等一郎「なぜそんなくだらんことにこだわるんだ。」
-佐田寅子「なぜこだわる?はて。桂場さんにもこだわられるものがありますよね。司法の独立、裁判官の資質、餡子の味。どうしてもこだわりたいことが、人にはそれぞれあるんです。私のこだわりをくだらないと断じられる筋合いはありません。」
-桂場等一郎「失言だった。要望は認められんが、今のは君の言う通りだ。」

虎に翼 第21週(103) - 桂場等一郎

結婚して星姓になっても、仕事上は佐田姓を名乗ることが出来ないか。
寅子のその要望は叶いませんでしたが、ここでの寅子の言葉を受けて、すかさず「失言だった」と訂正した桂場。
桂場さんらしい、印象的な言葉でした。
要望を受け入れられないことと、相手の主張を認めないこととは、違いますよね。

第22週

弱そうな相手を選んでないか?

-学生「どうして働きたいの?自分から辛い思いをしにいってるってこと?女は働かなくてもいいんだ。そっちの方が得だろ?」
-小橋「わかる。別に勉強しなくていいなら、働かなくていいなら、頑張りたくないよな。そっち選びたいよな。今日も来たくて来たんじゃないんだよな。親に無理やり行けって言われたか。先生や周りが構ったり優しくするのは、優等生か、こいつみたいな不良で、中途半端な俺たちはいないも同然。出来る男と比べられるのも嫌なのに、さらに出来る女とも比べられる。頑張らなくてもいいのに頑張る女たちに無性に腹が立つ。そう。わかる。わかるよ。そんでお前が想像している通り、その苦しさはずっと続くし、お前はこの先の人生、ずっと出来るやつらと比べられ続ける。平等ってのはさ、俺たちみたいなやつにとって、確かに損なところもたくさんある。でもその苛立ちを向ける時、お前弱そうな相手を選んでないか?この先どんな仕事をしてどんな人生を送ろうと、弱そうな相手に怒りを向けるのは何も得が無い。お前自身が、平等な社会を拒む邪魔者になるの嫌だろ?ま、一番になれなくてもさ、お前のことをきちんと見てくれる人間は絶対いるからさ。」

虎に翼 第22週(107) - 小橋浩之

女は働きたくて働いているんだろ。働く必要もないのに。
そう言う学生に対して、小橋が言った言葉です。
小橋自身が自分自身を乗り越え、成長してきた証のような言葉でもあります。

自分でやっと切り拓いた道を自分で閉ざさなきゃいけない

「平等なわけないです。男と女の辛さを一括りにされたくない。佐田さん、どうしましょう、私、子どもを授かってしまいました。母になるのは嬉しいんです。でも、まさか今なんて。女は人の3倍頑張ってやっと男と並ぶと教えられてきて、だから私は5倍頑張って、いつも綺麗な姿で、なんてことないように振る舞って、やっと少しずつ仕事で認められるようになったのに。自分でやっと切り拓いた道を、自分で閉ざさなきゃいけない。」

虎に翼 第22週(107) - 秋山真理子

秋山さんは、今あの地獄にいるんだ。
この言葉を受けた寅子は、かつての自分の姿を重ねます。


次の世代にそのまま先送りにしていくのが苦しいんです

-佐田寅子「考えているのは後輩たちを守るべき道です。桂バさんから最高裁で働きかけては頂けませんか。」
-桂場等一郎「時期尚早だ」
-佐田寅子「…またそれか」
-桂場等一郎「なんだと?」
-佐田寅子「喧嘩したいわけではありません。でも知りたいんです。その時とは、いつですか?」
-桂場等一郎「法曹界にもっとご婦人が増えてからだ。」
-佐田寅子「桂場さんはこの状況と環境で女性法曹が増えていくと本気でお思いですか?」
-桂場等一郎「くらいついてこられないならば、それまでだ。」
-佐田寅子「生き残らなければ同じ場所に立てない。それは果たして平等と言えるのでしょうか。今明らかに目の前にある問題を、次の世代にそのまま先送りにしていくのが苦しいんです。」
-桂場等一郎「とにかく今はその時期ではない。以上だ。仕事に戻れ。」
-佐田寅子「わかりました。では別の道を探します。」

虎に翼 第22週(107) - 佐田寅子

女性が働く上での環境やルールを整備しようと桂場に直談判した寅子の言葉です。
自分自身がかつて味わった苦しみを、そのまま次の世代が背負っている。
その状況をなんとか変えたいと、寅子は行動します。


中途半端に投げ出すくらいならば

「今のはあんまりじゃないですか先生。だから私は時期尚早だと言っていたんです。中途半端に投げ出すくらいならば、手を出されない方がいい。」

虎に翼 第22週(107) - 桂場等一郎

かつて寅子が妊娠し自分のキャリアを手放さなければならないことを悩んでいた時に、穂高は次の世代に託そうと寅子を説得した。
そのことは、寅子にとっては深い傷となりました。
実はその後に、桂場が穂高に言っていたのがこの言葉です。
時を経て、現在の寅子に対して桂場は時期尚早だと言いましたが、その裏には、こうした想いがありました。

道の開拓ではなく舗装です

「だから私たちが次にするべきは、道の開拓ではなく舗装です。この道をいかに通りやすく平坦で快適なものにするかだと思うんです。」

虎に翼 第22週(107) - 佐田寅子

働く女性の環境を変えるため、女性法曹の仲間を集めて寅子が言った言葉です。
皆それぞれ、苦しい思いをして道を拓いてきた女性たち。
次の世代のため、これからの未来のため、動き出した女性たちです。


第23週

どの地獄で何と闘いたいのか

「それを決めるのはお前じゃない。どの地獄で何と闘いたいのか、決めるのは彼女だ。」

虎に翼 第23週(113) - 山田よね

原爆被害の当事者が証言者として法廷に立つ。
彼女が好奇の目にさらされ苦しめられることへの不安を抱く轟に対して、よねが言った言葉です。


口や手を出したりするってことは変わってしまうこと

「怒っちゃいけないことなんてないよ。僕もね、許せない人や物事がたくさんある。ずっと怒ってる。ただ、口や手を出したりするってことは、変わってしまうことだとは覚えておいてほしい。その人との関係や、状況や、自分自身を。その変わったことの責任は、優未ちゃんが背負わなきゃいけない。口や手を出してなんの責任も負わないような人には、どうかならないでほしい。」

虎に翼 第23週(114) - 遠藤時雄

認知症が進む百合から距離を取りサポートをしないのどかに対して、ずっと蓄積していた思いが募りすぎた結果、バカと叫び蹴飛ばしてしまった優未。
百合に対して怒ってはいけないのに、と悩む優未に、話を聞いていた遠藤が言った言葉です。

声を上げた女にこの社会は容赦なく石を投げてくる

-山田よね「私の相棒は元々反対していました。あなたを矢面に立たせるべきではない、たとえ裁判に勝ったとしても苦しみに見合う報酬は得られないと。」
-吉田ミキ「でも私が前に立たなきゃ負ける、だから何度も私たちにお願いしてきたんでしょ?」
-山田よね「声を上げた女に、この社会は容赦なく石を投げてくる。傷つかないなんて無理だ。だからこそ、せめて心から納得して、自分で決めた選択でなければ。」
-吉田ミキ「…でも、私伝えたいの。聞いて欲しいのよ。こんなに苦しくて、辛いって。」
-山田よね「その策は考えます。だから、」
-吉田ミキ「ごめんなさい…ごめんなさい…」
-山田よね「あなたが謝ることは何もない。何もないんだ。」

虎に翼 第23週(114) - 山田よね

原爆裁判の証言をしようと東京へやってきた被爆者の吉田ミキ。
裁判のために証言をすると一度は決心したものの、揺らぐ本音に気付いたよねが、かけた言葉です。


ただ人並みに扱われて穏やかに暮らしたい

「ただ、人並みに扱われて、穏やかに暮らしたい。それだけです。助けを求める相手は、国以外に誰がいるのでしょうか。」

虎に翼 第23週(114) - 吉田ミキ

法廷には立たない代わりに、原告代理人に吉田ミキが託した手紙の内容です。


知らんぷりしたりなかったことにする世の中にはしたくない

「私ね、苦しいっていう声を、知らんぷりしたり、なかったことにする世の中にはしたくないんです。」

虎に翼 第23週(115) - 佐田寅子

認知症が進み混乱の中、死んだ夫の元へ行きたい、情けないと泣きながら謝る百合。
その百合の背中を撫でながら、寅子が言った言葉です。


政治の貧困を嘆かずにはおられない

「当時、広島市にはおよそ33万人の一般市民が、長崎市にはおよそ27万人の一般市民が住居を構えており、原子爆弾の投下が仮に軍事目標のみをその攻撃対象としていたとしても、その破壊力から、無差別爆撃であることは明白である。当時の国際法からみて、違法な戦闘行為である。では、損害を受けた個人は、国際法上もしくは国内法上において、損害賠償請求権を有するであろうか。残念ながら、個人に国際法上の主体性が認められず、その権利が存在するとする根拠はない。人類始まって以来の、大規模、かつ強力な破壊力を持つ原子爆弾の投下によって、被害を受けた国民に対して心から同情の念を抱かない者はないであろう。戦争を廃止もしくは最小限に制限し、それによる惨禍を最小限に留めることは、人類共通の希望である。不幸にして戦争が発生した場合、被害を少なくし国民を保護する必要があることはいうまでもない。国家は、自らの権限と自らの責任において開始した戦争により、国民の多くの人々を死に導き、障害を負わせ、不安な生活に追い込んだのである。原爆被害の甚大なことは、一般災害の比ではない。被告がこれに鑑み十分な救済策をとるべきことは、他言を要しないであろう。しかしながら、それはもはや裁判所の職責ではなく、立法府である国会及び行政府である内閣において果たさなければならない職責である。それでこそ、訴訟当事者だけでなく原爆被害者全般に対する救済策を講ずることが出来るのであって、そこに立法及び立法に基づく行政の存在理由がある。終戦後十数年を経て高度の経済成長を遂げた我が国において、国家財政上これが不可能であると到底考えられれない。我々は、本訴訟を見るにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないのである。主文、原告らの請求を、棄却する。訴訟費用は、原告らの負担とする。」

虎に翼 第23週(115) - 汐見圭

長年に渡った原爆裁判において、汐見が読み上げた内容です。
判決主文を後にまわし判決理由の要旨を先の述べる、当時は異例の方法でした。


第24週

もう闘う自信がない

「もう闘う自信がない。この先私は自分の目がキラキラしてる想像がつかない。寄生虫の研究を嫌いになりたくない。だからすっぱり諦めたいの。」

虎に翼 第24週(119) - 佐田優未

9年近く続けてきた寄生虫の研究。
その先は性別問わず狭き門で、その道を諦めたいと話す優未の言葉です。


道を閉ざそうとしないで

-佐田寅子「優未の道を閉ざそうとしないで。」
-星航一「閉ざす?僕は彼女に諦めるなと伝えているんですよ?」
-佐田寅子「それが優未の進む道を妨げているの。どの道を、どの地獄を進むか諦めるかは、優未の自由。」

虎に翼 第24週(119) - 佐田寅子

研究の道を諦めようとする優未と、諦めるなと言う航一。
二人の前で、寅子が言った言葉です。


努力した末に何も手に入らなかったとしても

-佐田寅子「はて、無駄?手にするものがなければ、これまで熱中して学んできたことは無駄になるの?」
-星航一「なるほど。抽象的で情緒的な方向に議論を持っていこうとしていますね。」
-佐田寅子「私は、努力した末に何も手に入らなかったとしても、立派に生きている人たちを知っています。」
-星航一「寅子さんは現実を見ていない。甘すぎる。この年齢で何者でもない彼女に社会は優しくない。」
-佐田寅子「私は優未が自分で選んだ道を生きてほしい。優未。あなたが進む道は地獄かもしれない。それでも、進む覚悟はあるのね。」
-佐田優未「うん。ある。」

虎に翼 第24週(119) - 佐田寅子

研究を諦めたいという話す優未の前で、寅子が反対する航一に言った言葉です。
かつて法の道に進もうとした寅子が、母親からかけてもらった言葉にも繋がります。


自分が一番で生きた方がいい

「お父さん、あのね、たとえ傷ついたとしても、やっぱり自分が一番で生きた方がいいんだよ。」

虎に翼 第24週(119) - 星のどか

優未の進路に関する口論を見ていたのどかが、航一に向かって言った言葉です。


第25週

全て正しくなきゃ声を上げてはいけないの?

-音羽綾子「以前お伝えした少年法改正についてですが、自分が全て正しいと思ってません。佐田さんの守りたいものの尊さもわかっています。ですので、少々出過ぎた発言でした。申し訳ありません。」
-佐田寅子「はて。全て正しくなきゃ声を上げてはいけないの?声を受けてどうするかは私の問題よ。萎縮したりせずに、思っていることを言ってくれて、ありがとう。」

虎に翼 第25週(124) - 佐田寅子

少年法改正についての意見を募った際に、寅子に向かって体制を批判するような発言をしてしまった音羽がそのことを謝罪。
その時に寅子がかけた言葉です。


わからないからこそやらない

「奪われた命は元に戻せない。死んだ相手とは言葉を交わすことも触れ合うことも永久に出来ない。だから、人は生きることに尊さを感じて、人を殺してはいけないと本能で理解している。それが、長い間考えてきた私なりの答え。理由がわからないからやっていいじゃなくて、わからないからこそやらない。奪う側にならない努力をすべきと思う。」

虎に翼 第25週(127) - 佐田寅子

補導された美雪になぜ人を殺してはならないのかと聞かれ、寅子が言った言葉です。

理由を見出そうとして傷を負わなくていい

「あなたはお母さんを真似しなくていい。手帳に残された言葉の意味やお母さんを庇う理由を見出そうとして傷を負わなくていい。お母さんのこと嫌いでも好きでもいい。親に囚われて縛られ続ける必要はないの。どんなあなたでいたいか、考えて、教えてほしい。」

虎に翼 第25週(127) - 佐田寅子

母の姿をなぞるように堕ちていこうとする美雪に、寅子が言った言葉です。

どんなあなたでも私はなんだっていい

「どんなあなたでも私はなんだっていい。どんなあなたでも、どんなありきたりな話でも聞くわ。だから、話しましょう。何度でも。」

虎に翼 第25週(127) - 佐田寅子

美雪に寅子が叫ぶようにして言った言葉です。


自分を責めて辛くなるくらいなら

「あなたがもし失敗したと思っているなら、それはお母さんの育て方が悪かったせい。お母さんのせい。つまり何が言いたいかというと、自分を責めて辛くなるくらいなら周りのせいにして楽になって。ここまで頑張ってきたあなたたちにはその権利があるってこと。だから失敗なんかじゃ絶対にない。」

虎に翼 第25週(128) - 佐田寅子

人生に失敗したと嘆く優未や美位子に、寅子が言った言葉です。 

時代がそれを許さず特別にした

「いつだって私のような女はごまんといますよ。ただ時代がそれを許さず特別にしたたげです。」

虎に翼 第25週(130) - 佐田寅子

最終話にて、君のようなご婦人が特別な時代はもう終わったのだなと言った桂場に、寅子が笑って答えた言葉です。
桂場は、笑って前言を撤回しました。




以上、ドラマ「虎に翼」の名台詞集でした。

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