GO KOREA! 韓国インターネットのエコシステムとゲーム市場の紹介
「アジア四小龍」から世界を席巻する韓流文化まで、近年の韓国経済と文化は、我々の想像をはるかに超えるスピードで成長し続けています。韓国は 5G 移動通信サービスを世界で初めて商用化し、現在世界最速の 5G 回線速度を誇る国です。動画配信プラットフォームやスマホゲームなどを筆頭に、韓国のモバイルインターネットエコシステムはかなりの成熟度を見せています。優れたインフラと経済発展、さらに韓国内でのエンターテインメントへの高い需要により、アジアのデベロッパーだけでなく、世界中のブランドにとって、韓国はまず最初に選択する候補地の一つと言えるでしょう。しかし、現在の韓国ではどのようなショッピングスタイルが流行しているのか、どんな SNS が盛んなのか、どんなゲームが好まれるのか、ご存知ですか?本記事では、韓国を深く掘り下げ、その先にあるチャンスを探ります。
本記事では、以下の項目についてご紹介します。
韓国のユーザー像
モバイルアプリのエコシステム
主戦場の分析(ゲーム/EC)
ローカルマーケティング専門家の意見
韓国人:裕福で教養がある MZ 世代(ミレニアル世代と Z 世代)がネットの主戦力
経済基盤が発達しているため、韓国人は一般的に高水準の教育を受けています。また、韓国では家計債務が高いのもよくあることです。韓国人の半数以上が宗教を信仰しており、そのうちの 29% がキリスト教徒、22% が仏教徒です。韓国社会では韓国語が圧倒的に優位で、他の同等の先進国に比べて国民の英語力はあまり高くなく、その点では日本とよく似ています。
Nativex からのヒント
現在の韓国社会の中核を成す主要消費者は、1980 年代から 2000 年代初期に生まれたミレニアル世代とZ世代、つまり 18 歳から 40 歳までの若者で、「MZ 世代」と呼ばれています。彼らは社会問題に関心を持ち、理念よりも「実利」を重視します。熾烈な競争社会からくるストレスで、エンターテインメントへの需要が非常に高いと思われます。
以前、Nativex が韓国で MMORPG ゲーム『Chronicle of Infinity/아레스 크로니클』 のプロモーションを手がけた際、ターゲット層の特性や特徴を把握し、都会人の忙しい生活リズムを踏まえ、職場での息抜きに「疲れたときは『Chronicle of Infinity』でひと息つこう」のアイデアを発案したことがあり、その効果もかなり好調でした。(動画効果をこちらからご覧ください)
ミレニアル世代と Z 世代は共に「若者」の代表とされていますが、それぞれの人生経験や社会での発展レベルは異なるため、両世代にも一定の違いが存在します。例えば、ファッションのトレンドに関しては、タレントや芸能人から影響を受けることが多いミレニアル世代に対し、Z世代はセルフメディアの発展により、主にインフルエンサーやブロガーから受ける影響が大きいようです。韓国へ進出を希望するブランドやデベロッパーは、世代ごとの違いを意識しながら、ターゲットユーザーに適したメディアとツールでアプローチする必要があります。
モバイルアプリのエコシステム:韓国大手ブランドが優勢を保つ
韓国モバイルアプリのエコシステムに関して、上位には多数の「海外ブランド」が目立ちますが、細かく区分すると、基本的には韓国内のアプリが市場の重要な位置を占めています。
成熟したモバイルアプリのエコシステムにより、衣食住から交通に至るまで、アプリは韓国人の生活に深く入り込んでいます。デリバリーなら Baedal Minjok、ショッピングなら Coupang、友達との交流には KakaoTalk、経路案内は NAVER Map といった具合です。
韓国のインターネットユーザーが最もよく使う SNS は KakaoTalk で、その後に Instagram、Facebook と続きます。動画や画像コンテンツの見やすさが、韓国のモバイルネットワークで不動の人気を集めるカギです。韓国のインターネットユーザーの約 8 割が毎週動画を視聴していると回答しています。人気のテーマは音楽、スポーツ、商品レビュー、ゲーム、インフルエンサー動画などです。
特に新型コロナウイルスの流行により自宅にいる時間が増えたこともあり、以前に比べ、オンライン動画配信プラットフォーム(OTT)が従来のテレビに取って代わりつつあります。現状は、Netflix の一人勝ち状態で、韓国ローカル OTT サービス Wavve、Tving などのプラットフォームに大きな差をつけています。
Nativex からのヒント
多くの地域で終わりなき戦いを繰り広げている iOS と Android ですが、このモバイル業界の覇権争いにおいては、韓国には第 3 の参戦者「One Store」が存在します。韓国最大のサードパーティーアプリストアである One Store は、基本的にすべての Android 端末に搭載(プリインストール)されており、端末数は 5,000 万台以上に上ります。
動画コンテンツの他に、ライブ配信に魅了される韓国ユーザーも徐々に増え、その結果、多くのインフルエンサーが誕生しました。そのため、リスクを嫌う消費者が多い韓国では、インフルエンサーの宣伝が必要不可欠です。有名人の意見が、韓国人の消費行動に直接影響を与えるからです。
ゲーム:世界 4 位の市場規模、プレイヤーの課金率が高い
韓国は、中国、アメリカ、日本に次ぐ世界第4位のゲーム市場規模を有しています。その背景には、国民のゲームに対する認知度の高さと、消費意欲の旺盛さがあります。
ゲームに対する認知度が高く、市場規模トップ 10 に位置している国の中でもプレイヤーの普及率1位を記録しています。韓国のゲームユーザーは 3,300 万人で、総人口の 63.8% を占めています。市場規模ランキングトップ 10 の国の中では堂々の 1 位です。
ゲームの消費意欲が高い傾向があります。世界銀行によると、2020 年の韓国の一人当たりの GDP は 31,489 米ドルで、ゲーム規模トップ 10 の国の中では 8 位でしたが、一人当たりのゲームへの平均課金額(ARPPU)は 250 米ドルにも達し、日本に次いで 2 位でした。また、ユーザーの過半数が男性です。一人当たりの GDP からゲームへの課金額(ARPPU/一人当たりの GDP)の割合を計算すると、韓国は 0.79% で、1 位となります。
韓国のユーザーは RPG を好む傾向にありますが、近年は SLG の人気も高まってきています。私共の調査によると、韓国では RPG がモバイルゲームの売上高のトップを占めており、2021 年も右肩上がりで優位に立っている状態です。しかし、2021 年のカテゴリー増分データ分布の推移を見ると、韓国では SLG ゲームの人気が高まりつつあることが分かります。
注意すべき点として、韓国では RPG モバイルゲームの売上が好調ですが、日本に比べて、最近では増加率が低下している点が挙げられます。この現象の背景には、韓国市場が長期に渡って RPG に依存してきたため、マンネリ化傾向になりつつあることがあります。さらに、韓国では若年層のユーザーの割合が比較的高く、公開データによると、韓国のモバイルゲームプレイヤーの約 20% が学生で、10~30 歳のユーザーは 36.2% を占めています。
EC:韓国では全国民がネットショッピングを利用
韓国ではほとんどの消費者がスマートフォンを使って買い物をします。年齢別で見ると、韓国のネットショッピングの主な消費者層は 20~39 歳です。また、コロナの流行により、中高年層のネットショッピング利用率も大幅に上昇し、40~60 歳の消費者層のネットショッピング利用率は 59.3% に達し、前年比 14% 増となっています。
韓国の EC 業界では、Naver(네이버)と Coupang(쿠팡)の 2 トップが圧倒的なシェアを誇り、それぞれ韓国の「Google」と「Amazon」と呼ばれています。
Nativex からのヒント
韓国の主なショッピングイベントには、正月、こどもの日(5 月 5 日)、父母の日(5 月 8 日)と秋夕(チュソク)があります。また、海外の通販サイトを利用する際は、中国の 11.11 や、アメリカのブラックフライデーなど、各国のイベントのタイミングに合わせて買い物し、お得な割引を利用する韓国人も多数います。
Global Talk – ローカルマーケティング専門家の意見
かつて韓国では多くのブランドが韓国ドラマを利用した商品の間接宣伝を行っていました。現在でも、有名人によるブランド・商品の宣伝は最もよく見られる手法です。しかし、近年では、頻繫かつ半ば強引に感じられる間接宣伝は、ドラマの雰囲気を損ねてしまうため、視聴者に不満を抱かせてしますリスクがあります。
ゲーム素材に関して、韓国のユーザーは欧米や現地のコミックスタイルを比較的受け入れやすい傾向にあります。また、特典系の素材や独創性のある広告コンテンツはトラフィックの獲得に繋がりやすいでしょう。
EC 業者にとって、ライブ配信の台頭は成長機会の一つと言えます。リアルタイムで販売者とやり取りができることや、限定のキャンペーンを利用できることから、韓国の消費者の多くはライブ配信中に商品を購入します。
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