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【詩を読んで】『冬から春へ〈わたし・相剋〉』望月遊馬

先日読んだシルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』では、彼女の心臓が「わたしは、わたしは、わたしは」と打っていました。
「わたし」の絶望とは裏腹に、頑固に誇らしげに鳴り続ける心臓でした。

こころと心臓。

ふと思い出したのが、望月遊馬氏の詩『冬から春へ〈わたし・相剋〉』(現代詩手帖2025/1)。
解剖学用語をちりばめた妖精物語のなかで心臓は冒険し春を迎えます。「仄かなぬくもりのなかで」たしかに脈打つ心臓の拍動を聞いて確かな、大切なこと〈こころ〉を知る「わたし」。

プラスもそうだけれど、取り戻すべき身体性に、さりげなく目を向けさせてくれる、そういう仕掛けや手つきに魅かれます。



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