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OFFICE TOSHIKI NASU/すべての人を納得させる難しさ


ある時。
SNSでロバの風刺画を見ました。
その風刺がこの時代の的を射ており勉強になったのです。
著作権の問題があるためそのイラストを載せることはできませんが詳細はこのようになっています。

①老夫婦がロバに乗っていると、それを見た人が「二人で乗るなんて、ロバがかわいそうだ!」と言います。

②お婆さんが歩き、お爺さんだけがロバに乗っていると、それを見た人が「爺さんだけ楽をして婆さんがかわいそうだ!」と言います。

③お爺さんが歩き、お婆さんだけがロバに乗っていると、それを見た人が「爺さんを歩かせて自分がロバに乗るなんてけしからん女だ!」と言います。

④お爺さんもお婆さんもロバに乗らず歩いていると、それを観た人が「あいつらはロバの正しい使い方も知らないバカだ!」と言います。

私たちの暮らしにロバがいるというのは馴染みがありませんからロバが可哀想という考えを持つ人がいるかもしれません。

しかし、車を走らせることが困難な地域ではロバが荷物や人を運ぶことが営みの一部であることが想像できます。

物事を表面でしかとらえられない人

SNSを見ていて思うことは色々な意見がある一方で考えに偏りがあるということ。

それに対して下記の①〜④にこのような見解ができたらと描かれています。

それは。

①老夫婦がロバに乗る姿を見た人が「二人で乗るなんて、ロバがかわいそうだ!」 ⇒ 「二人も乗せられる力持ちのロバだ!すごい!」

②お爺さんだけがロバに乗る姿を見た人が「お爺さんだけ楽をして婆さんがかわいそうだ!」 ⇒ 「お爺さんを労っているなんて、おばあさんは優しいな!」

③お婆さんだけがロバに乗る姿を見た人が「お爺さんを歩かせて自分がロバに乗るなんてけしからん女だ!」 ⇛ 「交代でロバに乗っているのかな?お爺さんは頭がいい!」

④お爺さん、お婆さんがロバに乗らず歩いている姿を見て「あいつらはロバの正しい使い方も知らないバカだ!」 ⇛ 「夫婦揃って健脚、健康的!」

このように自分の中にある考えを少しだけ変えるだけで見え方が変わります。

しかし、そうはいかないのも人間。

凝り固まった考えに執着したり、色々な意味をつけてしまうものです。

それがさも正しいかのように。

良い鍼灸院の条件は何だろ。

話しは変わるのですが。
私は鍼灸院を開院して10年になります。
今日まで様々なことをやってきました。

これまでを振り返ると、おしぼりを出したり、お菓子を出したり、心理カウンセリングを学んだり、手相や算命学を学んだり、土日も祝日も夜遅くまで開いたり。

それらは自信がなかったからではありません。
ただ好きな鍼灸を受けてもらいたかったこと、そして更に良くなるにはどうしたら良いかという想いからでした。

ホームページを作り替えるのも、プロのデザイナーさんにリーフレットを製作してもらうことも、プロのカメラマンに写真撮影してもらうことも、プロモーションビデオを撮影してもらうことも。そしてコンサルタントを入れることも。

けれどある時に気がつくのです。

それは治療院集客で実績を誇るマーケティング会社の社員が来院した時のこと。

元々はアパレル会社に勤めていた彼はその会社に転職して数ヶ月とのことでした。話を伺っているとマッサージは受けたくない。

そのため問診や予診表の情報に合わせて施術をおこないました。

するとその数日後にその会社からメルマガが送られてきたのです。

メールを開いて読んでみると私を褒める言葉が沢山並んでいました。

もちろんそれは自分が求めたことをやってくれたから。

しかし評価されても嬉しくないのです。

なぜなら彼が求めるものでは最大効果が得られていないから。

この時の筋緊張や主訴を考えても数分間は手を当てることが大切だったように思えます。

まずは緊張をとることからやるべきであると。

ですが彼の場合は会社から「良い治療院は・・・」という考えを与えられいたため、自分が求めたことを提供する治療院が良い治療院と認識していたのです。

彼のようなコンサルタントが発信した考えを元にした治療院や整骨院は少なくありません。

美容鍼と称して顔に沢山刺したり、新しい治療法のように剣山のように刺したり、即効性と謳って鬱血するカッピングをしたり、歯のホワイトニングもサプリメント販売も何でもありです。

だから似たような治療院が増えてしまうのです。

治療院経営は学校の授業では学ばないため、それぞれが本や動画から学んだりセミナーに参加します。

私も25歳から沢山の時間とお金を使ってきました。しかし全く楽しくなく、そのことにやりがいを感じないのです。

そして行き着いた答えが

「すべての人を納得させることは難しい」

というものでした。

コンビニは駐車場がある方が良くて、駅からも近いほうが良い。そしてトイレも貸してくれて、愛想も良くて、タバコを吸えるスペースもある。さらにはイートインスペースもあって、コーヒーやホットスナックも充実していること。

これを1つずつ解決できるのは大きな資本をもった企業だけです。しかし実際にはFCのオーナーが負担しますよね。

駅から近ければ賃料もあがり、トイレは無償で貸しても掃除をするには人件費もかかります。
24時間営業でもいつもニコニコテキパキ動き、タバコの灰皿も掃除しなければならず、イートインスペースのテーブルを拭いて床を掃かなければなりません。コーヒーやホットスナックの機材も200万以上します。

だから思うのです。
ほどほどが丁度よいと。

これまで多くのお金を費やして学んできましたが、私ができる範囲のことを丁寧におこなうことだけです。

鍼灸師として当たり前にできることを当たり前におこなう。

それがすべてだと思うのです。

自分を失えば納得してもらえるものは作れる。
しかし鍼灸院は資本を持った企業ではありませんから大衆に向けてしまうと気力も体力が持たない。

私が考える鍼灸院はすべての人の場所ではなく個人に向けた場所が鍼灸院だと思うのです。

この街の小さな鍼灸院は多くの人を喜ばせることは出来ない、誰にも都合の良い場所ではありません。

けれどあなたにとっては最良のものになると思います。

そういった気持ちで私は鍼灸をおこなっています。

予約枠が少ないのは回転率を重視していないから。

看板も置かずに営業しているのは飛び込みでの来院を求めていないから。

ベッド1台だけにしているのは施術に集中したいから。

ベッドの代わりに大きなテーブルがあるのはお茶を飲み一息ついて欲しいから。

これが私のスタイルです。
すべての人に納得して欲しいと思っていません。
治療により病気を治すのではなく、元気になったから病気が治った。そういう場所を私は作っています。

Health & Wellnessの場所として。


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