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「○○代のうちにしておくべきこと」系について

本屋に行くと、20代のうちにしておくべきこと、のような「○○代」系自己啓発書(以下「○○代書籍」)が多数売られている。20代~40代のものが多い。しかも、常に次々と新しい本が出版されている。
これら○○代書籍について、読む際の注意点を書いたもの。いずれも特定の書籍に言及しているのではなく印象に依るものなので、可能性がある、くらいの見方を。

特徴

具体的なことは書いていない

結婚しているか、子供がいるか、どのような仕事をしているかなどによって、すべきことは異なってくるはずである。個人で農業をしている人に「部下を大事にしよう」と言っても的外れである。
前提としている環境が大きく異なるのだから、それに対するアドバイスが具体的になればなるほど的外れの可能性も増えてくる。

書かれる内容は従って、健康問題やお金の問題などの大勢に共通する内容か、心がけ的な、あるいは抽象的な内容になってくる。しかし、お金も健康も、年代に依らない場合が多い。睡眠は大事だし、規則正しい生活、バランスの良い食事は何歳になったって大切である。また、健康問題は個人差も大きい。

ある程度以上具体的になると、例えば30代は保険に入るべきか、60代は投資する際安定志向にすべきかなどの問題は、「人によって異なる」が答えとなる。マンションを買ってローンがあるなら思いきった転職は出来ないかもしれないし、独身なら保険は不要かもしれない。

あるいは画一的な価値観をベースにしている

具体的なことが書いてある場合は、典型的(だと作者が思っている)な人生をベースに書かれている。結婚して子供がいてサラリーマンでローンを組んで郊外に一軒家を買って、みたいな像があればアドバイスもしやすいが、それに当てはまらない人だって大勢いる。

「70代に聞いた『50代でやっておけば良かったランキング』」のようなアンケート系も同様で、多くの人が言っているからといって自分に当てはまるとは限らない。月3で旅行に行っている人が、もっと旅行に行っておくべきだった、と言われても的外れに感じる可能性が高い。

13歳からの○○は違う種類

なお、13歳からの○○、14歳からの○○のような中学生程度以上を想定した書籍は、次のような理由により○○代書籍とは別物だととらえている。

  • 13歳からの、と下限を定めているだけで大人を含む多くの人が対象であり、年代を区切っていない。

  • 下限を定める理由についても、中学生程度の読解力が必要、義務教育の終了が間近で将来的な進路を自分で考えるのに相応しい時期である、と明確。


自分のリストを作ろう

人によって自身の環境は大きく異なるのだから、自分にぴったり当てはまる「すべきこと」は自分で決めるのが一番いい。
○○代書籍は、そのための参考資料としてみるのが良い。年代にかかわらず読んでみて、確かにこれはした方が良いと思えば取り入れる。


読み方

タイトルは煽り要素が強い

30代のうちにしておくべきこと、と言われると、30代の人はドキッとしてしまう。何が書かれているか知らないが、わたしはこの本に書かれているような事ができているだろうか、と。
年代を区切ることで、読み手に焦りを感じさせ、手に取らせる作戦の一種であると心得なくてはならない。
しかし上でも書いたように、重要なことは年代に依らない場合も多いし、20代までに実行できず、30歳1ヶ月で実行したとしても特に問題はないのではないか。
手に取って貰うために敢えて煽るタイトルにしているので、策略に乗らず、焦らないこと。

アドバイスを受けるつもりで読む

自分でまずすべきことリストを作ってみて、アドバイスを受けるつもりで○○代書籍を読んでみる。実際に身近な人に見て意見を貰うと客観的な視点が入って良いのだが、気恥ずかしいし、周りに適任者がいない場合もある。
そうした際、人生の先輩に見て貰うつもりで○○代書籍を読む。自分のリストに適合する指摘がないかを探すように読む。例えば今会社勤めをしていて転職を考えているのであれば、転職や仕事について書かれた指摘を探す。
読む際は、今の自分はそう思わないが、将来は思うかもしれない、との目線で見る。

年代に依らないものとして見る

精神的な成長は、人によって大きく異なる。歳を取っても自己中心的で小学生と変わらないムーブをする人もいれば、10代でもしっかりしている人はいる。「50代のうちにすべきこと」の内容が当てはまる10代だっているかもしれない。
だから○○代書籍は、年代を気にせず見るのがよい。年代関係なく、役立ちそうだと思えば自分の生き方に採用する。何歳から資格を取ったっていい。
もし仮に本当に50代でなければ出来ないことがあったとして、それを20代や30代が読むのは予習になる。

年代にきっちり左右されるものに、法律的、制度的な決まりが挙げられる。例えば参議院議員は30歳以上でないとなれない。もし最年少参議院議員を目指すなら20代のうちから準備しないといけない。

時代にそぐわないものを見極める

書かれた当時、あるいは作者が過ごした時代においては通用した、当たり前だった考え方も、今は通用しない可能性がある。内容が、今も通じるかを検討し、鵜呑みにしないこと。

単なる自慢や上から目線のエピソードは無視

多くの作者は、自分が後悔したことを後世に伝えるため、あるいは年上の人から学び、後悔したくないために書籍を書いたものと思われる。しかし中には、自分の成功譚を述べるのが最大の目的になっているのではないか、と見受けられる書籍もある。
こうした書籍は特に、気を付けて読む必要がある。偶然上手くいったことを法則であるかのように述べていないか? 推奨される行動は周りに負担を与えるものではないか? などなど。



安易に飛びつかないこと。
焦らされないこと。
上手に読んで、自分だけのリストを。

名角こま

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