ハーブティーのお話 その13 不思議なご縁の5
前日から着慣れないスーツを引っ張り出し
シャツやネクタイを合わせる。
どこか浮足立って
落ち着かないまま、その日を迎えた。
朝早く車で東京に向かう。
東京に行く時はいつも、あれもこれもとスケジュールを
詰め込んでしまうのはいつもの癖かもしれない。
車を置き、地下鉄で六本木へ。
駅を出て六本木ヒルズの高層ビルを過ぎ
その先にあるけやき坂テラスの
ブリコラージュブレッド&カンパニーへと向かう
レフェルヴェソンス姉妹店のベーカリーカフェ。
こちらでも、お取り扱いいただいている
自分のハーブティーの様子を見に来たのだ。
「ご注文はなにになさいますか?」
「あ、この、ハーブティーを2つ」慣れない雰囲気に緊張する。
和を感じるレトロな雰囲気の店内。仕事の人、寛いでいる人
ワインを楽しむ外国人などで早い時間帯にも関わらず
ほぼ満席の状態だった。
オーダーしたハーブティーを運んできてくれたのは
偶然にも発注ご担当のマネージャーだと
胸につけられたネームプレートから分かった。
「あ、森下さんですか?昨日ご連絡差し上げた那須高原HERB'sです。」
「はじめましてーご遠方からありがとうございます。」
若くイケメンなマネージャーと名刺交換をし言葉をかわす。
ハーブティーが元気に活躍してくれている様子でよかった。
授業参観で担任の先生からわが子の様子を聞いている。そんな心境だった。
お土産に頂いたパンと買い求めた大きなパンの紙袋を抱え
お見送りを受けながら、西麻布へと歩き出す。
スマホ地図アプリの指示通りに坂を下り、
十字路を左に曲がりその先の坂を上ると、
高級住宅街の路地裏をぐるっと一周して
もとの交差点に出てきた。あれっ?・・もしかしてアプリに遊ばれてる?
やや汗ばんでいたのは、ぐるっと遠回りしただけではなく
鼓動が大きくなっていたからかもしれない。
大きく息を吸い込んでドアを開ける。
すると青山ファーマーズマーケットで顔なじみの
石本さんがとびきりの笑顔で出迎えてくれた。
暖かく迎えられ、緊張も解けてくる。
席まで案内される間にも
次々にサービススタッフの方がご挨拶に来てくれた。
うれしいなぁー
周りの視線が気にならない席へ通され
お食事が始まった。