
海嶺にとても大きな死があってたまに写真を撮られたりする
雪国に生まれなかった良し悪しを想えばアスプルンドの火葬場
逆風をゆっくりと来た海猫の疲れを癒せ人造の川
悴んで本が読めないバス待ちの人らの思考読んでみたいわ
車窓からみえた黄色のマフラーを栞代わりにたたむ小説
この人に旧姓のある不思議さは初めて耳にした音のよう
フェンネルの繊細な葉は散らされて、愛が足りないところは何処だ
少しずつ流されながら繰り返す鴨の潜水練習は良き
明確な冬のあらわれとして降り始めた雪を眺める犬と
(2020年12月、まだ足は着く)