『論文の教室ーレポートから論文まで』

仕事柄、文書作成の機会が無数にある。そんな中、ダメ出しをくらい続けて心が折れかけた。そこで手に取ったのが本書だ。概要は以下のリンクに詳しい。

実はまだKindleベースで3割しか読めていないのだが、本書は非常に有用である。対象は、タイトルからも想像できるように大学生だ。だが、社会人でも十分応用できる。現に3割程度しか読んでない自分ですら、この本に書いてあることを実践すると、赤を入れられる割合が3割くらいは減った(多い)。

本書はレポート作成が苦手な「作文ヘタ夫くん」と「センセイ」の対話方式で進められる。引用するが、こんな流れだ。

" ……案の定、もう連休明けには、暗い顔をして歩いているヘタ夫。 ──はあ~。もうさっそく論文の宿題っすよ。倫理学の授業なんですけど。 ──ほら見たことか。で、どんな課題?"

……読む人にとってはかなり鼻につく文体だと思う。実際私もそうだった。しかし、わかりやすい。きちんとした文書を書けない自分を投影しやすく、自分事のように読めていく。これは筆者の構想力に脱帽した。

" ……再び動きが止まってしまいました。フォントを大きくしたり小さくしたりしておりますが、アイディアは湧かない模様です。あっ。ヘタ夫くん、何とシム・シティを立ち上げて遊びはじめました。これは時間を食うゲームです。夜はしんしんと更けていきます……。"

ヘタ夫くんがレポート作成する段階を引用したが、めっさ笑える。

こんな感じで本書は進められる。自分にとって「ダメな例」→なぜダメかの説明→ポイントの解説→「いい例」の順に説明してくれる流れが非常に分かりやすかった。

どんな文書がダメなのか、論理的に理解できるし、いい例を最後に示してくれることで、ポイントを理解しやすくなる。さらに、仕事でそれを意識しながら文書作成することでアウトプットすることもできる。そして自分のものにしていける。

私の大学時代の学部は卒業に論文が必須ではなかった(自分は書いたが)。だから、文書作成や論文の書き方について、体系立てて学んだことは、実はない。しかし、現職について、文書作成に必要な能力は論文の書き方に基づいていることに気がつき、(やべぇ)と思い、縋る思いで手に取ったのが本書だ。文書作成に悩んでる社会人にオススメしたい。

社会人になって勉強する機会が極端に増えた。もともと勉強が好きな自分にとっては嬉しい限りだ。大学時代は体調不良でまともに勉強できなかったので、今はそれを取り戻せている感じがして幸せにすら思えている。やはり、学んだことをアウトプットできる環境は最強ではないか。アウトプットなしに学習は成り立たないとすら思える(そんな事は無いんだけれども)。

表現する最もメジャーな方法として文字が使われることが多い。学び直しという意味では、本書は明快で進めやすい部類に入るだろう。まずは自分が読了しろよって話だけども笑