2024.2.11 『これが生活なのかしらん』 小原晩
作者の経験を元にして、5つに分けられたエッセイ集。
うまく行くこと、行かないこと、生活の中には沢山の出来事がある。
それらをどう切り取り、どのように照らしてゆくのかは自分次第でもある。
ただ、必ずしも嬉しく思える方がいいとは限らない。
辛いことをまっすぐ辛く思う方が人間らしいし、無理に前を向く必要もないと思う。
結局は、自分が容易く信じられる大切なものを、なるべく大切にしていた方がいいのかもしれない。
「人間は思い出でできている」といった旨の文がとくに心に残った。
過去の経験(つまり思い出)が今の自分を作っていて、思い出があるから失敗しないようにもできるし、それでもまた失敗してしまうこともある。
その失敗をした自分をぶら下げて生きることも、生活のひとつ。忘れてしまうほどの経験を毎日積んで、少しずつ歳をとっていくのだ。
不器用ながらにもなんとかやるべきこととやりたいことをいいバランスで保って生きることが肝心なのかもしれないと、思うことができた一冊でした。