【●さんのオマージュ】鏡【オリジナル】
はじまりの国からでられない、いつしか忘れたわたしのなかの少年が、ひとりでに閉ざす扉には赤いもじでこうかかれていた。私のみらいとかこが分離して、たがいをにらんでののしり合い、おまえはいつも寝ているだとかもしくはどれいだとか綺麗なことばをつむぎだし、さなぎのなかの安息を、きょうふにも似た安心をすべてだいなしにしようとするわたしの中の救世主。ひつよういじょうに泣きすぎて、ひつよういじょうに拒みすぎて、誰もがみにくくみえるわたしのふるえは誰よりもわたしを醜くする。笑ったものが勝ち、泣いたものが負けるこのせかいが憎くてしかたない、けどわたしは憎むことしかしていない、はらいせにドアでも勢いよく閉め、あなたの見ていないところであなたを書く。きっとわたしを見つけてくれるあなたのことを、悪くも言うし、良くも言う、ぜんぶを言うからわたしをこわして。うそ、私をつくって。この国のきれいなだけの思い出の中のわたしの驚きと、そうぞうのみちしるべをあなたが作ってくれるなら、わたしもわたしの全部をことばにしよう。好きでも嫌いでもあるあなたにわたしの全部をぶつけよう。きらいになってもいいよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?