🚕父を、介護施設から整形外科に、介護タクシーで連れて行く 9/28
昨日(9/27)の話の流れで、この日(9/28金)、午前8時に父の介護施設に向かう。眠い。
介護施設の前には十分前だというのに既に立派な介護タクシーが到着していた、勤勉でありがたいことだ。
挨拶をして、介護施設に入ると、父親はやたらと立派なリクライニング機能付きの、まるでソファのような車椅子に乗っていた(顔はボカしている)。
…この期に及んで、普通の老眼鏡に、はづきルーペ(老眼鏡)を重ねがけしてるんだが、何か意味が?(あるわけがない)
介護タクシーには車椅子ごと乗せる。介護タクシーの職員さんが手際がいい。ベルトのようなもので車椅子が動かないように固定するのも、なるほど専用の車と感心する。
整形外科病院には、午前8時15分ころについたが、受付が30分からにもかかわらず、既に15名ほどの名前が、まるでファミレスの受付のように記入されていたのには驚いた。
まあ順当に待つのに私は不満はないのだが、父の方が腰が痛いと言い出して、車椅子のリクライニングを倒したら、待合室で人の邪魔になったのには参った。
待っている間に、前回お世話になった看護師長さんが非番で帰ろうとしていた。看護師長さんはプロなので、父に「あらっどうしたんですか?」「お気をつけて」と爽やかな挨拶をなさっていたが、顔が引きつっていたような気がする、もっともこれは私の主観であるが。
あと、父のむくみ切っていた手は、どかんとメイバランス(高栄養食)を差し入れした成果か、普通に戻っていた。
どう考えても、これは薬局で買い込んで差し入れした私の成果だと思う。
さて、そこまではそこそこ順調だったが、事件はこの後起こった。
午前10時になる前だったと思うが、検査室でレントゲンを撮るために、名前が呼ばれたため、思いの外早かったことに感謝しつつ、車椅子を押して入る。
と。
車椅子から、ベッドに移動するのに、なかなかうまく動けない。
口だけは「自分でできる」「どうすればいいかは自分が一番分かっているからね。」と繰り返すが、動きが遅い。
まあそれは仕方ないかなとは思うが、ベッドにうつ伏せの状態で上がった……と思ったら、「触られたら痛い」「自分でできる」と言い張りつつ、うつ伏せのまま動かない。
蛙か🐸。
どうしたってそのままでは検査できないので、力づくで動かしてやろうかと思ったが、物腰柔らかい検査技師さんが、「身内の方は一旦出ていただいて、後はなんとかご自分でできると言ってますから…。」と仰るので、いったん待合に出た。
大丈夫か心配していたら、やっぱり大丈夫じゃなかった。
5分ほどして検査技師さんが呼びに来た。
「あの、お父様が全然動かなくてですね、どうしても頼みたいことがあると仰るので…。」
そう言われて、最初、私は父が身体を動かす介助を身内(私)に頼みたいのかと思って、珍しいこともあるものだと思った。
何故なら、父は、父の言うことを聞いてくれる母や、父に反論しない他人は好きだが、父を指導する医療関係者や、父に容赦のない私のことは苦手だからだ。
検査室に入ると、父はうつ伏せのままベッドに寝ていた。
私が近づいて、父が言った言葉。駅名以外そのまま。
「最寄駅の書店で、量子力学の本を買ってきて欲しいんだ。」
……!!??
それは、整形外科の検査ベッドの上で、今!言うことか!?
量子力学の話はしていないことはないが、そもそもいまは病院に検査にきているのであって、検査ができないから身体を横に向けろと言っているのだ。
「はぁー!?
それ、今関係ないやろ!
検査ベッドでうつ伏せのままやったら検査できんって言いようったい!
そげなこと言いよったらうっ叩くよ!」
キレて怒鳴り散らす私に、うつ伏せのまま
「これは重要なことなんだ!」
と言い張る父。
ある種のカオスだが、その混乱の間隙を縫って、父の注意が逸れた隙に、検査技師さんが、ひょいと父の体をベッドに垂直に横向きにしていた。お見事である。
技師さん「このまま撮りますね。」(本当は仰向けがいいらしい)
私「あ、じゃあ、また出ときます、よろしくお願いします。」
数分後、レントゲンは無事撮れたが、技師さんが再度呼びに来た。
父はまだベッドの上で同じ姿勢であったが、移乗のため、体の向きを変えいったんうつ伏せ🐸になると、もう動きたがらなかった。
「僕は自分のペースでできる」「触ったら痛い」「僕はここでいい」
よくねーよ。
技師さんと私は、アイコンタクトで、車椅子をベッドに寄せ、技師さんが父の体を支え、私が父の足をベッドから下ろして車椅子に移した。
「痛い痛い痛い!
そんな無理やり!
どうしてそんな非道なことをするの!」
父は、負けた犬のように悲痛な声で泣き喚いていたが、検査ベッドには誰も定住できない。
というか、定住したら、後の患者さんに迷惑である。
この後、リクライニングをこれでもかと倒したがって椅子からずり落ち気味の父はこれ以上なく不機嫌で、今度は介護施設の悪口を垂れ流し始めた。
「あの施設は僕が電気のスイッチを固定してくれと言ってもハイハイ言うばかりで何にもしてくれん、つまらん!」
父は肝が小さいので、さっき痛かったと言っても、正面から私に文句を言う気概はないのである。
下降したままかと思われた父の機嫌は思わぬことで変化を見せる(いや別に下降してても私は困らんのだが)。
近所のスナックのママが現れたのである。
唐突だよね?
いや私も唐突だと思うが、そもそもこの整形外科病院は近隣では大きめで、スナックのママさんも、ごく普通に患者として通院なさっていたようだ。
「あの…すみませんが、この方、高梨(父)さんでは?」
話しかけられた私も驚いたが、三月に骨折で倒れる前は、父がそのカラオケスナックに通って、日中カラオケに興じていたのは伝え聞いていたので(ご高齢のご夫婦とかが歌いに訪れるらしい、なお母は自称音痴なので行っていない)、ああ、と事情を察する。
まあ、いちいち父が通っていたカラオケスナックに「骨折しました」と連絡するわけもないので、顔を出さなくなったと心配されていたらしい、一応。
スナックのママさんにちやほやされたおかげで、父の機嫌は治った。
安い男である。
ママさんありがとう。
その間に、行きに利用した介護タクシーさんから電話が入る。
帰りの足を心配してくれたのだ。
手配の気がきくなあと感心しつつも、診察がまだなので、目処が立たない。
診察後、すぐに連絡すると伝える。
携帯電話があるのは本当に便利な時代だ。
そして診察。
先生は言った。
「著変無しですね。」
つまり、変化無し。
痛い痛いと騒いではいるが、新たに折れたりしていない、骨の状態を見ると完全に状態が良くなっているわけではないが、これは折れてから三ヶ月なのでむしろ当然ということで、今日は定期検診として終わった。
私が尋ねる。
「じゃあ、今、痛いって言って車椅子で移動してるみたいなんですが。」
医師。
「むしろ、動かさないと駄目ですね。
動かさないと、使えなくなってくるので。
積極的にリハビリした方がいいです。」
父。
無言。
全然ありがとうございました。
10/5の検診予定を取り消し、10/26火に変更して診察は終了した。
帰りの介護タクシーは会計待ちの間に電話した、しつこいようだが、本当に福祉乗車券とっておいて良かった。
後は、介護施設に父を送り届けて引き継ぎをする。
その際のメモだが、なんでも施設の何周年かの記念キャンペーンで割引が二ヶ月ほどあるらしい。
それの申請書類の用紙を受け取る。
かつ、いったん実家に寄って、父の通院の顛末を母に伝えておく。検査ベッドの上での量子力学の話は爆笑していた、うん、笑いごとです。
あと実家に寄ったのはもう一つ理由があって、メイバランスとポカリスエット、通販で実家宛にいくらか注文したからだ。
荷物が届くことを伝えておきはしたが、まあ普通に忘れそうである。
この後、午後、自分のコロナワクチン一回目接種に向かった。
割と忙しい日であった。
投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。