公民館、写真プリント、そして勝手口の鍵🔑 12/2
さてこの日は、入院直前まで老人会の会長をしていた父の関係を慮り、公民館に挨拶に行く予定にしていた。
予定は午後二時。
どうせ支度に時間が掛かるので午後一時ころ迎えに行ったら、予定調和で五回くらい戸締りや火の確認をして、手土産を持って公民館に着いたのは予定通り午後二時だった。
そのほかの用事として、通帳記帳(郵便局と地銀)をしたいと言っていたので、そのまま郵便局に連れて行く。
その郵便局だと、隣にその地銀のATMが入っているスーパーがあって、記帳に便利なのだ。
ここでも、母は目の前のスーパーと郵便局の方向をほどほどに見失う。
うーん、見当識の消失か?
それから、その後、写真屋に連れて行く。
言わずもがな、音楽の先生が持ってきてくれた写真を現像するためである。
昨日は私のノートパソコンで見たものの、母がそんな操作ができるわけもなく、USBスティックだけだと宝の持ち腐れになるためだ。
普通にLサイズでいいか聞いた私に、見本サイズを手に取った母は言った。
「あんた、そんな小さい。
これぐらいでしちゃらんね。」
A 4!
マジか、無駄じゃねえ?
不要物が増えるとは思いつつ、飾って眺めるのは母なので、昨日通り場面ごとに五枚ほど現像する。
額もいるだろうと現像を待つ間、額のところに連れて行って選んだら二枚しか取らない。
「二枚じゃ足りんとやないとね。
現像は五枚あるとよ。」
そう言うと母は言った。
「額に入れるのは二枚くらいでよかろうもん、後は置いとったら良か。」
…本当か?
とりあえず帰宅したら午後3時10分だった。
母がお茶にしようかと言っていたが、準備するのに時間かかるというので、その間事務でもするかと思って、もう一度写真や書類の整理をしていたら実家の電話が鳴りだした。
この辺で登場する近所の柳井さん(仮)である。
名前はよく聞くが会ったことはないし、母の友人なので客間でもてなすからまあ良いだろうと、書斎で事務を続けていたら、……、
「ここが主人が使ってたのよ。」
なんか連れてきた!?
ついでに言うなら綺麗に掃除された美しい部屋を自慢してるが、掃除したのは、私!だ!
無視するわけにもいかないので、普通に挨拶をすると、柳井さん(仮)は水を向けてきた。
「まあまあ、この度は大変なことで。
これでお母様もお一人だし、とうとう同居して助けてあげないといけないわねえ。」
なんでや。
「いや、同居はしませんが。」
断固として、しないッ!
が、柳井さん(仮)は中々失礼だった。
「えっ、じゃあ、あなた方は二人だけで楽しく暮らすの?」
同居してる人を否定する気はないが、うちはしないともう何年も前に決めている。
その上で毎日様子を見にきている。
その物言いはどうなのか。
そもそも、柳井さん(仮)本人は、夫が介護が必要になった時、さっさと施設に入居させたの知ってるんだぞ?
自分ができないこと(完全な同居自宅介護)を他人に要求するのはどうかと思う。
いらっとしつつも、柳井さん(仮)は、ちゃんと友人に相応しい額の香典持ってきたから勘弁してやるよ(おい)。
ともかく会話の間も、父が残した全く整理されていない文房具類を整理していた。
そうすると。ー仕切りのある樹脂の黒いトレイに、ごちゃっとゼムクリップと安全ピンとホッチキスの針と…それを輪ゴムで束ねて付着しているものが散乱していて、げっそりするのでまとめて捨てようかと思ったのだが、……一個鍵が混じっている。
鍵?
鍵というのは車の鍵や自転車の鍵、家のドアの鍵というのはなんとなく見分けがつくものだ。
これはどこかのドアの鍵。
しかもマジックで「土間」と書いてある。
母に聞いても覚えがないというが、私の方が覚えていた。
介護離職してすぐの頃、母が、父が自分の鍵(実家の鍵)を見失ったら黙って家の中にある予備の鍵や母のハンドバッグの中にある鍵を持って行くと言っていたのを。
玄関は開かない。
…開いた、庭の勝手口の鍵!
この樹脂の黒いトレイ、本棚の下の床面との隙間の奥に押し込まれていたんだが!?
まあ、私も実家も玄関の鍵は持っていたが、勝手口の鍵は持っていなかったので、母の了解を取ってから私物化した。
この日は、年金の書類は必要な証明が全部揃わないので保留。
あとは、音楽の先生に電話をして写真のお礼を言っておいた。
投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。