【ロボット・イン・ザ・ファミリー】ロボットは人間と同じようには生きられない?
「ロボット・イン・ザ・ガーデン」シリーズ4作目では、再び新たなロボットが登場します。今度のロボットも女の子。彼女はチェンバーズ家に新しい風を吹かせてくれるのか…!
3巻「ロボット・イン・ザ・スクール」の感想文は⇩
ここからは、1巻「ロボット・イン・ザ・ガーデン」(https://amzn.to/3Yx3PBA)2巻「ロボット・イン・ザ・ハウス」(https://amzn.to/4db14KL)3巻「ロボット・イン・ザ・スクール」(https://amzn.to/4fwJYbY)のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
日本から帰ってきたベンたちが目にしたのは、家の前に座り込むロボットの姿でした。フランキーと名乗るそのロボットは記憶を無くしていて、どこから来たのかもどんな目的で作られたのかもわかりません。気になるフランキーの正体とは…?
まず冒頭で、フランキーは男の子なのか女の子なのかをはっきりさせようとするベンを不思議に思ったんですが、英語圏だと主語がHeになるかSheになるかが重要だから性別にこだわるのか!ということに気づきました。ベンたちはもうロボットのことをItとは呼べないもんね。
そしてベンの40歳の誕生日パーティーが出来なかったことを気にしているベンの姉ブライオニーの言動も不思議でした。日本だと40歳の誕生日を大々的にパーティーで祝う人はなかなかいないのでは...?イギリス人の家族愛の強さを感じました。
これまでシリーズをずっと読んできた読者としては、すっかり良いお父さんになっているベンの姿に胸がいっぱいになります。1巻では子供の親になんてなれないって言っていたのに、家事も育児もエイミーと助け合って本当に頑張っているんですよ。
イギリスの教育現場は、まだまだ子供のことは母親に任せることが多い日本社会の認識とは全く違っているようで、学校の大事な呼び出しには夫婦そろっての参加を求められていました。
他にも、学校には毎日親のどちらかが送り迎えをしなければいけません。この辺りが日本とは大きく違うなと思いました。学校に上がってからもまだまだ育児に手がかかるし、父親と母親の両方が参加しないと回らない仕組みになっているんですね。イギリス人もこれは大変だなと思っているみたいでした。
そんな学校生活を通して、ボニーが周りの子どもたちとは少し違うことが浮き彫りになっていきます。タングは存在自体が周りと"かなり違う"ので、ボニーが人と違うことに気づきづらくなっていましたが、たしかにボニーにはいろいろと気になるところがあります。
ボニーは、人との接触を嫌がったり、光や音を極端に不快に感じたり、苦手なものを極度に遠ざけたりするんです。そして集団行動が苦手で、特に子供がたくさんいる場所を嫌っています。そんな自分がみんなと違うことに誰よりも早く気付いたのは、ボニー自身でした。
自分には壊れたところがあると怯えるボニーに寄り添い、力になろうとするベンとエイミー。彼らは2人で小児科に相談に行くのですが、こういった場合でも父親と母親が一緒に行くんだなと変なところで感動してしまいました。
ベンはエイミーと同じくらいボニーのことをよく見ているし、ボニーのことを真剣に考えています。ボニーのことは父親である自分に責任があるし、それが当たり前だと思っているところが素敵だと思いました。これは、私が父親が育児にノータッチだった家庭で育ったからそう思うのかも。
そして驚くべきことに、ベンの姪アナベルにはアンドロイドの彼氏ができました!見た目は完璧な人間、中身も限りなく人間だけど生き物ではないという存在に1番混乱したのは、アナベルの母であるブライオニーでした。そりゃ混乱しますよね。これがきっかけでブライオニーの家族は試練にぶち当たります。
一方タングも、自分がロボットであること、人間と違うことに悩まされます。ベンとエイミーの頑張りによって学校で学ぶことは認められたタングでしたが、SNSのアカウントを作ったり、選挙に参加することは出来ません。将来、結婚することも、子供を持つことも、運転免許を取得することも出来ません。それが納得できないタングと、タングにその理由をうまく説明できないベン。ロボットと人間の共生にはまだまだ課題が山積みのようです。
4巻ではいろんなことがありすぎて、フランキーの正体がすっかり抜け落ちていましたが、最後にそれも明らかになります。本当にこの作者は何度も驚かせてくれる!
さらに巻末には書き下ろし短編小説「ロボット・イン・ザ・パンデミック」が入っていて、タングの世界にもコロナはやってきたんだなと感慨深くなりました。タングは病気にはならないけどね。
5巻の感想は⇩
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