ブランコがすき。 後ろに下がりながら、思いっきり口で息を吸って、前にこぎ出しながら、遠くに遠くにって思いつつ、口で息を吐く、それが、こだわり。 髪をおろしている時なんか、自分で起こした風で、髪が口に入る、それも、いい。 何よりいいのは、 思いっきりこいで、こいでこいでこいでも、決して、どこにも行けない、ところ。 はる、なつ、あき、ふゆ 季節がリレーをしていても、立ち乗りしながら見える景色の色が変わっても、吸い込む空気の温度が変わっても、その場所で、行ったり来たりし
途中式を、教えて_____ ☆ 数学と、お友だちになれなかった制服時代を過ごしてきた。 でも、 「証明」の問題は、あまりイヤじゃなかった。 解ききれなくても、結果として間違っていても、途中式を少しでも書けば、部分点をもらえる可能性があったから。 希望が、あったから。 「すぐに正解に辿りつこうとしなくていい」 最近、かけてもらった言葉。 あ…うん、そうだね......そうだけど。 ずっと、ずっとずっとずっと、“早く正確に解きなさい”と、その訓練ばっかりさせられて...
to do list …やらなければならないことを、箇条書きにして、ひとつひとつこなしていくためのメモ。 やんなきゃ! に、支配された頭はどうやら、箇条書きにして見える化すると、落ち着くらしい。 そのタスクをこなす度、斜線で消していくと、「あー頑張った」「よし!これ終わり!」って、自己肯定感が上がる。 それは、 やんなきゃ! という、自分を締め付けるなにかから、少しは解放されるから。 義務感、焦燥感から、幾らか楽になれるから。 でも、まこっとに残念なことに、その「や
「やりがい」、「はたらきがい」、「生きがい」……。 どうして人は、「○○がい」に、よろこびを感じるんだろう? どうして人は、「○○がい」を、求めるんだろう? 「○○がい」って、なんだろう? もしかしたらそれは、ボタンのようなもの、なのかもしれない。 正確には、ボタンを留める、糸。 その何かをしている自分、を、 この世界に___誰かの心に___留めてくれるもの、 この世界に___誰かのとなりに___いてもいいよ、って、ゆるしてくれるもの、 この世界に___誰かのとなり
何をやっても、うまくいかない、最近ずっと眠れない。 同じところを堂々めぐりしているようにも思える、そんな日々。 いつも通り、6号車4番ドアから乗車する帰り道。 疲れに身を任せながら壁に背中を預け、目を閉じる。 目を閉じると、少しだけ、呼吸が整うような気がする。 それでもやっぱり落ち着かないから、仕方なく、 「ちょっとだけ…」 そうやって目を開けた時、飛び込んできた、新しいクラフトビール車内広告キャストさんの、爽やかな笑顔。 眩しすぎて目を逸らし、逸らした先の窓に映る、
眠れない夜、夜中に何度も起きてしまうような夜に、考えるようにしていることがある。 それは、 その時1番先に、頭に浮かんだ人との出会いを振り返る、こと。 初めて会った日から、何でもない時間、特別だと思った瞬間、傷つけたかもしれないと唐突に不安になった帰り道、など。 眠れない時は、大概、マイナスな気持ちに支配されている。 でも、 目を閉じなおして、こうやって考えてみると、「あんな楽しいこともあったな」「あれ、おもしろかったな」「あの笑った顔、いい表情だった...!」って、呼
おしゃれな人をみると、「いいなあ」って思う。 かわいい、とか、きれい、とかよりも、おしゃれにできる、時間と心とお金の余裕に、「いいなあ」。 肌や、髪、爪まできれいな人を見ても、「いいなあ」って思う。 もうひと手間、ふた手間かけられる、時間と心とお金の余裕。 だけじゃなくて、 毎日ちゃんと眠れて、毎日ちゃんとバランスのとれた食事を食べて、毎日ストレスがかかりすぎない生活を、長年できているところに、「いいなあ」。 そして、すごいなぁ、とも、思う。 洗練されてはいないけれ
「自分の名前を、自信を持って書ける人になりたい」 これまで、数え切れないほど、自分の名前を書いてきた。 手紙、プリント、テスト、持ち物・・・ 名前を書くと、「あ〜私って、こういう名前だったんだな」って思う。 いや、思う時がある。 大概、名前を書いている間、別のことを考えているか、虚無、だ。 飽きる、を通り越して、もはや何も感じないその名前。 でも、ある意味、自分を自分たらしめている、この世に、自分の輪郭を、自分の影を、のこしてくれるもの。 自分にしかないもの。 じ
「将来の夢はなにかな?」 小さい子どもに、この類のことを聞くのは、やめた方がいいと思う。 小さい子は、将来なんて考えずに、今を全力で、可能な限り健康に、楽しく生きることがなにより大切だと思うから。 そして、何歳になっても、それが一番、難しいような。 じゃあ、いまは。 大学3年生の___「夢」なんて言葉が、暴力的にさえ思えてしまうような___いま、は。 「仕事」って、なんだろう。 そう考える毎日のなかで、ふと、気がついた。 「つかえごと」って書いて、「仕事」って読むんだ。
部屋に閉じこもって、やってもやっても、日に日に増えていく、やらなければならないことをこなし、「あ、も...行かなきゃ」___玄関ドアを開けた______世界が、眩しい。 自分だけ今日に置いていかれたような 自分が自分に置いていかれたような そんな感覚から逃げるようにして、近くにある影を求めて足早に歩く。 ふぅーーー 影って優しい。 私に居場所をくれる。 私を守ってくれる。 影そのものは、私の居場所になるために、あるいは、私を守るために、そこに存在している訳じゃないの
どうして、「顔写真」じゃなくて「証明写真」っていうんだろう、と、不思議に思ってきた。 エントリーシートに写真を添付しようとパソコンを操作していたら、後ろから妹に声をかけられた。 「その顔にするの?今のお姉ちゃんの顔の方がいいのに。今の方がいい顔してる。」 少し驚いた。 撮るタイミングが違うだけで、自分の顔は自分の顔。 そこに、「どちらがいい」という尺度があるんだ、と。 私を他人と識別する分には、この顔写真でなんの不足もない。 それでも、その違いが気になって___そして
「好きなことを好きでいるのって、難しいですよね」 先輩方と話をしている中で、自分の口をついて出てきた言葉に、自分で驚いた。 「すき」を「すき」でいること 「すき」は、自分を守ってくれる。 「すき」は、自分を生き返らせてくれる。 それでも時に、 「すき」は、自分を…苦しめる。 その「すき」が、自分にとって大切であればあるほど、それを「すき」でいられなくなったら、という恐怖も大きくなる。 「すき」を仕事にする、きっとそれなりの覚悟が必要だろうな。 だって、「すき」だけ
「あ〜昔、‘’電車に乗って学校行ってみたい”って思ってたんだよなぁ〜」 朝、角席に座って、自分の心情とは裏腹に、のらりくらり流れていく景色を見遣りながら、ふと、思い出した。 じゃあ、今、忘れかけてた、かつての憧れのなかにいるのか! そう思ったら、マスクの下で、ちょっとだけ笑えた。 いつから、(電車を降りたら)こうして、あーして、あれやってこれやって……そんなことを考えながら、特に楽しむことなく‘’電車に乗って学校行く”ようになっちゃったんだろう。 ‘’電車に乗って学
いろんな‘’縁”があって、いろんな‘’縁”に、時にまもられ、時に縛られながら生きている そして、そのすべての‘’縁”が今の自分をつくってる。 出会いと別れの繰り返しだ___そういうこともあるけれども、そのイチゼロじゃなくて、0.nnn…の世界があって、今日も昨日も、その小数点の世界を歩いて__たまに走って__そしてきっと明日も、小数点の世界で、その相手/対象との、ちょうどいい温度感を探しているんじゃないかな、と思う、思いたい。 望んでいた縁の温度と実際の縁の温度が違くて
たまに、‘’気がついたら自分がいない”、そう、思ってしまうことがある。 たとえば、 眠れない夜、2段ベッドの1階から見上げるアルミ格子。 たとえば、 何を食べても味がしないと気がついた時の、お皿の余白。 たとえば、 意図せず他のことを考えてしまっている、会話の途中。 心と身体が、別々になってしまったような、心が行方不明で、身体が自分のものではないような、そんな感覚。 笑いたいのに、笑顔になりたいのに、顔の筋肉の動かし方を忘れてしまったような、そんな感覚。 「自分っ
先生が、おすすめの作家を教えてくれた。 取り急ぎ青空文庫をスクロールしながら、文学史程度のことしか知らなかったその作家に、今になって初めて、“ふれた”な、そう思った。 そう思った時、あぁ、“ふれる”って言葉、すきだなあ‥と思った。 作品を“よむ”じゃなくて、作品に“ふれる”。 どんなふうに“ふれる”の、どんな温度で“ふれる”の、どこで“ふれる”の。 “よむ”だと目と心で、って感じがするけど、“ふれる”だと、それに加えて、肌触り、体温、ぬくもりや、におい、そんなものも